コンセント

著者:田口ランディ
出版:幻冬舎
初版:2000.06.30.
紹介:アパートの一室で衰弱死した兄は、腐乱死体となって発見された。その部屋でコンセントに差し込まれた掃除機、彼はなぜ掃除をやめてしまったのか?
兄の死因。理由。生きることを放棄した緩慢な自殺?生きていると言うこと・・・。私の中で兄とコンセントのつながりが大きくなっていく。コンセントとはいったいなんだろう?
コメント:兄の死・生き方について考えていくうちに突き当たったのは、結局自分自身の存在証明のようだった。
カウンセリング・夢・幻覚・精神分析・シャーマン。
コンセント・・・意外に当たり前な発想だったなぁ。

眠り姫

著者:ダニエル・キイス
出版:早川書房
初版:1998.02.28.
紹介:病院のベッドで、もう何日も眠り続けているキャロル・クレイ。31歳になる彼女は幼い頃から「眠り姫」と呼ばれていた。それは彼女が、いつ、どこで、何をしていても突然眠ってしまう原因不明の奇病、睡眠障害にかかっていたからである。その発作によって、彼女は今深い眠りの底にいた。
キャロルが眠っているあいだに、彼女のまわりでは恐ろしい事件が起きていた。娘のエレナが、ボーイフレンドとともに死体で発見されたのだ。その数日後、キャロルは突然、眠ったまま驚くべき物語りを語りはじめる。「二人を殺したのは夫ノロジャーだ」と。
だが、優秀な精神科医アイリーンは、キャロルの言葉に疑いをもつ。精神療法家としての技術を駆使して、アイリーンはキャロルの心に隠された真実を探りはじめたが・・・・・・やがて明らかになる、想像を絶する真相とは?(表紙扉より引用)
コメント:睡眠障害・催眠療法・臨死体験・輪廻転生思想・・・
最初、ノンフィクションかと思っていたら、小説でした。
睡眠障害で記憶を閉じこめられた「眠り姫」キャロルと、夫のロジャー。
彼女を取り巻く4人の騎士たち。
殺人の罪で死刑を言い渡されたロジャーを電気椅子から取り戻すことは出来るのか?
企まれた犯罪、証拠の隠滅、職権乱用・・・。
信じている物が実は虚偽だとしたら・・?我々は、いったい何を信じればいいのだろう?

リセット

著者:北村薫
出版:新潮社
初版:2001.01.20.
紹介:「スキップ」「ターン」に続く「時と人」をテーマにした3作目。
33年に一度やって来るという「獅子座流星群」。
戦争に向かっていく日本を内側から見つめている少女。はかない想いは無惨にも目の前でうち砕かれる。自分だけ生き残ってしまったという負い目。なかったはずの未来が広がっていく。
時を経て、出逢うものは?石川啄木・かるた・・・・呼び覚まされる記憶。
輪廻・転生・そして、僕は君と初めてのそして最後の「獅子座流星群」をみたのだった。
コメント:第1部を読んだときには、北村氏お得意の文学作品ををベースにしたもう一つの「子供が見た太平洋戦争」かと思ったのです。妹尾河童の「少年H」をちょっと思い出してしまった。ところが違った。なんか、いいねぇ・・・今みたいに即物的直接的な表現じゃなくて、本の中の一説とか歌詞の一部とか・・・そいうところにちょっと自分の気持ちを閉じこめて送るそういうのってステキだわ。
2部はガラッと変わって、病院に入院している男の日記を元にした問わず語りだ。1部2部の関連がしばらくわからないのだが、読み進めていくうちにとぎれていた糸が繋がっていくのがわかる。
物語の最初にでてきた「獅子座流星群」が最後に一本の柱になる。

遠き落日 下

著者:渡辺淳一
出版:角川文庫
初版:1982.09.10.
紹介:フィラディルフィアでの野口英世は、フフキスナー教授の下で悪条件と戦いながらも、徐々に頭角を現わす。人々はこの小柄な東洋人の猛烈な研究態度に驚嘆した。異境での超人的な研究と活躍。そして白人女性メリーとの結婚。世界的な名声に包まれた英世の、日本への凱旋帰国。
その栄光に影がさしはじめた晩年、アフリカへ黄熱病研究のため、英世は飛ぶ。自らの研究の犠牲となって、53歳の生涯を、遠くアクラの地で果てるまでの後半生を描く。
英世の劇的な生涯を、医学と人間性の両面から鋭く照射、その真実の姿を迫真の筆で描破した、吉川英治賞受賞の傑作。(裏表紙より引用)
コメント:野口英世の意外な人間性。はっきり言って、普通じゃないなぁ・・・。
そのあまりにも人間くさい、偉人とはかけ離れた英世の素顔と、黄熱病を初めとした細菌研究への情熱には目を見張る物がある。
時代の流れといってしまえばひとたまりもないが、研究に生涯を費やした野口英世の姿は、結果的には研究成果は得られなかったのだが、「遠き落日」によって、彼が確かに生きてきたというところが伝わってくる。だけど、何とも言えない人生だ・・・。

遠き落日 上

著者:渡辺淳一
出版:角川文庫
初版:1982.09.10.
紹介:野口英世は、日本人にもっとも知られた伝記中の偉人でありながら、虚飾に彩られた偶像であった。
医師出身の渡辺淳一が、国内はもとより、アメリカ・メキシコ・アフリカでの現地取材と、膨大な資料を駆使して、八年の歳月と情熱を傾けて完成した、野口英世の伝記的小説が本書である。
1876(明治9)年、猪苗代湖畔の貧農の家に生まれ、周囲の援助で困苦の中から上京、次第に医学への階段を登り、やがて単身アメリカへ出発するに至るまでの、若き無名時代の苦闘の日々・・・・・・。
人間・野口英世の破天荒な魅力と生命力にあふれる半生を、赤裸に描く力作。(裏表紙より引用)
コメント:猪苗代湖畔の「野口英世記念館」を訪れたことがある。貧しい生活ぶりと、母の苦労。不自由な手で勉強を続け医学をめざしたという、そんな印象だった。
子供向けの伝記は、確か読んだような記憶があるのだが・・・
本当の、野口英世って、こんなとんでもない男だったのか?!
イヤー、ビックリ。

プレゼント

著者:若竹七海
出版:中公文庫
初版:1998.12.18.
紹介:ルーム・クリーナー、電話相談、興信所。トラブルメイカーのフリーター・葉村晶と娘に借りたピンクの子供用自転車で現場に駆けつける小林警部補。二人が巻き込まれたハードボイルドで哀しい8つの事件とは。間抜けだが悪気のない隣人たちがひき起こす騒動はいつも危険すぎる!(裏表紙より引用)
コメント:若竹七海、初挑戦。あちこちで結構ファンの方が多いので、どんな作風かと思いましたが、これはけっこう初期の作品なのかな?軽く読めて面白いです。ちょっと赤川次郎風でもあるかな・・・葉村晶と、小林警部はいっしょには登場しないんだけど、少しずつすれ違っている?最後の「トラブルメイカー」で両者が遭遇するって言うのは、この先の展開が何か続くのか?という期待を誘う。暇つぶしにいい1冊。

スカーレット・ウィザード4

著者:茅田砂胡
出版:中央公論新社
初版:2000.11.25.
紹介:低脳海賊がケリーを本気で起こらせた。触れてはいけない男の過去を、土足で踏みにじったのだ。
彼は左目を琥珀色に過輝かせ、口元には薄く微笑みをはいた。もう誰にも止められない。この空域の船は残らず消滅する────!
リミッター解除!!
私───ダイアナ・イレヴンスは白い閃光となって跳躍した。(裏表紙より引用)
コメント:

スカーレット・ウィザード3

著者:茅田砂胡
出版:中央公論新社
初版:2000.07.25.
紹介:ジャスミンの出産を控えて、ケリーが総帥代理の任についたとたん、無人車は暴走し強化硝子が落下し、重役達の露骨な抱え込み工作が始まった。
でもね、こんなのは余興に過ぎない。あの気障で自信過剰ではた迷惑な銀髪のあいつが現れたのだから。
私は瞬時にリミッターを解除した。ダイアナ・イレヴンス───発進!(裏表紙より引用)
コメント:

スカーレット・ウィザード2

著者:茅田砂胡
出版:中央公論新社
初版:1999.11.25.
紹介:一匹狼のこの俺が、あろう事か巨大財閥の副総帥におさまった。
総帥のジャスミンと結婚したからだ。
おまけにこの女王には物騒な敵がいて、町中でコマンド部隊に襲われるは、探査宇宙船は消失するは当分退屈だけはしそうにないが、こんどはニンシン?だと!?
海賊なんだぞ、これでも俺は・・・・・・(裏表紙より引用)
コメント:

スカーレット・ウィザード1

著者:茅田砂胡
出版:中央公論新社
初版:1999.07.15.
紹介:奇妙な仕事が舞い込んだ。一年間だけ結婚してくれ、だと?お相手はあのクーア財閥の女王だ。殺しても死なない男がご希望だとか、理由や事情は知らないが、宇宙切ってのお尋ね者『海賊達の王』向きの仕事じゃない。
一匹狼の海賊のほこりをかけて、決着を宙でつけることになったが・・・。かなり異色な宇宙恋愛物語。(裏表紙より引用)
コメント: