著者:梨木香歩
出版:新潮社
初版:2004.01.30.
紹介:池・庭・電灯・二階屋。友人の実家の家守をする、売れない学士・綿貫と草・木・花・獣また、仔竜・河童・人魚・竹精・桜鬼という、なかなかお目にかかれないものたちとの交歓。ふと出没する亡くなった友人・高堂との関係が、なんともいい。
ほんの百年ほど前の設定だが、こんな風景はまだ私が生まれた頃はその名残がまだわずかに残っていたような気がする。心を研ぎ澄ませれば、まだこういうものたちとのかかわるがもてたような…
コメント:目次に並ぶ、植物の名前。名前を見ただけですぐにわかるものも多い。サルスベリ・都わすれ・ダリヤ・ドクダミ・カラスウリ・竹の花・白木蓮・むくげ・紅葉・萩・ススキ・野菊・サザンカ・リュウノヒゲ・檸檬・南天・ふきのとう・山椒・桜・葡萄
けれど、名前は聞いたことがあっても、どんな植物なのかすぐには思い浮かばないものも多い。ヒツジグサ・ツリガネニンジン・南蛮ギセル・ホトトギス・ネズ・セツブンソウ・貝母。これは、検索してみました。ヒツジグサって睡蓮のことだったのね。
読み進むうちに、隣のおかみさんも、和尚も後輩の山内も長虫屋もダリヤの君もみーんな霧と共に消えてしまいそうなそんな不思議な気持ちになってくる。
全く違う話だが、夢枕獏「陰陽師」での清明と博雅が清明の座敷で庭を見ながら酒を酌み交わしている構図が目に浮かびました。
本の装丁もいいですねぇ。紬なのか?細い縦縞。手元に置きたくなってしまう一冊。