クライマーズ・ハイ

著者:横山秀夫
出版:講談社
初版:2003.08.15.
紹介:地方紙の新聞記者悠木は、最古参の「遊軍」。組織にも家族にも自分の心を開けない。自分が傷つくのを恐れているからだ。
 登山仲間の安斉と切り立った衝立岩を登る約束をしたその日、あの未曾有の「日航ジャンボ墜落事故」が起きた。全権デスクを任された悠木は、山から逃げるように、事故記事と紙面の争奪戦に巻き込まれる。現場の若い記者たちと、社内の古参たちの間で思うように動くことができない。
 一方安斉もその日、路上で倒れ意識をなくしていた。なぜ悠木を山に誘ったのか?なぜ山ではなく夜の街中で倒れたのか?
 他人に触れられたくない生い立ちを持つがゆえに、温かい家庭を夢見て、家族を持ったのに、今や家の中に居場所はない。息子との壁を感じてしまう。
コメント:新聞記者としての経歴を持つ作者ならではの、臨場感がたまらない。
衝立岩に登っている今と、17年前のあの時が見事に交錯してラストはすがすがしい。
「クライマーズ・ハイ」=「興奮が乗じて恐怖心がマヒしてしまうこと」
そして、恐ろしいのはそのクライマーズ・ハイがとけたとき。心の中に溜め込んだ恐怖心が、一気に噴き出してくる。


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