著者:重松清
出版:文藝春秋
初版:2000.05.10.
紹介:*担任しているクラスにいる一人の問題児。なぜ彼はキレるのか?何が彼の身に起きているのか?仕事、家庭、家族・・・30代後半の男にとってのそれは、この時代、なかなか思うようには進まない。
帰りたい、子供の頃過ごしたなつかいい日羽山に・・・でも、もう町はダムの底に沈んでいる。同級生の死をきっかけに再会した、仲間たち。帰ろう!日羽山に(カカシの夏休(みらいみ)
*時代遅れのヘアースタイル「ライオン先生」はじつはかつらだった。そのヘアスタイルにこだわり、そのたてがみで自らを奮い立たせていた44才。だけど、そろそろそれも限界を感じ始めていた。理想と現実のギャップ。
不登校気味の生徒、何故学校に来ないのか?何故がんばる必要があるのか?頑張れば、きっといつかいいことがあるのか?そうとは言い切れない現代・・・(ライオン先生)
*電話がかかってきた。その直後、彼は自殺した。私は彼の死に責任はあるのか?(未来)
コメント:がんばっても、がんばっても思うようにはならない子供(生徒)たち、彼らがかかえている様々な問題の裏側には、やはり、その親や取りまく大人達がそれぞれ問題を抱えている。
問題は、社会にあるのか?大人にあるのか?
いま子供達の周辺で、世の中をなめたような、或いは諦めたような子供達を目にするたびに、彼らを取りまいている大人達の影を感じ、容易には解決できない問題の深さを思い知らされる。大人の責任も大きいけど、その大人もいまは余裕をなくしているような気がしてならない。いったいどうしたらいいのだろう?