著者:楠見朋彦
出版:文学界6月号
初版:2004.06.
紹介:見かけだけの2t保冷車。荷台に積まれたのは貴重品。
産業廃棄物専門の運搬を仕事にするタケルには、自分が運んでいる「物」について、その行き先しかわからないのだった。しかし今度の荷物には、もう行き先がない。
コメント:怖かった。読むにつれて次第に・確実に怖さが増していく。灰皿がいっぱいになったら、とりあえず別の灰皿に移し、また別の場所に移す。そして最後は床に捨て、足で蹴散らしてしまえば…とりあえず、目の前にあった灰皿は片付き、おいしいお酒が飲める。床は…海と同じ。
処分に困る医療廃棄物や放射性廃棄物。しかしそれらを使っているのも私たち自身なのだ。