著者:村上春樹
出版:新潮社
初版:1994.04.12.
紹介:「悪いこと?」
「とても悪いことです」と加納クレタは予言した。森のなかにすむ予言の鳥のように、小さなよく通る声で。
猫が消えたことは、始まりに過ぎなかった。謎の女はその奇妙な暗い部屋から、僕に向かって電話をかけつづける。「私の名前を見つけてちょうだい」。加納クレタは耐えがたい痛みに満ちた人生から、無痛の薄明をくぐり抜け、新しい名前をもった自己へと向かう。名前、名前、名前。名付けられようのないものが名前を求め、名前のあるものが空白の中にこぼれ落ちていく。それにしても僕が不思議な井戸の底で見いだしたものは・・・・。(本の扉より引用)
コメント:彼の抱える問題が少しずつ姿を現しはじめてくる。彼が失ったものはなんだったのか?戻ってくるのか、或いは先に進むのか?
これでもかというように、自己の内部を、ズルズルと引っぱり出してくる村上春樹。どうしてこんなにまで・・・・?という感じですが、彼にとっては、この作品を書くことが、自分自身の存在を確認することなんだろうな。やっぱり、続きを読まなきゃ落ち着かないです。