丹生都比売(におつひめ)

著者:梨木香歩
出版:原生林
初版:1995.11.20.
紹介:草部皇子の父・大海人皇子は大友皇子との世継ぎ争いに巻き込まれることを避け、吉野の山中に僧形として逃れてきた。草部皇子と弟忍壁皇子と母。そしてわずかな舎人と女官のみを連れて・・・
正当な世継ぎとして大海人皇子は人々の信を集めていたが、皇子にはまだ土地の護身霊・丹生都比売に出会えなかったのだ。皇子はひたすら丹生都比売の顕現を待っている。
草部皇子母の姿を見る。夢を見る。その中の母の姿は・・・・?母に可愛がられたい、認められたいという思いがつのる。
争いごとを好まない草部皇子羽村できさという口の利けない娘に出会う。ある日、きさに導かれて森の奥に入っていくと・・・。大海人皇子は、果たして、丹生都比売に会えるのか・・・
コメント:梨木香歩さんの「丹生都比売」(におつひめ)。まるで語りかけるような本でした。影の薄い草壁皇子と、その母・持統天皇の話です。
母を思い、恐れ、そして思われたいと願う草壁皇子。その母は強い強大な母で、すべてを思うままにしようとする母だった。草壁皇子の母への思いを思うと涙が出ます。
梨木さんの作品は、やっぱり母と子を抜きにしては語れない。


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