リセット

著者:北村薫
出版:新潮社
初版:2001.01.20.
紹介:「スキップ」「ターン」に続く「時と人」をテーマにした3作目。
33年に一度やって来るという「獅子座流星群」。
戦争に向かっていく日本を内側から見つめている少女。はかない想いは無惨にも目の前でうち砕かれる。自分だけ生き残ってしまったという負い目。なかったはずの未来が広がっていく。
時を経て、出逢うものは?石川啄木・かるた・・・・呼び覚まされる記憶。
輪廻・転生・そして、僕は君と初めてのそして最後の「獅子座流星群」をみたのだった。
コメント:第1部を読んだときには、北村氏お得意の文学作品ををベースにしたもう一つの「子供が見た太平洋戦争」かと思ったのです。妹尾河童の「少年H」をちょっと思い出してしまった。ところが違った。なんか、いいねぇ・・・今みたいに即物的直接的な表現じゃなくて、本の中の一説とか歌詞の一部とか・・・そいうところにちょっと自分の気持ちを閉じこめて送るそういうのってステキだわ。
2部はガラッと変わって、病院に入院している男の日記を元にした問わず語りだ。1部2部の関連がしばらくわからないのだが、読み進めていくうちにとぎれていた糸が繋がっていくのがわかる。
物語の最初にでてきた「獅子座流星群」が最後に一本の柱になる。


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