あふれた愛

著者:天童荒太
出版:集英社
初版:2000.11.10.
紹介:「とりあえず愛」
「わたし、なつみを殺しちゃう」妻の口からこぼれた言葉は、武史に不安と苛立ちを覚えさせた。仕事に追われ、安らぎの場であるはずの家庭で苛立ち・・・。
「うつろな恋人」
ストレスケアセンターに入所した彰二が出会った清楚なイメージの少女。彼女の恋人は、現実には存在しない。実体のない恋人によって支えられた少女、と真実を知らせようとする男。2人の急速な接近が、何を引き起こすのか?
「やすらぎの香り」
自分の気持ちを出すことの出来ない女と、姉の死を事故の責任と思いこんでいた男。
社会の中から取り残され気味だった2人。1人ではやっていけないけど、2人なら支え合っていけるのか・・・。
「喪われゆく君に」
コンビニでバイトしている俺の目の前で、突然倒れた男。彼の死に、俺の責任はあるのか?ないよな・・・。男は妻の姿を恋人の上に重ねる、その繰り返しの中で、それぞれが失い、それぞれが見つけた現在。死んだ男に自分のイメージを重ね、死を迎えた1人の男の存在を俺は確認する。
コメント:心身の健康や、願っていた夢や理想。またかけがえのない大切な人を失ったとき、私はどうするだろう?今ある平穏な生活のすぐ下に隠れる不安定な社会。そんな中でなんとか自分を見失わないように、ギリギリでがんばっている現実。決して他人事ではない、身近な問題として感じてしまう。それでも、出来れば、思いやりを持って生きてゆけたらと思うのだが・・・。


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