著者:堀田あけみ
出版:角川書店
初版:1992.03.30.
紹介:憧れていた男がいる研究室。そんな心を見透かすように、亜々子は、忠告する。
もうすぐ私をティッシュぺーパーのように捨てる。
コメント:本を読む時って、登場人物の誰かに感情移入して読むときと、一歩離れて読むときがあるの。今回は3人の女性の誰にも入り込めなかった。
私は、この本を読んでいて、人称がどんどんかわっていくので最初ちょっととまどいました。主語がなくて始まるので、誰の言葉なのか「あれ?」って思ったり・・で、このお話の主人公は、誰なんだろう?
私としては、最終的には響子さんかなと感じました。
亜々子さんの生い立ちや生き方に関しては、確かに哀しい背景があるし、死を選んでしまったという結果については、なんかね・・・わからないでもない。そういう恋愛もアリかなと思う。
気になるのは、響子のほう。女性を好きになるって言う気持ちは、わかるの。
でも、死んでしまった彼女に、自分を同化させて行くというのは、けっきょく自己愛じゃないかなぁ。そして、復讐と嫉妬で、絡め取った虚偽の恋愛は、一番大切な自分自身をも欺いていることになるから、不幸だなあと思いました。
もちろんどんな恋愛を選択するかは、その人の自由だと思うけどね。いろんな恋に傷ついたり、失敗を重ねて行くのも、勉強だよね。と言うよりも、恋は傷つくことを恐れていちゃいけないような気もするのよ。でもまあ、こういう失敗(かどうかはわからないけど)は本の中だけで経験した方がいいかなぁ・・・なんて、娘を持つ母としては思ったりするわけです。だからね、本としてはとても興味深く読みました。
例えば、付き合っていることをまわりに秘密にする男の心理。とかね。