ごきげんな裏階段

著者:佐藤多佳子
出版:理論社
初版:1992.04.
紹介:こどもの頃、押入の奥とか、ふだん使っていない部屋とかには何かふしぎなものがあるような気がしていた。
そう、このマンションの裏階段にもいたの、ふしぎな生き物たちが・・・
*動物を飼ってはいけないマンションにノラ猫。タマネギが好きな猫はある日タマネギのような猫になりだんだん小さくなってしまって・・・(タマネギねこ)
*学校でたてぶえのテストがある、だけど練習しても練習しても全然うまくならない。ある日、裏階段で練習していると、背中に赤と黄緑の線がある大きなクモに出会った。そのクモが笛を吹くと・・・(ラッキー・メロディ)
*マンションのダストシュートを開けるとそこには煙を食べるのが大好きなけむりお化けの「モクー」がすんでいた。みんなに嫌われるタバコの煙を食べてくれるなら・・・(モクーのひっこし)
コメント:こどもの頃って、誰もいない物影にふしぎなものが隠れているような気がしていたっけ。これはそんなふしぎなメルヘンです。メルヘンだけど、現代社会で「ペットを飼いたい」けど飼えない。「笛の練習をしたい」けど大きな音は出せない。「タバコを吸いたい」けど部屋の中で吸わせてもらえない可哀想なお父さん。みたいな「禁止事項」のくさりの中で生きている子供達が心に描く幻想や希望が、このふしぎな裏階段には隠れているのね。


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