沙羅は和子の名を呼ぶ

著者:加納朋子
出版:集英社
初版:1999.10.30.
紹介:ちょっと不思議な短編集
*「黒いベールの貴婦人」荒れた病院の廃屋の中に子どもの声。そんだ子どもの幽霊とレイネ。人々を一瞬のうちに不幸に陥れたものの正体は・・・
*「エンジェルムーン」亡き妻の日記の中の世界。ある日、店にやってきた一人の女『私のこと、覚えてる?また来たのよ・・・』日記が蘇る・・・
*「フリージングサマー」大好きな従姉妹の部屋にくらす(ちせ)。忘れられることの悲しさ、閉ざされた心・・・
*「天使の都」『心はいつもすれ違う』失った娘・・・おまえがついていながら何故こんなことになったんだ・・・
*「海を見に行く日」女が一人で海を見に行きたいと思ったときは・・
*「橘の宿」山中に橘の香り。その中にたったひとつしか花を付けない木があった。
*「花盗人」おばあちゃんちの庭にあらわれる花盗人。ある日ポッカリと穴が空き、しばらくするとパンジーが植えられていた。
*「商店街の夜」ある日、さびれた商店街のシャッターを塗りかえている男を見かけた。夜になると描かれた雑木林から風が吹き、落ち葉が舞う・・・
*「オレンジの半分」半分に切ったオレンジは、右も左も同じ。まるで双子の姉妹のように。
*「沙羅は、和子の名を呼ぶ」新しい家に引っ越してきた(和子)。話す相手は(サラ)
コメント:自分では全く意識していない、あるいは、心の奥底に隠した記憶。自分のものであって、自分のものでない心・・・そんなものが見え隠れするおはなし。
私が気に入ったのは、「黒いベールの貴婦人」「フリージングサマー」と「商店街の夜」もいいかも。


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