著者:山本一力
出版:文藝春秋
初版:2001.10.15.
紹介:単身京から江戸に下ってきた豆腐職人の永吉の作る豆腐は、江戸の人の口には合わなかった。しかし思いこんだら一筋の女房おふみと永吉の知らぬところで応援してくれる人々に助けられ、ついに表通りに店を出すまでになる。だが長男のケガと両親の死をきっかけに、おふみは永吉や子供たちとの間に、心のすれ違いが生まれ、家族の心がバラバラになる。そして永吉夫婦の死後、残された子供たちを待ち受けていたのは……。
豆腐屋の一家をめぐる、家族物語。第126回直木賞受賞作
コメント:近ごろ人が殺されるような、壮絶な物語が多い中、久々に心和む話だった。
貧農の三男に生まれ、親からは疎まれて育ったにもかかわらず、本人の努力もさることながらその後のまわりの人々に恵まれている。
豆腐屋一家よりも、禿頭の傳蔵・担ぎ売りの嘉次郎・相州屋清兵衛のように、影で支えてくれている人たちの存在が、この話を暖かいものにしてくれている。たまにはこんなほのぼのとした物語も嬉しい。