グランド・フィナーレ

著者:阿部和重
出版:講談社
初版:2005.02.01.
紹介:離婚して娘と会うことを禁じられた男。最愛の娘への倒錯した愛の形は、カメラの中に納められていた。
少女への興味・関心…仕事を失い、田舎に戻った男を待ち受けていたのは、小学校でも演劇の演出だった。そこで出会った、二人の少女の真剣なまなざし。「二人の最後の記念の芝居をしたい」二人は、なぜ「最後」にこだわるのか…
(第132回芥川賞受賞作)
コメント:父親が娘をそういう写真の対象としてとらえるという事が、どうも、気持ち悪いのだが、決してありえないことではないのだろう。そしてそのかなり自分本位な愛情表現に気づかないというところがまた恐ろしい。途中で本を投げ出したくなるほどだ。
 けれど、「神町」で出合った少女たちを救いたいと思った彼が、娘を失った彼ならではの方法で彼女たちに生きるための細いロープを投げかけている。そこで彼自身も救われるのだ。


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