しゃぼん玉

著者:乃南アサ
出版:朝日新聞社
初版:2004.11.30.
紹介:親からも見捨てられ、通り魔や強盗傷害を繰り返す
無軌道な若者・伊豆見翔人は、逃亡途中で宮崎の山村にたどり着く。
成り行きから助けた老婆スマの家に滞在することになった翔人は、
近所の老人シゲ爺の野良仕事を手伝ううちに
村の暮らしに馴染んでいくが……
やりたいことをやり尽くして、弾けて消えればいい─
現代の若者の“絶望感”を細やかな心理描写で描き出す傑作長編サスペンス
(表紙カバー・帯より転顧)
コメント:時間が、子供だった自分をいつしか無気力な高校生に作り上げ、だらだらと過ごすばかりの浪人生に仕立て上げ、やる気ゼロの五流大学生にさせた。4人家族はバラバラになり、連続強盗殺人犯ができあがった。その場しのぎですぐやる気をなくし、そんな日々。
 山奥深い平家の落人が隠れ住んだという山里での生活は、それまでの生き方を、根本から変えようとしていた。
 自暴自棄・自堕落な主人公が、90歳の老婆や、山里の人々とのかかわりの中で、それまでの自分と向かい合う。最初の投げやりな態度から、少しずつ変化していく様子が少し希望をつなぎ、しかしたびたび、裏切りそうになり、その心の動きにハラハラする。「ぼうは、ええ子」そうやって頭をなでられる経験がなく育ったのだと、推測させられる。
 いい人たちにめぐり合えて、やり直すことができれば・・・彼は幸せものだ。


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