哀歌 上下

著者:曽野綾子
出版:毎日新聞社
初版:2005.03.20.
紹介:アフリカの発展途上国に派遣された修道女。日本での常識が通用しない、そして、この国の現状は日本では誰にも理解してもらえない。そんな中で、部族の対立から政治不安・さらには部族に関わらず手当たりしだいの虐殺が行われる。善意の仮面をかぶった裏切り。聖域である修道院で外国人として生活しながら、身近な人々が次々と命を失っていく。
 その中で、主人公の修道女が自分の立場と、心の中での葛藤が描かれてる。
修道女や神父までもが殺されてゆく惨劇、繰り返される虐殺のドサクサにレイプされる。
ボロボロになって脱出してきたところで、偶然であった善意の日本人。後半3分の1は
修道女としての自分と、お腹の中の決して愛することができない命をめぐってまた葛藤する。
コメント:「ルワンダ虐殺」が舞台だった。その歴史的事実も
知らなかったし…同じ地球で同じ時代を生きていたのに全く気づかず関心を持っていなかった自分自身にも驚くが、とにかく悲惨な事件。
主人公は現世を捨てた修道女とはいっても、けっこう人間くさい。
まして、現地の修道女たちは、慎みとは縁がない。日本とルワンダの様々な差異に驚かされる。
さて後半。善意の日本人は、日本に帰るための飛行機やホテル代など助けてくれるわけだが、次第に、物心両面で手を差し伸べてくれるようになる。修道女であることを辞めた彼女の中で、その人が今まで姿を現すことがなかった「主」「神」に重なっていくように感じたのは私だけだろうか。


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