読んだ日:2006.06.04.
著者:桐野夏生
出版:毎日新聞社
初版:2005.04.25.
紹介:63歳の夫が心臓麻痺で急死した。それまで家に寄り付かなかった息子が海外から妻子もちで戻り、家を出て行った娘も帰ってくる。混乱の中でそれぞれの思惑がぶつかり、更に、思いもかけなかった、夫の愛人の出現。今までの自分の人生はなんだったのか?これからどうしたらいいのか?還暦を前にして、悩みゆれる心。私だったらどうする?誰だって、家だけは大丈夫!と思っているに違いないのだ。
結婚して専業主婦・二人の子供は成人して、夫は定年退職。これからゆったりとした老後を二人で迎えるつもりでいた…って、普通にある設定だけに、ドキッとさせられる。殺人事件が起きない変わりに、隣の家でありそうな?いや、どの家でも起こりそうな問題をはらんでいるので、そこに引っかかってしまう。
しかし、女はだんだん逞しくなっていくもの。ラストも、年齢を重ねた大人たちがしたたかに生きている様子が描かれていて、まだまだ人生先が長いと、予見されるのだった。
この本。若い人が読んでも、今一ピンとこないだろうなぁ。