介助

夕方帰宅すると、我が家の塀に、杖を持ってもたれかかる男性。
恐らく歩きつかれて、一休みしているのだろう。
しばらくして洗濯物を取り込みながら、外を眺めると男性の姿はない。
すると、何かが落ちたような大きな音・・・
なんと、彼の男性が道路にひっくり返っている。
近くを通りかかった人が、ビックリして、助け起こす。
なんとか立ち上がって、大丈夫ですと歩き始めたのだが・・・
進まない。歩こうとしているのだが、足が出ない。
斜めになったL型・排水のグレーチングの網の上に杖を置くことができない。
あたりはだんだん暗くなっていく・・・
どうしよう?大丈夫かな?息子に声をかけて、外に出てみる。
「こんにちは。大丈夫ですか?」腕を取って、介助しようと思うのだが、うまくいかない。
一歩が出ないのだ。
どうしよう?家はすぐそこだというが、家人は仕事でいないという。
警察に相談する?どうする?どうしたらいい?
そうだ!作業療法士の勉強をしている次女に応援を頼もう。
息子に呼ばれて、娘が介助を代わってくれた。
「こんにちは、〇〇です。こちらから、さわっても大丈夫ですか?」
「転んで、どこか痛いところはありますか?」
「大丈夫です、ゆっくりと、進みましょう。」
杖を持っていないほうの、麻痺している側に立って、体を支える。
だけど、なかなか足が出ない。どんどん暗くなる。
「車を出しましょうか?」
「すぐそこだからいいです・・・」といったものの、足が出ないので、
「やっぱり、車でお願いします」という。
本人の同意を得たので、車を出すことにした。
道路の脇、体すれすれまで車を寄せる。
どうやって乗るのかと、心配していると、
自分で、ドアを支えにしながら、ゆっくりと回転して、
お尻から、乗り込んだ。外に残った足を、娘がゆっくりと、乗せる。
しっかりと座席に移動させ、「シートベルトしましょうね」
ゆっくりゆっくり。どこのお宅ですか?
一軒一軒すすむ。
「もうすこし、その電信柱の隣の次の家です」
「まあ、ほんとにご近所なんですね~」と娘。
ドアを開け、まずは足を外に出すように向きを変えた。
すると、
「門の柱に手が届けば、大丈夫です。もう少しだけ、車を後ろに下げてください」
なんと、ドアを開けたまま、30cmほどバック。
それで、なんとか利き手を使って、車から降り、門柱につかまり 家に帰ることができた。
あーよかった。娘がいてくれて、本当に助かった。
私は、車を出すことしかできなかった・・・
娘がいうには、多分、脳梗塞で、右半身が麻痺。
話はわかるから、頭はボケてない。
ここまで歩いてきたんだから、歩けるはず。
ただ、転んだので、右足に体重をかけてバランスをとるのが難しい。
片麻痺の場合は、麻痺した側を支える。
杖を持っているほうは、使えるので、支えてはいけない。
「よーく、覚えておいてね」でした。
自分ひとりでは、どうする事もできなかった。
だけど、うちのジジが家の前で転んだ時に、助けてくれた近所の人がいる。
ババとジジと2人だけの時に、ジジが転んだ時も、通りすがりの人が、手を貸してくれたという。
そういうことがあったから、やっぱり、見ない振りはできなかった。
だけど、自分ひとりじゃ、助けられないという事も、明らかな事実なのだった。


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