著者:宮部みゆき
出版:出版芸術社
初版:1991.02.22.
紹介:嵐の中、増水した道路でマンホールのふたが開けられていた。その中に子供が落ちたらしい。ふたを開けたのは、故意か?過失か?
その場に居合わせた少年は、透視能力があるという。少年が言うことは真実なのか?それとも巧妙なトリックなのか?
送られてきた白紙の手紙、無言の脅迫。犯人の狙いは・・・。
コメント:人が持たない能力を持って生まれたために、生きることが難しくなる。
透視能力・サイキック、冒頭からズンズン引き込まれていきました。
奇想天外なお話ではなく、もしかしたら本当にいるのではないかと思わせる無理のないストーリー。人の心を読んでしまうが故に犯罪の中に引き込まれてしまう、危うい少年達。さすがに宮部みゆき!!と言う感じでした。
著者:佐々木丸美
出版:講談社
初版:1975.11.12.
紹介:孤児院で育ち、養家での辛い仕打ちから逃れた飛鳥が出会ったのは、5才のとき迷子になって助けてもらった青年だった。親代わりの青年祐也と、飛鳥を取り巻く様々な思い。養家への消し去ることのできない恨み・・・・・。そして成長とともに彼女の祐也への思いは形を変えていく。
コメント:言ってみればひとつのラブストーリー。
孤児というちょっとヒロインに感情移入しにくいお話だったけど、「あしながおじさん」的青年の存在と主人公の成長や心の葛藤は、いかにもドラマチックで引き込まれてしまう。
珍しくもう一度ページを繰り直してしまった。続編も読んでみよう。
著者:椎名誠
出版:集英社
初版:1985.05.20.
紹介:椎名誠の息子、岳君とのエピソードをまじえたエッセイ風小説。
コメント:天然児(?)岳君と、彼を取り巻く人々。
父親としての暖かい眼差しを通した文章は、魅力的だ。岳くんのともだち、 先生、つりとの出会い。彼の成長の記憶がエピソードにつづられる。岳くんは、確かに魅力的ですね。
著者:原百代
出版:講談社文庫
初版:1985.05.15.
紹介:武則天───この女帝は、日本では一般に「則天武后」と呼ばれ、正しい歴史的理解をされていない。しかし、彼女は単に唐の高宗の后だっただけでなく、自ら起こした周のまさしく皇帝だったのだ。───それはともかく、まずは一代の女帝の生涯をその生誕から見て行こう。時は大唐帝国、太宗の貞観二年(628)(裏表紙より引用)
コメント:中国の歴史を全く知らない私が読んでも、興味深く読めそうな本です。
時代背景、風土、生活習慣なども詳しく説明が加えられ、中国初心者の私でも思わず引き込まれてしまいました。
「てん足」という風習は聞いたことがありましたが、後宮での「宦官」については初めて知り、とても驚きました。照る(武則天)がこの後どのように太子と関わっていくのか興味深いです。
著者:田辺聖子
出版:角川文庫
初版:1990.05.25.
紹介:貴族のお姫さまであっても、意地悪い継母に育てられ召使い同然。粗末な身なりで、一日中縫い物をさせられ、床が一段低く落ちくぼんだ部屋にひとりぼっちで暮らしている姫君────といえば、”シンデレラ姫”を思い浮かべることでしょう。姫君と青年貴公子のラブストーリーでもある「おちくぼ姫」は千年も昔に書かれた、王朝版「シンデレラ物語」です。
(表紙カバーより抜粋)
コメント:かるくって、サラサラ読めて、
「おちくぼ姫」の性格がいいので、なんだか読んでいて嬉しくなってしまいました。
たまにはこんな軽い本もいいわ。
著者:森博嗣
出版:講談社文庫
初版:1999.03.15.
紹介:同僚の誘いで低温実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園絵萌絵。
だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女に明の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが・・・・・。究極の森ミステリィ第2弾。(裏表紙より引用)
コメント:密室殺人?理系小説だとか、新しいミステリィだとか言われているけどそうかな?トリックもある程度予想できて、違和感もない。私は充分に楽しめました。
次作も読んでみよう。
著者:ジャスティン・コーマン&ロン・フォンテス
出版:小学館
初版:1994.04.20.
紹介:大好きな牧場を救うために都会に出たベイブ。ところが街ではとんでもない事態に巻き込まれ、牧場を救うどころか、動物たちの生活も危険に脅かされている。
動物たちに平和な暮らしはやってくるのか?そして、ベイブは牧場を救うことができるのか?
コメント:映画「ベイブ」の続編。やっぱり映画の方が見ていて楽しいだろうな。
著者:東野圭吾
出版:文藝春秋社
初版:1998.09.10.
紹介:スキーバスの事故に遭遇した妻と娘。重体の妻と奇跡的に助かった娘。
父と娘の、一見平和な生活が始まったかに見えたが・・・・
コメント:ヒロスエ主演で映画になったというこの作品。
結構気に入りました。妻と夫、娘と父。この肉体と精神のきわめて均衡のとりにくい関係の中でのそれぞれの苦悩。
さいごのほうほ、ユーミンの「翳りゆく部屋」がでてきたところで思わず目が熱くなってしまいました。
著者:銀色夏生
出版:角川文庫
初版:1988.07.25.
紹介:生まれることも歴史です。失うことも歴史です。私たちがもっとも大切にしなければならないことは、私たちの本当の目的です。
私たちの目的は、素晴らしく美しく悲しいほど純粋だったのではなかったでしょうか。
そのためになら生きていることを誇れるという目的だったのではないでしょうか。
私たちはそのことをうっかりと忘れないためにこそ、お互いに存在しているのです。
(表紙扉から引用)
コメント:SPEEDの歌にもこんなのがあったけど・・・・
この本もいいな。LESSONより好きです。銀色夏生って、女の子だったんですね。詩だけ読んでいたら男の子が書いたのかと思ってしまいました。
こんな時代、今なら戻りたいって思うけど、あのころは手探りで、出口がなくって、結構迷っていたよね。訳もなく友達といると落ち着いたし・・・・。
著者:銀色夏生
出版:角川文庫
初版:1988.04.25.
紹介:私たちは迷わずに歩いていきましょう。 もう、ここまで来てしまいました。
月日は、すぎていきます。あのころに帰りたいなんて言わないでください。
今、目の前にいるのが私です。今、目の前にいるのがあなたです。
どうしようもないことは、もう どうしようもないでしょう。
笑えることが素敵です ───著者(表紙扉から引用)
コメント:銀色夏生という名前にひかれて手にした本。
思いがけなくそれは写真集のような詩集だった。
今となってみれば、過ぎ去ったあの時代が懐かしく感じられるのだが、
あのころこの本を手にしていたら、きっと私のバイブルになっていたかもしれない。