光の帝国・常野物語

著者:恩田陸
出版:集英社
初版:1997.10.
紹介:特殊な能力を持ちながら、ひっそりと生きる「常野」の人々をテーマにつづる短編集。一つ一つの物語が集まって、大きな物語になっている。
・日本の古典を記憶の中に「しまう」。未来が見える。神隠しの山。「裏返す」。ずっと何百年も生き続ける「ツル先生」。戦時中殺された「常野」の人々。忘れられた記憶。都会の「草取り」。崖崩れの予知。
そして、常野で仲間が集うときがきた。
コメント:恩田陸3冊目。はい、すっかりはまってしまいました(笑)
なんていうのかな・・・・この本って未来が明るく見えてくる。
面白いからもう一回読み直そう!

三月は深き紅の淵を

著者:恩田陸
出版:講談社
初版:1997.07.07.
紹介:「たったひとりだけ、たった一晩だけしか、他人には貸してはならない」と言う幻の本をめぐ
第一章・作者もわからない、出版数もごくわずかといわれる「三月は深き紅の淵を」。
この本を膨大な蔵書の中から見つけだすことができるか?
ダイングメッセージは「ザクロの実」
第2章・本の作者を捜して出雲へ旅する。そこで出会ったひとつの結末。
第3章・美しい異母姉妹が出会ったきっかけは・・・・。
そして崖から落ちて、死んだ2人の背後には何があったのか?
そう、これもひとつの結末。
第4章・そしていよいよ「三月は深き紅の淵を」を書き始める。かと思ったのだが・・・る物語。
コメント:恩田陸さん2冊目。素直じゃないのね・・・・
一冊の本で4倍楽しめる本。どうも気になる作家になりそうな予感。

球形の季節

著者:恩田陸
出版:新潮社
初版:1994.04.20.
紹介:三方を蛇行した川で囲まれ、残りの一方を鉄道で囲まれた「谷津」は、昔からよく人がいなくなった。────「神隠し」
閉鎖的な町に伝わる風習。隠された言い伝え。
地方の閉鎖的な町に育った高校生たちが巻き込まれる、不思議な出来事。町を出たいと思う人と、町にこのまま住み続けることができる人間。そして、川を跳んで向こう側の「本来の谷津」行ってしまうことは、果たして幸せなのだろうか・・・。
コメント:恩田陸さんの本を初めて読みました。名前から男性を想像していましたが、違っていたようです。
「異次元」「異空間」を扱ったファンタジー、ミステリー?高校生が主人公なのもいいです。私はけっこう気に入りました。この人にハマルかも知れません。

生きものたちの部屋

著者:宮本輝
出版:新潮社
初版:1995.06.15.
紹介:彼の書斎には色々なものたちが住み着いている。48色のクレヨン、緑色のインク、煉瓦色の水瓶、手巻き式の腕時計、地球儀、左利きなのに右利き用のゴルフセット、古備前のぐい呑み・・・そして「自分を犬だとは思っていない犬」マック。
彼の小説はその中から生まれてくるのだ。
大晦日の書斎で、悩み苦しみ酒に溺れた母の幸せな最後を想い、母に謝罪する。
しかし、その書斎も、あの阪神大震災で失われて、今はない・・・・。
コメント:このエッセイ、ZERRYさんに紹介していただきました。
宮本輝さんの本を読んだことがないのですが、このエッセイを読んで、ちょっと読んでみたくなりました。何を読んだらいいかな?

西の魔女が死んだ

著者:梨木香歩
出版:楡出版
初版:1994.4.19.
紹介:中学生になったばかりの頃、まいは、学校に行けなくなった。学校がマイにとって「苦痛を与える場所でしかない」から・・・・。
「扱いにくい子」「生きにくいタイプの子」・・・まいは英国人のおばあちゃんの家で暮らすことになった。そこ出まいとおばあちゃんの「魔女修業」が始まった。
第一歩は「早寝早起き、食事をしっかりとり、良く運動し、規則正しい生活をする。」
多感な少女期。みんな誰しも自分のまわりの世界との関係に悩み出す頃。生きることの下手な女の子が西の魔女との関わりの中で、少しずつ気持ちをかえていく。
コメント:赤毛のアンの世界にも似た自然描写の世界で、読む人もホッと一息つけます。おばあちゃんの優しさが心にしみます。いいなこの本。小5の娘も読んだらすっかりお気に入りになりました。
最後におばあちゃんが亡くなってしまうときが悲しいです。でも、違うのかな?
「ニシノマジョカラ ヒガシノマジョヘ オバアチャンノ タマシイ ダッシュツダイセイコウ」ね?おばあちゃんはそばにいるよね。

山田詠美

著者:
出版:セイフティ・ボックス
初版:私のセイフティ・ボックスの中身は、パスポートでも、お財布でもクレジットカードでもなく、私を取りまく人間たちのような気がする。そしてその人たちがしゃべる言葉や考えたことや心の動きなどが絡み合って、貴重品を作っていくのだと思う。だからセイフティボックスの鍵はなくさないようにしなくっちゃね。(後ろ表紙より)
紹介:
コメント:山田詠美のエッセイ。ニューヨークに行ったり、南の島へ行ったり、ポンちゃんは忙しい。このころポンちゃんは新しい恋人、DCに出会うのだ。素直で正直でカワイイ(!)ポンちゃんに出会えます。

テレヴィジョン・シティ

著者:長野まゆみ
出版:河出書房新社
初版:1992.10.30.
紹介:少年はテレヴィ・スクリ-ンをみて過ごしている。「アーチィの夏休み」家族も兄弟もいない、いるのは会ったこともないパパとママと同室のイーイー。友達は?ボクはどこから来たのか?幼児期の記憶。ボクがいるのは巨大なビルディングだ。このビルのことをボクは何も知らない。どんな人がいて、どういう仕組みで・・・ボクは・・・?
「身のまわりに捨てるものがなくなったとき、最後に捨てるのはボディとスピリット・・・どちらを先に手放すか。今は誰もがそれを悩んでいる。」(本文より)
コメント:最後まで読んで何がなんだかわからなくなってきた。
どれが現実で、どれが虚構なのか?これはゲームなのか?物語の外側にいるものが見えない。
物語の中心はアナナスとイーイーの心のかかわり。何を信じればいいのか、相手の思いがわからないもどかしさ。ウーンどうもよく分かっていないみたいです。
「世界が壊れても、少年と蒼い海は残る。」・・・かな?

うさぎの本

著者:松浦寿輝  絵:米田民穂
出版:新書館
初版:1996.11.05.
紹介:ある日私のアパートの押入のなかで、年とったうさぎが古本屋を店開きしてしまった。お客は山の動物たち、かなり迷惑なのだが、なんとなく気になる。
そのうち、うさぎの店をのぞいたり・・・・そこで私は一冊の詩集を見つけた。「うさぎの詩集」。私はうさぎの爺さんと仲良くなりたいなぁと思い始めたのだった。
コメント:絵本じゃないんです。でも、表紙の「うさぎ」の愛らしいこと!!
ところどころにある挿し絵が、ホッと暖かくなり、思わず読みたくなる本です。
うさぎの爺さんが魅力的で、こんな古本屋があったら私も通ってしまいたくなるような、やさしい気持ちになりました。うちの押入にも来ないかなぁ

新学期

著者:長野まゆみ
出版:河出書房新社
初版:1995.07.20.
紹介:17才も年の離れた兄と二人で同居を始めた14才の「史生」。
新しい土地、新しい学校で待ち受けていたのは「椋」「密」と言う曰わくくありげなふたりだった。「史生」と兄との新しい生活。兄への思い。わきあがる疑問。「椋」と「密」と兄との関係。初めての環境のなかで、迷い、悩み、とまどう「史生」。
コメント:長野まゆみさんの作品ははじめてです。タイトルからちょっと違う「新学期」を予想していたのですが、時代も、言葉遣いも、少し昔に設定してあります。そのためか、全体の雰囲気がちょっと懐古的。設定が現代ならこういう話にはならないだろうなぁ・・・とおもいました。
そうそうページ付も縦書き、漢数字でこだわっている感じ。表紙の校舎がノスタルジック。

光堂

著者:赤江瀑
出版:徳間書店
初版:1991.06.30.
紹介:美しい言葉の陰に、ひそむ妖しさと妖艶さ。何とも言えない「不気味さ」をつつむ作品群。
人が心の奥底に隠し持つ記憶のかけらが、日のあたる場所に出てこることによって、その「不気味さ」がいっそう光を放つ。
「美酒の満月」「逢魔が時の犀」「ようよう庭の幻術」「青毛」「雛の世あらし」「夜市」「光堂」「艶かしい坂」「青き鬼恋うる山」
コメント:あるMLのなかで初めて名前を目にした「赤江瀑」図書館でその名前にひかれ手に取った初めての一冊です。
「雛の世あらし」は不思議な感じで面白かった。