黒い家 第4回日本ホラー大賞

著者:貴志祐介
出版:角川書店
初版:1997.06.30.
紹介:その黒い家の前に立ったとき、彼の頭に警告が・・・・
───早くこの場を立ち去れ!───
とっても怖い話だ。しかしこれはもはや空想の世界ではなくて現実社会の中に確かに存在しているのだ。
コメント:怖い怖いというので、昼間明るい日差しの中で一気に読み上げてしまいました。きっとそのせいで思ったほどは怖くなかったです。
家、この本が出版された2年前だったらもっと怖かったかもしれません。この話を怖いと思わなくなった自分の心の方がちょっと恐ろしい。
それよりも、主人公のトラウマにとらえられた夢の話や、心理状態の方が興味深かったです。

スキップ

著者:北村薫
出版:新潮社
初版:1995.08.20.
紹介:〈時と人〉のひとつめ。
17歳の高校生だった私が、気がついたら別の人になっていた。体は大人なのに、心は17歳。私は元の世界に帰ることができるのかしら・・・・
コメント:北村薫さん、ずっと男の人だと思っていたのですが、このほんをよんで、「女性!」と思いました。だけど本当は、やっぱり男性だったんですね。
ねえ・・・どうしてこんなに中年の女の気持ちが分かるのぉ?
この本、面白かったです。一気に読んじゃいました。

だれも知らない小さな国(佐藤さとる全集8)

著者:佐藤さとる
出版:講談社
初版:1973.08.14.
紹介:子どもの頃見つけた小さな森、そして小さな人。その森をずーと忘れずに大切にしてくれる人。せいたかさんと小さなコロボックルのお話が始まりました。
コメント:もう40年も前に出版された本です。子どもの頃図書室でその前を何度も通りながらずっと読まなかった本。ああ!!何で今まで読まなかったんでしょう?
40年という歳月を感じさせない本なのです。本当にいい本というのはこういうのを言うのですね。シリーズになっているので、ほかのも読んでみたいと思います。

理由

著者:宮部みゆき
出版:朝日新聞社
初版:1998.06.01.
紹介:「一家四人殺し」は何故起こったか?家が、家族が、そして人がだんだん壊れていく。
ある巨大マンションで起こった殺人事件。その家族は・・・殺されたのはだれなのか?
様々な家族の過去と生い立ちに触れながら、現代の家族が抱える悩みに触れる。
・・・マンションの競売・占有屋・・・(直木賞受賞作品)
コメント:あいかわらずミヤベはすごいなぁ・・・!
一見うまくいっているような家族、だけど何かが違っている。それぞれの関係者が事件を振り返って語る話を、誰かが聞き書きしている構成。今回は割と最後まで殺人の理由がわからなかったなぁ・・・。私が犯人の気持ちに共感できていないせいかなぁ?

きみが住む星

著者:池澤夏樹
出版:文化出版局
初版:1992.10.25.
紹介:美しい地球の風景と、その風景にまつわるお話を少々。
僕からきみへの優しい思いが伝わります。
コメント:「やさしい時間」が訪れた。ひとつひとつの断片の中にひそむ、時と場所が、手紙という形でつづられていく。こんな手紙をもらったらうれしいな。

新版・さらば、悲しみの性 高校生の性を考える

著者:河野美代子
出版:集英社文庫
初版:1999.05.25.
紹介:「愛し合っていればセックスしてもいい」とは、現代の若者の常識。しかしその結果、10代の妊娠と人工中絶が増えているとしたら?産婦人科を受診した女性の姿を通して、著者は生命の大切さ、正しい避妊の必要性を訴えかけます。
「もっと自分の体を知り、もっと自分の体を大切に!」豊かな性の確立をめざす中高生への熱いメッセージ。(裏表紙より引用)
コメント:子供たちの性を考えるために、紹介されて読みました。
お医者さんの立場から書かれた本書は、確かに事実であり、理にかなっているのですが、例えば娘に「これ1冊を読みなさい。」という気持ちにはなれない。だって、この本だけ読んだらきっと恐怖感の方が強いのじゃないかな?
私としてはこの本を読む前に、もっと人を愛すること、相手を思いやること、男の性と女の性のとらえ方の違い、自分を大切にすることなどの心の面を語る本を読んで欲しいな。この本は、ファーストブックにちょっときつい。

コブタの気持ちもわかってよ

著者:小泉吉宏
出版:ベネッセコーポレーション
初版:1997.09.20.
紹介:コブタの子供が、おかあさんと、おとうさんのまえで、どうしていいのか困ってしまっています。
コメント:絵本・・・かなぁ?コブタ君、きみの気持ちに気がつかなくってごめんね。

24人のビリー・ミリガン 上・下

著者:ダニエル・キイス
出版:早川書房
初版:1992.08.31.
紹介:24人の多重人格を持つ男。多重人格とは?なぜ多重人格が発生したのか?ひとつの肉体に存在する24人の意識。それぞれがお互いを知り得ない少年期から、人格がお互いを自己管理していく青年期。「好ましいもの」と「好ましくないもの」。自己の中の人格を否定して生きる方法。空白の時間・・・・。
事件の真相はどうだったのか?そして、彼に罪はあるのか?
コメント:多重人格、よく知らない言葉でした。初めは、ビリーUの立場に立って読んでいたので、多重人格ゆえの理不尽さを感じていました。しかし、自己内部で否定される人格の存在については、どんなに「好ましくないもの」であっても、否定しないで受け入れるべきではないかと感じるようになりました。
そして、一市民として、犯罪の被害者となりうる立場で考えれば、やはり近くに住んでいたらおそろしいと感じるのは当然のことだと思います。多重人格は治るのか?続編が気になります。

まよなかの魔女の秘密 ─こそあどの森─

著者:岡田淳
出版:理論社
初版:1997.04.00.
紹介:行方不明になったポットさんを探して、森のみんなの捜索が始まる。
そのときスキッパーの前に現れた一羽のふくろうと、そこに隠された意外な秘密とは・・・・
コメント:トマトさんは二重人格だった?その秘密を知っていたのはポットさんだけ。トマトさん本人も知らない。トマトさんがショックを受けないように、ポットさんはみんなに秘密を打ち明ける。愛するっていうことは、相手のいいところも悪いところもすべて丸ごと受け入れることなんだ・・・。
この本、ゆーゆに小学校の図書館から借りてきてもらいました。

暗殺者ロレンザッチョ

著者:藤本ひとみ
出版:新潮社
初版:1998.10.25.
紹介:フランス国王フランソワー1世の時世。王妃と愛妾エタンプ夫人。王太子アンリと王太子妃カトリーヌと愛人ディアーヌ。
それぞれの女たちが、自分の立場を守るために画策する。
暗殺者ロレンティーノはなぜ暗殺者となったのか?彼の生い立ちからフィレンツェでの出来事まで。彼に語られることによって、物語は進む。彼は自分の存在価値をどのような形で表そうとしたのか?
コメント:画策に満ちている。自分が手にしていると思ったものが、実は何もなかったことに気づいたとき、人はどのように自分自身の存在意義を見いだすか・・・・
藤本ひとみの作品のひとつとして、また違った形の作品です。ロレンツィーノの、暗殺者となった精神の動きはなかなか興味深く読んだ。ただ物語としては、ちょっと今ひとつ盛り上がらなかったな。