著者:京極夏彦
出版:講談社
初版:1994.09.05.
紹介:男がある日部屋の中から失踪した、密室。
その妻は、妊娠20ヶ月もたつというのにいっこうに出産の気配も見せない。
その産院からは、生まれた赤子が姿を消すという噂が流れる。<憑き物筋><姿を消す看護婦><ダチュラ><忘れ去られた記憶>京極堂シリーズ第1作。
コメント:夏にふさわしい1冊。何とも不気味でまがまがしい。
京極堂の一見無関係なうんちくに思わずその手の内に落ちてしまう。
ちょっと苦手だなぁ・・・・と思ったけれど、読み終わってみれば納得のいく一冊でした。
著者:シドニィ・シェルダン
出版:アカデミー出版
初版:1998.09.10.
紹介:帯カバーより
1.彼女は果たして100万ドルのために患者を殺したのか。証拠をつかんだ同僚医師の魂胆は?
2.彼女はなぜ賭などのために命をかけたのか?二重婚約を解決するために彼が選んだ道は?
3.彼女は愛の天使なのか、それとも色と欲をからめた単なる淫乱女なのか?優秀な女医の出世街道の先にあるのは?
この年エンバーカデロ郡立病院をおそった激震にあなたは耐えられるか!
コメント:「おもしろい!」3人の女性研修医の話なんだけど、ものすごいセクハラの中で、個性的な女医さんがそれぞれ一生懸命生きているの。シドニー・シェルダンって、初めて読んだけど、ちょっとはまりそうです。訳者がいいのかな、「超訳」ってかいてあるけど、多分日本語訳も面白いのだと思います。この超訳が、キライっていう人もいるかもしれないですけど・・・
著者:森博嗣
出版:講談社文庫
初版:1998.12.15.
紹介:孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る、天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウェディングドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然島を訪れていた、N大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。(表紙裏より引用)
コメント:久々に、推理小説という感じで良かったです。
ウィンドウズ95がでる前に書かれた本で、UNIXによるプログラム・トリック。256×256の答えは・・・
トリックがちゃんとしていて気にいりました。
だけどこの、犀川・萌絵コンビ、妙な二人ですね。フフフ・・・
著者:池澤夏樹
出版:中央公論社
初版:1988.02.29.
紹介:スティル・ライフ
星をみること、あるいは山の形、せせらぎや蝉時雨。
彼と話す話はそんな話だった。
仕事の話とか、家族の話だとか、そんな話をしたことがない。
ある日、彼から電話がかかってきた。「変な話」をもちかけるという・・・・。
ヤーチャイカ
かんなと父・文彦はふたり暮らし。
生活は変化している。日常だと思っているものはいつ変わるかわからない、父はロシア人と出会い、カンナはもうディプロドクスを飼い続ける事はできないのだ。
コメント:そうですね。「いつも」という日常が、少しずつ形を変えていく経過・・・
が感じられます。個人的には「君が住む星」の方が好きですね。
著者:宮部みゆき
出版:新人物往来社
初版:1993.09.30.
紹介:死んだはずの男が生き返った?
不思議な力を持つ「お初」にはその男が若返ったように見える。油の大樽の中に小さな白い手が見えた。
続く子殺し、「りえ」・・・・死人憑きはいったい何なのか?
「浅野内匠頭」が切腹した場所にあるという「夜泣き石」。お初がそこでみたものは・・・?100年の時を越え、怨念が今よみがえる・・・
コメント:宮部みゆきの「時代物」初挑戦!
あー。おもしろかった。忠臣蔵の実は隠された真相を追いながら、当時の権力につぶされていく武士たちの悲しい後ろ姿が見えます。
著者:北村薫
出版:新潮社
初版:1997.08.30.
紹介:突然、車が飛び出してきた。信じられないような割り込み!次の瞬間、君はハンドルを右に切った、そしてブレーキ・・・・そこへ左折のダンプカーが!
記憶は前の日にさかのぼる。すべて昨日のことだ。自己にあったその時間になったとき・・・・君はまた昨日の同じ場所、同じ時間に戻るのだ。永遠に繰り返される時・・・・
<時と人>の三部作の2作目。「ターン」
心の中に聞こえる声、いつもふたりで話していた、それはごく自然のことだったのだが・・・繰り返す時間の中で、ある日電話のベルが鳴った。そこから聞こえる声は・・・
コメント:北村薫さん2冊目。おもしろかった。あっという間に読了!
これが男の人の手によって書かれたものとは信じがたい。
<時と人>の三部作の3作目。「リセット」は、まだ出版されていないので、次が楽しみですB北村薫さんの他の作品も読んでみたいな。
著者:桐生操
出版:KKベストセラーズ
初版:1999.03.05.
紹介:・ラプンツェル(魔女と呼ばれた女の復讐)
・ヘンゼルとグレーテル(人殺し領主の少年狩りの罠)
・三枚の蛇の葉(真実の愛の結末)
・ブレーメンの音楽隊(さえない男たちの反乱)
・人魚姫(浮気な王子とひたむきな騎士)
・裸の王さま(詐欺と承知で家臣を試す)
・幸福な王子(生身の王子を愛した少女)
グリム童話、他の一見簡素な文章の行間に、人生や愛に関するより深い示唆を読みとり、童話が本当に意味するところのものを引き出しえぐり出した。
コメント:一作ごとの解説が参考になります。
本当はこういう時代背景の中でできた話なんですね。
私は「ブレーメンの音楽隊」が個人的には一番おもしろかったです。
「ブレーメンの音楽隊」は実は「脱サラ楽団」だった!
著者:柳田邦男
出版:文藝春秋社
初版:1995.07.30.
紹介:25歳になる息子の自死から、脳死へいたるまでの11日間。書くことを生業とする父が、息子の心の中、精神的苦悩を彼の存在証明のために書きつづる。
「誰の役にも立てず、誰からも必要とされない存在。」から「自己犠牲」によって他者の役に立ち、自らの存在を明らかにする。彼の意志は「骨髄バンク」にドナーとして登録された。父はその延長として、腎臓提供に同意したが、息子の脳死を、人の死と認めつつも、家族として医療の立場での医師との間に様々な思いの違いを感じ始める。
コメント:脳死について、今まで漠然と考えていましたが、あらためていろんなことを考えさせられました。
自分の息子の心の病に6年間も気づかずにいたという著者の苦悩。息子の「自己犠牲」を、生かすことによって、人の役に立ちたいを言う希望を叶える。
いいとか悪いとかではなくて、本当にいろんなことを考えさせられた本でした。
著者:村上春樹
出版:講談社
初版:1982.10.15.
紹介:一枚の写真に写った、一匹の写真を探して旅が始まる。
羊の目的は?羊と共に生きた者はどうなるのか?
そして、探し当てた場所にはすでに羊もネズミも存在しなかった。
長い長い過去を振り返って、旅をした先で失ったものは・・・・。
コメント:全く不思議な「村上ワールド」その中にあって、共通しているのは、子供を産まない夫婦と、しっぽの曲がった猫。いったいこれは・・・???
著者:小野不由美
出版:新潮社
初版:1998.09.30.
紹介:ある樅の林に囲まれた小さな村で次々と人が死んでゆく。原因は不明、新しい疫病か?町とは孤立した村。人々が結束した共同体。村は「死」によって包囲されている。
突然の転居、死の直前の退職。それは、人々の死とどんな関係があるのか?
他者に存在を認められること。「人々に求められる存在になること」と、「自分自身の本当の姿でいきるようとすること」この二つの間で常に揺れ動いている。彼が生きてゆく場所はどこにあるのか?
コメント:上下合わせて、厚さ8cm。一瞬読むのを躊躇するほどの存在感!!
しかし読み始めてからは、徐々にその世界に引き込まれていきました。読後感は人も屍鬼も悲しい。読み物としてはとても面白かったです。