著者:原百代
出版:講談社文庫
初版:1985.06.15.
紹介:唐の意地をかけて高句麗に赴いた太宗の親征も結局は失敗だった。そのうえ征旅の帰途に得た病は、容易に回復しそうにない。もし帝が死んだら、たとえ一度でも龍床に侍した宮人は即刻尼寺行きとなるのだ。「武姓の女」であるゆえに、帝の寵を失い、今は一宮人にすぎない武照に過酷な運命は容赦なく迫る・・・・・・。(裏表紙より引用)
コメント:武照の人心をつかむ策略が見事です。太宗の死後、尼寺から高宗のもとへ復活するその手管といったら・・・・。そして王后の心をつかみ、子供を産んでからは自らが后となるまでの、その策略ぶり!!
原 百代の解き明かす正しい「武則天」像。思わず引き込まれてしまいます。
著者:北村薫
出版:創元推理文庫
初版:1994.04.01.
紹介:「円紫さんと私」シリーズの一冊目。北村薫のデビュー作です。
女子大生の私と、噺家円紫さんの出会い。小さなエピソードにまつわるちょっとした不思議。推理小説とも、ミステリーともいえない、円紫さんの観察眼と優しい心が魅力的な作品です。
コメント:先日、先に「秋の花」を読んでしまったのでちょっと物足りなく感じてしまいました。北村薫の作品の最初にこれを読めば良かったのかな。
ミステリーとしてではなく、人の心を読む本という感じです。
男の人なのに女子大生の一人称で書いているし、北村薫ってつくづく不思議です。男性の立場で書かれている作品もあるのかな?
著者:荻原規子
出版:福武書店
初版:1991.12.20.
紹介:遠子と小倶那は双子のように育った。だが小倶那が都に出、「大蛇の剣」を手にしたとき、ふたりの絆は断たれてしまった。小倶那は大君の策謀にのせられ、神代から勾玉を守ってきた遠子の郷を焼き滅ぼしてしまう。「小倶那はタケルじゃ。」郷の大巫女の言葉に遠子は・・・・?
神々が地上を去って数百年の後、残された「力」をめぐって輝の神の裔、闇の神の裔の人々の選択を描きます。
「空色勾玉」で人気を博した著者による、ヤマトタケル伝説を下敷きにした壮大なファンタジー。(表紙扉より引用)
コメント:自分では選ぶことのできない定めによって、翻弄されるふたり。一番大切な人だからこそ、自分の手で殺さなければならない。
ファンタジーでありながらラブストーリー。ちょっと長いかな?と思ったけれど、思わず引き込まれあっという間に読んでしまいました。おもしろかったです。次は「紅色天女」だ!
著者:桐生操
出版:KKベストセラーズ
初版:1998.07.
紹介:・シンデレラ
・白雪姫
・眠れる森の美女
・ヘンデルとグレーテル
・他
グリム童話、他の一見簡素な文章の行間に、人生や愛に関するより深い示唆を読みとり、童話が本当に意味するところのものを引き出しえぐり出した。
コメント:どちらかというと、子供に読ませたくないグリム童話と言う感じです(笑)
でも、娘は、読んでます。中学校の図書室にもあるんですよ。
でも、そのころの社会背景が解説されているので、おもしろいです。
この本も、図書館で予約して、4ヶ月待ちでした。
著者:佐藤多佳子
出版:新潮社
初版:1997.08.30.
紹介:しゃべることに抵抗を持っている、テニスコーチ・劇団員・小学生・引退した野球選手。それぞれが抱える、様々な個人的な問題。自信を失いつつある人たちが、ひとりの噺家のもとに集まった。落語を通して、それぞの問題に正面から向かい合うことになる。年齢も、立場も異なる人々との交流の中から彼らが手にしたものはなんだったのか。
コメント:結構テンポよく読むことができ、また心の葛藤もあり、なかなかいい作品でした。おすすめです。
著者:「少年A」の父母
出版:文藝春秋
初版:1999.04.
紹介:前評判が悪かったこの本。「親の言い訳」にすぎないと言う・・・・
事件前を思い出しながら書いた記録。突然の逮捕後の日記。どれも混乱の中で自分自身が混乱している。親自身が起きている状況を納得できていない。続く事情聴取の中でも、何も分かっていなかった様子が窺われる。被害者側への謝罪の言葉のとなりに並ぶ、自分が置かれている状況への不満。○○を食べた。△△がおいしかった。食欲がない。周囲の人の励ましが嬉しかった。etc・・・
報道関係者の執拗な取材。残された家族の生き方。そして「長男A」への様々な思い。あまりに人間的すぎるのだ。
コメント:同じ年の子供を持つ親として、事件当時は「なぜこんな事件が起きたのか?」というよりも、「なぜ、親が気づかないのだろう?」という気持ちでした。
我が子がこんなことをするはずがない、という思いはわかるけど・・・やはり不可解。
多分この本は、マスコミからの要望があって書かされた文なのだろう。こんな文を本として出す意味があるのかという意見も多いだろう。
でも、ふと思ってしまうのだ。社会の目、被害者側からの視点で考えれば「いったいどんな子育てをしているのだ!!」「なぜ気づかなかったんだ?」という気持ちですが、逆に、Aの親の立場になってみたら・・・・。
・3人の子供を育てる専業主婦
・子供のためにPTAの仕事を引き受け
・地域の人たちともつきあい、サークル活動にも参加し
・勉強のことはうるさく言わず、子供の興味のあることをのばそうとする
・子供の意思を尊重私塾にも行かず。
ほとんど、私の生活と重なってしまう!!
違うのは、体罰を与えないことくらいなのだ。
いったい、どこで、こんなに「少年A」との世界が離れてしまったのだろう?
著者:宮部みゆき
出版:出版芸術社
初版:1991.02.22.
紹介:嵐の中、増水した道路でマンホールのふたが開けられていた。その中に子供が落ちたらしい。ふたを開けたのは、故意か?過失か?
その場に居合わせた少年は、透視能力があるという。少年が言うことは真実なのか?それとも巧妙なトリックなのか?
送られてきた白紙の手紙、無言の脅迫。犯人の狙いは・・・。
コメント:人が持たない能力を持って生まれたために、生きることが難しくなる。
透視能力・サイキック、冒頭からズンズン引き込まれていきました。
奇想天外なお話ではなく、もしかしたら本当にいるのではないかと思わせる無理のないストーリー。人の心を読んでしまうが故に犯罪の中に引き込まれてしまう、危うい少年達。さすがに宮部みゆき!!と言う感じでした。
著者:佐々木丸美
出版:講談社
初版:1975.11.12.
紹介:孤児院で育ち、養家での辛い仕打ちから逃れた飛鳥が出会ったのは、5才のとき迷子になって助けてもらった青年だった。親代わりの青年祐也と、飛鳥を取り巻く様々な思い。養家への消し去ることのできない恨み・・・・・。そして成長とともに彼女の祐也への思いは形を変えていく。
コメント:言ってみればひとつのラブストーリー。
孤児というちょっとヒロインに感情移入しにくいお話だったけど、「あしながおじさん」的青年の存在と主人公の成長や心の葛藤は、いかにもドラマチックで引き込まれてしまう。
珍しくもう一度ページを繰り直してしまった。続編も読んでみよう。
著者:椎名誠
出版:集英社
初版:1985.05.20.
紹介:椎名誠の息子、岳君とのエピソードをまじえたエッセイ風小説。
コメント:天然児(?)岳君と、彼を取り巻く人々。
父親としての暖かい眼差しを通した文章は、魅力的だ。岳くんのともだち、 先生、つりとの出会い。彼の成長の記憶がエピソードにつづられる。岳くんは、確かに魅力的ですね。
著者:原百代
出版:講談社文庫
初版:1985.05.15.
紹介:武則天───この女帝は、日本では一般に「則天武后」と呼ばれ、正しい歴史的理解をされていない。しかし、彼女は単に唐の高宗の后だっただけでなく、自ら起こした周のまさしく皇帝だったのだ。───それはともかく、まずは一代の女帝の生涯をその生誕から見て行こう。時は大唐帝国、太宗の貞観二年(628)(裏表紙より引用)
コメント:中国の歴史を全く知らない私が読んでも、興味深く読めそうな本です。
時代背景、風土、生活習慣なども詳しく説明が加えられ、中国初心者の私でも思わず引き込まれてしまいました。
「てん足」という風習は聞いたことがありましたが、後宮での「宦官」については初めて知り、とても驚きました。照る(武則天)がこの後どのように太子と関わっていくのか興味深いです。