著者:乃南アサ
出版:講談社
初版:1996.12.10.
紹介:「鍵」の続編です。
女子高生麻里子は、姉、兄屋友人などと過ごしているが、どうしても耳が聞こえないというハンディのなかで疎外感を感じている。
そんな麻里子の前に、殺人の疑いをかけられた青年が出現する。彼もまた耳が不自由だった。健常者にかたくななまでの拒否反応を見せる青年と麻里子。ふたりの間には、新しいコミュケイションが始まる。
そんななか、今度は別の事件が起こる。すべてを他人のせいにして生きる自己中心的な男と、麻里子たちの接点はどこにあったのか?
事件の思いがけない展開にハラハラ・ドキドキ!!
コメント:「遠回りした生き方は、いろんな景色が見える。」
「いろんな景色を見るためにはさ、窓を広げておかないとな。」
心の窓を閉ざして、自分の内側に閉じこもりきりにならずに、いつでも心の窓を広く開けておく・・・・麻里子の気持ちは、誰にとっても大切ですね。
著者:乃南アサ
出版:講談社文庫
初版:1996.12.15.
紹介:高校2年生の麻里子のカバンに、知らぬ間に一つの鍵が押し込められた───。近所で連続して起きる通り魔事件は、ついに殺人にまでエスカレート。父も母もいなくなった傷害を持つ女子高生と、その面倒を見なければいけなくなった兄や姉との心の通い合いをも見事に描いた、新直木賞作家の泣ける名作ミステリー。(裏表紙より引用)
コメント:耳が聞こえないという障害が、本人に与えるダメージ。そしてそのことによって周囲から受ける二重のダメージ!!
麻里子のひとりでやろうとする気持ちはわからなくもないけど、普通、健常者だってこんな冒険はしないだろうなぁ・・・。でもそれじゃ作品にならないか。
通り魔事件の犯人と、その背後にあるもの。主人公麻里子とどう関わってくるのかハラハラさせられる一冊でした。
著者:森博嗣
出版:講談社
初版:1997.01.05.
紹介:那古野市内の大学施設で女子大生が立て続けに殺害された。犯行現場はすべて密室。そのうえ、被害者の肌には意味不明の傷跡が残されていた。捜査線上に上がったのはN大工学部助教授、犀川創平が担任する学生だった。彼の作る曲の歌詞と事件が奇妙に類似していたのだ。犯人はなぜ傷跡を残し密室に異様に拘るのか?理系女子大生、西之園萌絵が、論理的試行で謎に迫る。(表紙カバーより引用)
コメント:だめだ~!推理がことごとくはずれた。
ものスゴーク不消化です。犯人もはずれたし、もちろんトリックも動機も・・・
くやしい!
まあ、萌絵ちゃんもわからなかったんだからしょうがないか。
著者:宮尾登美子
出版:集英社
初版:1998.01.20.
紹介:施設で育った孤児・珠子。、中学卒業と同時に彼女が選んだ道は、霊峰剣山を守る神社の養子であった。人里離れた山の中で年老いた父母と暮らすことになった珠子は初めて自分の家族を持つ。
自分の生い立ち・山での暮らし・遭難者久能との出会い。
珠子の心は揺れる。
コメント:NHKのTVドラマで「天涯の花」を放送していたのをきっかけにこの本を読みました。TVと本は基本的に違うものだと思うのですが、どちらも良い感じでした。どちらかというと、TVの方が情熱的な珠子でしたね。
著者:河上亮一
出版:草思社
初版:1999.02.23.
紹介:学校の危機がようやく認識されるようになってきた。それは、金融の危機などよりはるかに深刻な問題なのになぜか語られることが少なかった。学校をとりまく現在の状況がこのまま続くとすれば、日本は確実に衰退の危機に見舞われるだろう。学力は低下し、外界にまったく無関心、他人との関係が作れない、授業中に私語しても悪いとも思わないような生徒が続々と登場しつつある。これは、三十年間現場の教師として生徒と格闘し、十年前から学校の危機に警告を発してきた著者が、今学校で起こっていることをつぶさに報告、なぜ現在のような状態に立ち入ってしまったかを示すとともに、再生への道を探った真に衝撃的な本である。(表紙カバーより引用)
コメント:「学校崩壊」実際に小中学生の子供がいるので、人ごとではなく読みました。「なるほど」と思う部分もあり、「どういうこと?」と思うような部分もありました。
どちらかというと教師という立場からの主張であり、マスコミへの「学校批判・教師批判」にたいする反応のようにも伺えます。
一時代前の校内暴力と、現在の学校崩壊の違いについては、現在の学校崩壊の原因として、家庭→ひいては、戦後社会とあげているように思えるですが、じゃあ、具体的に、「私はどうしたらいいのか?」という解決策が見つからないので、なんだか未消化です。
著者:原百代
出版:講談社文庫
初版:1985.08.15.
紹介:高宗を天皇と呼び、みずからは天后と称して、ついに事実上の最高位についた、武后。今や唐朝随一の実力者である。しかし燦然と輝くその栄光も平穏無事なものではない。すでに廃した長子・弘についで、次子・賢までが疑心暗鬼の虜となって、彼女の行く手を阻もうとは!?
肉親相剋の苦難に烈女武后は敢然と挑む。(表紙扉より引用)
コメント:次々と自分の息子を廃していった武后。一方高宗は56才の命を閉じた。
いよいよこれから武后の出番。次なる新帝は中宗・顕であったが、依然実権は武后の手にある。中宗は有頂天になり暴言を吐きたちまち廃され、次なる新帝は完全に名目だけの新帝となる。
事実上の天子となりたい武后だが、女帝はなかなか認められない。年齢のわりに美少年のような武后の鬱々とした気分を晴らしたのは、「女」としての開眼であった。
武后60を超え、ますます力がみなぎる。
著者:山崎豊子
出版:新潮社
初版:1999.08.25.
紹介:「御巣鷹山航空機事故」後の航空会社再建に任命されたのは、繊維会社会長の国見であった。
国民航空の経営の事態・組合の分裂・天下り官僚・汚職
「会議室」 の内部も一つにはなれない・・・・
コメント:実はこのシリーズこの本が初めて。
1~4まで図書館に予約して一番はじめに届いたのがこれでした。
ちょっと中途半端かなぁ?と思いましたが、「会議室篇・上」ということで、OKでした。
この手の本はあまり読んだことがなかったのですが、なかなか興味深く読みました。国見会長の行く先が気になります。
著者:宮本輝
出版:毎日新聞社
初版:1999.05.30.
紹介:離婚して娘と暮らす憲太郎と、友人富樫。ひょんな事からであった5才の男の子圭太郎と、遠くから見ていたいと思う貴志子。
憲太郎が旅した「フンザ」で出会った風景と老人の言葉が心から消えない。憲太郎の瞳の中にある三つの青い星。「潔癖」「淫蕩」「使命」。「使命」とはいったい何を意味するのだろう?広大なタクラマカン砂漠への思いを胸に、彼は草原の椅子を目指す。
コメント:あとがきの中で、作者は次のように語っている。p360.引用
「草原の椅子」の中で、私は市井の中の「人間力のある大人」を主人公に置きたかった。学歴や肩書きや地位や収入とは関係なく、慈しみの心を持つ、人間力のある大人を書きたいと思った。
読んでいて心が優しく豊かになっていくような気がしました。40代50代と生きていく中でちょうどいい時期に出会えた本でした。
著者:赤瀬川源平
出版:筑摩書房
初版:1998.09.10.
紹介:みんなどうせボケていくんだから、もうちょっと良い言葉を考えよう。ボケ老人というと何だかだめなだけの人間みたいだけど、ボケも一つの新しい力なんだから、もっと積極的に、老人力、なんてどうだろう。いいねえ、老人力。(本文より引用)
コメント:年老いていくこと、ぼけていくことも見方を変えればプラスに変わる。年をとるのもそう捨てたものではないな・・・なんて思いました。
でも、まだ頭でわかるだけ。実感するのはやっぱり親の事かな?
著者:ブライアン・L・ワイス
出版:PHP研究所
初版:1996.11.21.
紹介:精神科医ワイス博士は、前世の記憶を持つ患者に接するうちに、前世の実在を信じるようになった。そして誰にでも、生まれ変わるたびにめぐり会う、かけがえのない魂の伴侶(ソウルメイト)がいることを知る。
ある時、彼は、患者のアメリカ人女性エリザベスとメキシコ人青年ペドロが、お互いに魂の伴侶であることに気付く。ふたりを引き合わせたいという思いと、医師としての守秘義務の狭間で揺れ動くワイス博士。治療を終えたペドロの帰国日が迫っていた。
(表紙扉より引用)
コメント:前世というものがあるとしたら・・・・ちょっとは知りたいような気がするが、なんだか神がかり的な感じがする本でした。