種まく子供たち

著者:佐藤律子
出版:ポプラ社
初版:2001.04.
紹介:我が家の次男・拓也は、小児ガンのために、16歳でその生涯を閉じました。彼とともに闘病に関わった1年2ヶ月は、彼にとっても、わたしたち家族にとっても、「生きること」の質を問い直す、短くて長い1つの旅だったように思います。
 そんな彼の死から数ヶ月後、私は小児ガンの子供達を、何かの形で応援したいと思い立ちました。お金持ちではないので、治療費の応援は出来ません。お医者さまではないので、最新の治療法を教えてあげることは出来ません。けれども、好きなことで楽しく応援できたら・・・と、無い知恵をしぼって考えました。
 そして、小児ガンの体験談集を作ることを思いついたのです。
 闘病している子供たちは、世の中にたくさんの「種」をまきつづけています。元気の種、勇気の種、思いやりの種・・・・・・。そして、どの子供も野の花のように凛としています。その種がいつか芽ばえ、たくさんの人の心の中で育つことを願って、書名は『種まく子供たち』としました。
 どうぞこの本が、みなさまのもとへ、ひと粒の種となって届きますように。(はじめにより抜粋)
コメント:HPの掲示板の書き込みにより、この本に出会いました。
ちょうど拓也君と同じ年頃の子どもがいるので、とても他人事ではなく思いました。闘病生活の様子はとても辛く心が搾り取られるようでしたが、読んでいくうちに、拓也君の強い前向きな意志と、まわりの人への感謝の気持ち、温かい思いやりがひしひしと伝わってきました。
拓也君。すてきな種をありがとう。きっときれいな花が咲いてくれるよ。

夜明けまで1マイル

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:1998.09.23.
紹介:4人でメジャーデビューをめざしている「涯」。彼は大学の講師に恋していた、しかも人妻。彼女は「涯」に何を求めてるのか?彼女の気持ちが分からない不安。
そんなとき幼なじみの「うさぎ」が、頼ってきた。何となく気になるのは、嫉妬?
みんなそれぞれ、悩みを抱えているんだ。
コメント:村山さん、年上の彼女、好きですねぇ・・・。
まあ今度の「涯」くんはけっこうさばけちゃってる男の子なんだけど、彼は彼なりに一生懸命がんばっているわけで、お話としては、前向きでいい感じです。

野生の風

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:1995.03.30.
紹介:今をときめく染織家、多岐川飛鳥、野生動物の命を撮り続ける藤代一馬。ベルリンの遭遇から、感動の、慟哭のラストまで。究極の恋愛小説。
アフリカの風が、私を変える!サバンナにくるまれた官能のひととき。
コメント:友達との三角関係が再燃してしまうこと、それを回避するために避けてきたのに・・・出逢ってしまった二人。それは運命なのかな。
なぜ養子なのか・・・。飛鳥が抱える苦悩・・・。
飛鳥が決して手に入れることが出来ないもの・・・。
なんかつらいです。だって、どちらもみんな幸せとは遠いんだもの。

キスまでの距離(おいしいコーヒーのいれ方1)

著者:村山由佳
出版:集英社文庫
初版:1999.06.25.
紹介:高校3年になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その悲しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい! いつしか一人の女性としてかれんを意識しはじめる勝利。ピュアで真摯な恋の行方は・・・。(表紙裏より引用)
コメント:そもそも、場面の設定が、あり得ない感じだもんなぁ。
同居している女の子を好きになっちゃうのはいいとしても、ちょっとロマンチックすぎない?いやぁ・・・これくらいの距離感がいいのかな。どんなもんでしょ?

BAD KIDS(海を抱く)

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:1999.07.10.
紹介:海のようにやさしい、海のように激しい、18歳の愛と性の真実。
同性のチームメイトを激しく想う隆之、18歳。年上の写真家との関係に傷つく都、18歳。それぞれの悩みを共有しながら、ピュアな性を疾走する、みずみずしい青春。
コメント:ラブストーリー・・・・ぽくないな。少しずつ死へ近づいていく父親に反発しながらも、その中に自分に似たものを感じている、光秀。表面的には「いい子」を演じ続ける恵理は自分の中に、得体の知れない性を見つけてしまった。恋も愛もなく心が存在しない、体だけの関係・・・憎み、さげすみ、罵りあい自分をおとしめる事で、ギリギリの自分を支えている。お互いの心を話すこと・・・。「優しくする」こと。やっぱりこれはラブストーリー。

青のフェルマータ

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:1995.11.30.
紹介:南の珊瑚礁の海で、せつなく、ほろ苦く、激しい大人の恋が生まれた!
南太平洋にイルカとチェロの旋律が響く。夢の中に言葉を置き忘れてしまった里緒、人生に一度サヨナラしたあの人・・・トラウマを持つ人々が織りなすイノセントな恋愛小説。
コメント:自分の言葉が両親の関係を壊滅的にしてしまった。親から自分の存在自体を否定されてしまった、里緒は声を失うことによって、自分の思いを人に伝えることを拒否している。彼女の声が戻るのは、本当に伝えたいことが出来たとき・・。

天使の卵

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:1994.01.25.
紹介:19歳の予備校生・歩太と8歳年上の精神科医・春妃。
春まだ浅き日の予感に満ちた出会いから、せつなく、ひたむきな純愛。
コメント:「天使の卵」はちょうど、姫の高校がある街が舞台で、多分主人公が卒業した高校も同じ設定のような気がして、ちょっと親近感が湧いたのでした。19歳の芸大志望の浪人生の恋のお話です。すごく切ない・・・。辛い・・・。

スカーレット・ウィザード 5

著者:茅田砂胡
出版:中央公論新社
初版:2001.04.06.
紹介:おまえ本当に優しい男だな、海賊。
巨大なクーアの権力にもなんの興味もなかったくせに
おまえは私につきあってくれた
だから───だからもう終わりにしよう
最重要課題であるダニエル救出作戦は
ジンジャー主演で華々しく開幕し・・・・・・そして
ラブロマンスも終幕を迎える
スカーレット・ウィザード最終巻(裏表紙より引用)
コメント:えー!最終巻!?というのが正直な感想です。
だって、まだまだ続きそうだったのに・・・
ジャスミンとケリーの一番最初の出会いがここに明かされる。
ウーン、やっぱりロマンチックかも?

希望の国のエクソダス

著者:村上龍
出版:文藝春秋
初版:2000.10.20.
紹介:「2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた!」
経済の大停滞が続く日本で彼らはネットビジネスを開始、円圏を巡るアジア通貨危機では、情報戦略を駆使して意外な結末をもたらす。その後、全世界の注目の中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった───
現代について考えるとき、もっとも暗澹とした気持ちになるのが教育とメディアの現状です。コミュニケーション・信頼が基盤になる教育とメディアが機能不全を起こしている現実をどうとらえるのか?金融・経済・教育・ネットコミュニケーションに関する約3年に及ぶ取材が全てこの作品に生かされています。現代を巡る絶望と希望を書き尽くす、と言う動機でこの小説を書き続けました。その成否は読者の判断に委ねようと思いますが、この物語を書き終えたときの言いようのない充実感と不安感は、24年間小説を書き続けてきて初めて味わうものでした。村上龍(帯より引用)
コメント:多分、読みが浅いのだろう。経済・社会情勢の部分を読み流してしまったため、というかその部分が何となく惹かれなかったので、途中中だるみしてしまった。
中学生がネットビジネスを始め、さらに日本から経済的に「独立」して行く様は、本当に近未来的にありそうだと、不安な気分にもなる。しかし、恐るべき中学生。

不自由な心

著者:白石一文
出版:角川書店
初版:2001.01.30.
紹介:野島と付き合っている恵理が、こんど昔の男と結婚するという。事の真偽は?不倫の上に、移動の辞令。単身赴任を選択した妻。野島が選択する未来は?(天気雨)
膵臓ガンの義父を看病する妻。しかし彼女は若い頃付き合っていた男のもとへ行ってしまう。そう、考えてみれば、彼女を一時預かっていただけなのだ。(卵の夢)
福岡出張、昔付き合っていた女と会った、帰りの飛行機に搭乗する瞬間彼の脳裏に走った不安は・・・死ぬ間際に思うのは・・・(夢の空)
癌の宣告を受けた。そのときを待っていたような気がする。仕事を整理し、半年間の残された時間を自分のために費やすことにした。彼がたどった足取り、追憶。残された家族の姿は。(水の年輪)
妹の亭主が不倫をして、別れるという。愛した記憶の化石、すでに失われたものを清算して、次の生活を始めることは悪いことなのか。自分の中でも、答えが見えない。(不自由な心)
コメント:どれもこれも、「不倫」の話なのだ。形骸化してしまった、愛のかけらもない家族。それでも続けられる結婚生活とは?家族ではなく、不倫に逃げ込む、不倫の中で生きる男の姿は、身勝手なのか、それとも、形骸化した家庭生活を続ける方が、偽善なのか。
同世代の妻の立場からすると、どうもすんなり納得のいくお話ではないのでした。