蒼穹の昴 上

著者:浅田次郎
出版:講談社
初版:1996.04.18.
紹介:中華・清・西太后の時代。貧しい糞拾いの子・李春雲が、昴の星のもとで帝のそばに仕えるという予言を受ける。
兄のように慕う梁文秀は、科挙の試験を突破し、第一等「状元」で登第した。貧しい春児は、自らの手で、宦官となる道を選ぶ。二人の進む道はここで2つに大きく分かれてしまう・・・
西太后のもとで、古い中華と新しい世界の流れの中でそれぞれの人生を歩む二人の若者の行く末と、西太后・清国の未来は・・・
コメント:歴史が苦手な私も、こういう切り口なら、興味深く読むことができました。
中国の歴史の一部分、あるいはその側面を垣間見ることが出来て楽しい。「上」では、西太后とその周囲を取り巻く人間模様が描かれます。

君ならできる

著者:小出義雄
出版:幻冬舎
初版:2000.10.05.
紹介:平凡な記録の少女を金メダリストに変えた小出マジックの秘密。
駅伝で自己最高記録を出したあとも、高橋には、「おまえは一番になれる。絶対になれる。世界一になれる」と毎日のように言い続けた。彼女の姿に何か光るものが見えたのだ。選手と話をしていて、こちらが誠意を示して一所懸命になれば、必ず相手も一所懸命になってくれる。反対に、こっちが手を抜くと必ず相手も手を抜く。
名古屋国際で日本最高記録を出したのは、それからなんと二ヶ月後だった。たったひとつの言葉にも、人を変える魔法の力があるのだ。
(帯より引用)
コメント:今日、小出監督の「君ならできる」を買ってきました。
私が本を買うの、珍しいです。実はこれ、娘の受験面接対策用(笑)
面接の練習の設問に「最近読んだ本は?」「最近の主なニュース」というのがあって、ちょっと参考までに買ってみました。
結構いいですよ。子どももサラッと読めるし、受験期の子どもの応援歌にもなるし、親には「子どもの取扱説明書」的でもあるし・・・
冬休みに読んでもらうことにします。

夏の庭

著者:湯本香樹実
出版:新潮文庫
初版:1994.02.25.
紹介:町はずれに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ───。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変えはじめていたのだが・・・。喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。(裏表紙より引用)
コメント:このお話、山下が、おじいさんのお葬式にいったことからはじまりますね。
ところが、子供達は身近な死を実感したことがなかった。それどころか、実は身近にお年寄りと接する機会もなかった。そこで、近所の「今にも死にそうなおじいさん」の観察を始めたわけです。
これって、子供は残酷だなぁ・・・なんて思いました。もしも自分の子供がそんなことをしていると気づいたら、絶対に止めさせようするでしょうね。ところが、幸か不幸かこの中の親たちは、子供達が何をやっているのか全く気づかなかった。このあたりは、結構現実でもあるかもしれないですね。子供の行動や考えてること気づかないこともいっぱいあるでしょうね。

きらきらひかる

著者:絵國香織
出版:新潮文庫
初版:1994.06.01.
紹介:私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである───。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人はすべてを許し合って結婚した、筈だったのだが・・・・・・。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上がる誠実、友情、そして恋愛とは?傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない全ての人々に贈る、純度100%の恋愛小説。(裏表紙より引用)
コメント:なんて言うのだろう。結構いい感じです。「ずっとこのままでいられますように」って云う笑子の気持ちが良く分かるよ。
結構こういう3人の関係って、いいなぁ。私ってヘン?

むかし・あけぼの 上下

著者:田辺聖子
出版:角川文庫
初版:1986.06.25.
紹介:美しいばかりでなく朗らかで怜悧、しかも文学的才能もゆたか、という類まれな女主人・定子中宮に仕えての宮中ぐらしは、今まで家にひきこもり、乾き喘いでいた清少納言の心を一気に潤して余りあった。男も女も、粋も無粋も、典雅も俗悪も、そこにはすべてのものがあった。
「心ときめきするもの」など、小さな身のまわりの品、事象をとらえて書きつけた「枕草子」。そこには、共に過ごし、話に興じた、細やかな情趣を解してくれた中宮への憧憬と敬慕、中宮を取り巻く華やかな後宮の色と匂いと笑い声を、千年の後まで伝えたいと願う清少納言の夢が息づいている───。
平安の才女・清少納言のつづった随想を、千年を経て、今清少納言・田辺聖子が物語る、愛の大長編小説。(表紙扉より引用)
コメント:これは「枕草子」の現代口語訳ではない。小説です。
作者の清少納言を主人公に、その時代の背景・後宮・貴族文化のひとこまを垣間見ることが出来てとても面白い。清少納言がどんな感性の持ち主だったのか?周囲の人々からどのように思われていたのか?そしてもちろん、彼女が一番大切にしていたものは何だったのか・・・・
実は、途中で清少納言の性格が鼻について来ちゃったんですね。何故かと考えてみたら、私が嫌だなと思っている性格が、実は私自身の中に似たような部分を感じたかもしれませんね。でも、なかなかこの小説の中の清少納言のように自分の思い通りに生き抜くことが出きる人はいないし、そういうことが出来たとすれば、何とも幸せな人だなあと感じてしまいました。気になっていた本がやっと読めて、すっきりしました。

ポプラの秋

著者:湯本香樹実
出版:新潮文庫
初版:1997.07.01.
紹介:夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。
不気味で近寄りがたい大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた───。18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人達との歳月が鮮やかに蘇る。世界で高い評価を得た「夏の庭」の著者が贈る文庫書き下ろし。(表紙扉より引用)
コメント:ゆっくり読もうと思っていた、「ポプラの秋」
午前中にカーテンの洗濯をしながら、気がついたらどんどん進んでしまいました。
千秋とおばあさん・千秋とお母さん・千秋が見ていたあの季節・・・
良かったです。おばあさんがとっても魅力的ですね。
多くの人が、何度も読み返すという理由がわかりました

デルフィニア戦記18「遙かなる星の流れに・下」

著者:茅田砂胡
出版:中央公論社C★NOVELS
初版:1999.03.25.
紹介:放浪の戦士と異世界の少女の出逢い。すべてはここから始まった。
盟約という固い絆で結ばれた二人は幾多の危地を乗り越え、あまたの合戦に勝ち抜いて、戦士は大国の王に、少女は王と国の守護神となった。
獅子王と妃将軍がつむぐデルフィニアの伝説が、ここに完結する。(裏表紙より引用)
コメント:パラストにつくサンセベリアのもとに飛び込んだ王妃生還とタンガ王の死の知らせ。
サンセベリアの選んだ道は・・・・
一方タンガ軍壊滅のためにケイファードに向かうデルフィニア軍を迎え撃つ新ナジェク王は、リイの挑発にのり城を飛び出す。タンガとパラストに勝ってデルフィニアは戦乱の世を終わりにする。
ルウ・リイ・シェラ・・・闇・太陽・月の神がそろうとき・・・。

デルフィニア戦記17「遙かなる星の流れに・上」

著者:茅田砂胡
出版:中央公論社C★NOVELS
初版:1998.11.25.
紹介:リィを嫡子ナジェックの妻とする!勝利の女神を辱めデルフィニアの戦意を削がんとする、ゾラタスの卑劣な策に、三騎はタンガへの途をひた走る。
王位を捨て、一戦士に戻ったウォル、異世界の相棒ルウ、己の意志で行動するシェラ───
昏々と眠り続けるリィだったが・・・・・・難攻不落のポナリス城に轟音が響くとき、最後の奇跡が始まった。(裏表紙より引用)
コメント:王冠を手にしたバルロを中心にタンガとの戦いが始まる。一方リイを救うために城に忍び込んだルウとシェラの前に現れたのはレティ。レティに倒されたルウは・・・生き返った・・・。
ルウのケガ・リイの反応・指輪・そして城からの脱出・城の破壊!
タンガの王子への報復はリイが、ゾラタス王はルウが・・・

デルフィニア戦記16「伝説の終焉」

著者:茅田砂胡
出版:中央公論社C★NOVELS
初版:1998.07.25.
紹介:生きて戻れ───リィの言葉に送られてシェらは北を目指す。ついにヴァンツァーそしてファロット一族との死闘が演じられるときがきたのだ!
一方、シェラと別行動中、騎士団員千人の命と交換に捕虜となり意識を無くした戦女神に、レティシアは微笑みながら歩み寄る。研ぎあげた必殺の針を手に───(裏表紙より引用)
コメント:異界からリイを探しにきたルウはコーラル城でウォルと意気投合した。そのリイは、ティレンドン騎士団の命と交換に人質としてボナリス城に幽閉されていた。
一方ヴァンツァーとの戦いに勝ったシェラは、ファロットの館で伯爵を倒した。その場で族長をなったシェラはファロット一族に「死ね」という命令を下したのだった。
リイを救うためにウォルは王座をバルロに渡し、ルウとシェラとともに出かける。

デルフィニア戦記15「勝利への誘い」

著者:茅田砂胡
出版:中央公論社C★NOVELS
初版:1998.03.25.
紹介:トレニア湾にスケニアの大艦隊。国境にはタンガ軍2万集結。ピルグナ砦陥落───!
王妃の矢傷も癒えぬうちに、デルフィニア包囲網は厚く強固に完成されつつあり、獅子王ウォルは防戦一方に──
この危機に黒衣の独騎長は飄然と形勢逆転の「切り札」を担ぎ出すべく単身大海に乗り出すのだった。(裏表紙より引用)
コメント:リイの傷も癒えぬ間に海からの攻撃を受けたデルフィニア。イヴンはキルタンサスの旧友を訪ねる。海の他にタウの山中でもスケニアに味方する巨人族の侵入があった。彼らはなぜデルフィニアに刃を向けるのか?その陰に隠された策略を暴けば・・・。人質の交換に願い出たのはシャーミアンだった。
そして、時を待っていたかのようにピルグナに侵攻するパラスト。またその後ろでサンセベリアの王妃を誘拐するリイ。リイの活躍で海の戦いも大勝利をおさめた。いよいよイヴンとシャーミアンの結婚式が実現する。