DIVE !! 3─SSスペシャル’99

著者:森絵都
出版:講談社
初版:2001.07.20.
紹介:知季、飛沫に続き要一が今度の主人公。
オリンピック代表に内定した背景には、競技や選考委員会とは全く無関係な大人達の力が加わっていた。プレッシャーと欺瞞の中で、純粋に本当のオリンピック代表権を勝ち取るために、要一が提案した条件とは・・・
他人に踊らされるのではなくて、自分自身でつかみ取る。それが要一にとってのオリンピックだ。
コメント:3巻で完結と思いきや、まだ続くのですね。
各巻で、それぞれ異なる主人公の視点から見た「飛び込み」。飛び込みへの思いは
それぞれが違うのだけど、同じものを追いかけていく、彼らの中で、あるものは成功を収めるかもしれないし、またあるものは、挫折を味わい・・・
だけど、その中で自分にとっての「飛び込み」の意味を見つけていく。

101回目のプロポーズ

著者:野島伸司
出版:角川文庫
初版:1992.10.25.
紹介:建設会社の万年係長、星野達郎、42さい。心情は暖かいが、欲がなく男前にも恵まれず、目下、お見合いに99連敗中。回数を重ねるにつれ相手のレベルも落ちる一方である。99回目の絶望の一週間後、達郎のもとに新たなお見合い話が持ち込まれた。百回目の相手である矢吹薫は、長い髪、白い肌をした和服の似合う美人チェロ奏者で、達郎にとってそれは、思ってもみない嬉しい誤算であった。しかし彼女は、結婚式の当日、新郎を交通事故で亡くすという決して癒されることのない深い心の痛手を負っていた。最愛の人を失った女の言い尽くせない悲しみと、いつも愛が吹き抜けていった男の一途な情熱を哀感豊かに描いた不滅の純愛ストーリー。
(裏表紙より引用)
コメント:見ていませんでしたが、テレビドラマになっていましたね。
「50年後の君を、今と変わらず愛してる」これがプロポーズの言葉なんでしたね。ウーン、見せかけでない真実の愛を見つけるのは、難しいのだろうな。

怪しい人びと

著者:東野圭吾
出版:光文社
初版:1994.02.28.
紹介:・自分の部屋を友達の情事のために貸し出すアルバイトをはじめた。ある日部屋に帰ってみると見ず知らずの女が寝ていた。彼女はなぜ、部屋に居座っているのか?(寝ていた女)
・老婆の家に強盗に入った男が、逃げ込んだ家は記憶の中から消えない名前だった。男が人生を踏み外したそのとき、その名前はカレの記憶に刻み込まれた。高校野球、あの審判のコールが男の人生を変えたのだ。(もう一度コールしてくれ)
・朝、自動販売機コーナーに行くと、そこに倒れていたのは、仕事熱心な係長だった。(死んだら働けない)
・クリスマスの朝、娘は一酸化炭素中毒で死んだ。消したはずのストーブ、継ぎ足された灯油・・頭に浮かんだ疑念は、やがて確信に変わり・・・(甘いはずなのに)
・相手を引き立てるための自分が、「いい関係」になったのは、18歳のあの旅の後からだ。。ひとり旅・・・そこで出会った灯台守の正体を知りつつ、一晩の宿を紹介した。その晩・・・(灯台にて)
・友達から送られてきた「結婚報告」に同封されていた写真は、友達とは全くの別人だった(結婚報告)
・バカンスで訪れた、コスタリカで僕らは強盗に襲われてしまった・・・(コスタリカの雨は冷たい)
コメント:「小説宝石」に掲載された作品を集めた短編集。
(死んだから働けない)は何ともやるせない気持ちになるなぁ。
(灯台にて)も、まあ面白いです。

覆面作家の愛の歌

著者:北村薫
出版:角川書店
初版:1995.9.30.
紹介:覆面作家シリーズ
ケーキ職人の義父が「修行」と称して山にこもったまま家に帰らない・・・
その真の理由は?
晴れた日に、可愛い男の子を待ち伏せする不審な男の正体は?
舞台の女優が、家で殺された、しかし容疑者と思われる男にはアリバイがあったのだ。
ひとりの女性をめぐる愛と舞台、殺人者が書いたシナリオは?
事件をはさみ千秋さんとリョースケの距離も微妙に近づいたか?
コメント:北村薫お得意の、ちょっとした人間の心の隙間に隠れた秘密をヒントに事件が解き明かされていく。「覆面作家のお茶の会」は、事件といえない事件だけど、人の心の温かさが伝わってくる。

覆面作家は二人いる

著者:北村薫
出版:角川書店
初版:1991.11.30.
紹介:クリスマス間近の冬、春、そして麦わら帽子の夏。
それぞれの季節の中で起きた三つの事件。
日常世界に潜む謎を、千秋さんは鮮やかに解き明かしてみせた。
お嬢様名探偵誕生。引用
コメント:家にいるときは、深窓のお嬢様。門を一歩出た途端に、口調も行動も180度変わる、まるで二重人格?!(笑)
ここに登場する、編集者の《岡部リョースケ》も、実は双子の兄がいる。
ってまあ、そんなありそうもない登場人物が主人公な訳だが、それはそれで楽しいから良しとしよう。
世間知らずのお嬢様に、こんな理解ある、優しい「岡部さん」がいたらいいなぁ・・・
と、お話の本筋とは離れたところで、思ってしまいました。
まあ、気楽に読める一冊です。

R.P.G

著者:宮部みゆき
出版:集英社文庫
初版:2001.08.25.
紹介:ネット上の疑似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。合同捜査の過程で、「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか?呪縛なのか?舞台劇のように、時間と空間を限定した長編現代ミステリー。宮部みゆきが初めて挑んだ文庫書き下ろし。(裏表紙より引用)
コメント:「模倣犯」を読みながら、つい気になって買ってしまった本。
「R.P.G」というと、思い浮かべるのはゲームであるが
(ロールプレイング)は巻頭の説明を引用すると
「実際の場面を想定し、さまざまな役割を演じさせて、問題の解決法を会得させる学習法。役割実演法。」とある。
ネット上のハンドルネームによる架空の家族ごっこの他にここで演じられているのは・・・鮮やかな舞台に思わずしてやられた・・・(笑)
「模倣犯」を長編大河ドラマだとすれば、「R.P.G」は、単発の日曜劇場(ちょっと古いか・・・)いずれにしても、楽しめることに違いはない。

模倣犯 上下

著者:宮部みゆき
出版:小学館
初版:2001.04.20.
紹介:大川公園のごみ箱から、若い女性の右腕が見つかった。
犯人の携帯電話からの犯行声明。ボイスチェンジャー。
被害者をあざ笑うかのような、不可解な言動・・・
これが犯人の舞台の幕開けだった。
第一発見者は別の強盗事件で家族を失い心に深い傷をもつ塚田真一。
同じ公園から発見されたバックの持ち主・古河鞠子の祖父・有馬義男。
ノンフィクションのライターをめざす、前畑滋子。それぞれの目から見た事件。
被害者の家族、警察、そして犯人・・・・さまざまな角度から、それぞれの生活にスポットを当て、事件の概要に迫る。
犯行の動機は?目的は?
コメント:上下で2段組、なかなか気軽にさらりと読める本ではなかったけれども、どの部分を取っても、不可欠なのだ。犯人に翻弄される、被害者たちとその家族。周囲の反応に押し潰されていく人びと。表面からは伺いしれない犯人像。
読んでいく中で何が「模倣犯」なのか?と気になっていたが、その意味が分かったとき、こういう結末が用意されていたとは・・・。まさにドラマチック!
分厚い本だけれど、読み応えのある作品でした。

風葬の教室

著者:山田詠美
出版:河出文庫
初版:1991.07.04.
紹介:担任の教師に好意を持たれたがゆえに、教室の中で生け贄となって行く転校生の少女。教室を支配する宗教と化したイジメの中で、少女に兆した“死”の思いを描く表題作に、少女期の孤独を見つめた佳篇「こぎつねこん」を併録。(裏表紙より引用)
コメント:よみました。
山田詠美もこんなのかくんだぁ・・・とおもいつつ、
もしかしたら、こんな経験もしたのかなぁ?なんて思ったり。
たった一度だけど、転校の経験のある私は、あの頃の心細さを
ちょっと思い出したりしました。
ただ、イジメに対する自己防衛みたいなのは、私と似てるなぁ・・・。娘がこういう状況に陥りそうになったとき、こういう精神的なテクを話したことがあります。

彼女の朝 おいしいコーヒーの入れ方Ⅲ

著者:村山由佳
出版:集英社文庫
初版:2001.06.25.
紹介:進展すると見えて、なかなか思うように進まない勝利とかれんの「秘密の恋」。互いのこころが見えなくて、不安になったりもしたけれど。そんな気分をすべて洗い流したくてふたりで来た鴨川。思いっきり海ではしゃいだその帰り、外房線の不通というアクシデントが。「・・・・・・・今日は、鴨川にいない?」消え入るようなかれんの言葉の意味が、ようやく理解できたとき勝利は───。始めての、二人だけの夜。(裏表紙より引用)
コメント:「おいしいコーヒーの入れ方Ⅲ」
おー!やっと来たかぁ!(失礼)と喜んだのもつかの間・・・。イヤァ初々しい。
でもマァ、娘をもつ母としては、このくらい優しく思いやってもらいたいもんだと思ったりします。近ごろの、若い子どもたちの性に対する意識、援交とか、出会い系サイトとか・・・ちょっと軽すぎるんじゃないかぁ?もちろん、若い人すべてが軽く考えているものでもないと思います。ちゃーんと、マジメに関わっている子たちだってたくさんいると思うし、そう心配したものでもないと思う。
人間ってどうしても自分の気持ちに忠実になってしまうけど、ちょっと落ち着いて、相手の気持ちきちんと思いやれる人になりたいと思う。ハイ!

螺旋階段のアリス

著者:加納朋子
出版:文藝春秋
初版:2000.11.20.
紹介:サラリーマンを辞めて、「私立探偵」をはじめた仁木の元に飛び込んできたのは、一匹のネコと安梨沙という少女?だった。
*金庫の鍵の隠し場所は?
*自分自身の浮気調査を依頼してきた夫人の、本当の目的は?
*老婦人の可愛がるコリー犬が姿を消した。その犬は、30年前に夫人の元にやってきたのだ、30年!?
*誰もいないはずの地下室になり響く、電話の謎・・・
*便利屋と化した「私立探偵」が頼まれたベビーシッター。
依頼人は産婦人科院長。母親は産婦人科の患者だという。何故?自分で育てられないのか?
*そして、安梨沙がいなくなってしまった。
コメント:安梨沙と、アリスを重ね合わせた。ちょっと不思議なお話。