スカーレット・ウィザード1

著者:茅田砂胡
出版:中央公論新社
初版:1999.07.15.
紹介:奇妙な仕事が舞い込んだ。一年間だけ結婚してくれ、だと?お相手はあのクーア財閥の女王だ。殺しても死なない男がご希望だとか、理由や事情は知らないが、宇宙切ってのお尋ね者『海賊達の王』向きの仕事じゃない。
一匹狼の海賊のほこりをかけて、決着を宙でつけることになったが・・・。かなり異色な宇宙恋愛物語。(裏表紙より引用)
コメント:

バトル・ロワイヤル

著者:高見広春
出版:太田出版
初版:1999.04.15.
紹介:●西暦1997年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。この国では毎年、全国の中学3年生を対象に任意の50クラスを選び、国防上必要な先頭シュミレーションと称する殺人ゲーム、“プログラム”を行っていた。ゲームはクラス事に実施、生徒たちは与えられた武器で互いに殺し合い、最後に残ったひとりだけは家に帰ることができる。
●香川県城岩町立中学校3年B組の七原秋也ら生徒42人は、夜のうちに修学旅行のバスごと政府に拉致され、高松市沖の小さな島に連行された。催眠ガスによる眠りから覚めた秋也たちに、坂持金発と名乗る政府の役人が、“プログラム”の開始を告げる。
●ゲームの中に投げ込まれた少年、少女たちは、さまざまに行動する。殺す者、殺せない者、自殺を図る者、狂う者、仲間を作る者、孤独になる者。信じることができない者、なお信じようとする者。愛する気持ちと不信の交錯、そして流血・・・・・・。
●ギリギリの状況における少年、少女たちの絶望的な青春を描いた問答無用、凶悪無比のデッド&ポップなデスゲーム小説!(裏表紙より引用)
コメント:映画化され、15Rとなった話題作。映画のように残虐なシーンが映像化されないので読めたけど、映画は・・・??
ストーリーは悲惨だけど、最後にちょっと救われた感じでした。
気になっていたから、読んでみて良かった一冊です。

プラナリア

著者:山本文緒
出版:文藝春秋
初版:2000.10.30.
紹介:「プラナリア」自分の体が半分になってもそれぞれが再生するという・・・乳ガンで乳房を喪った私もプラナリアになれば再生できるのだが・・・。
「ネイキッド」がむしゃらに仕事をしてきた、だけどそれが2人の距離を離していった。離婚と同時に仕事を失いひとりになったとき、編みぐるみにハマリ、マンガ喫茶で時間をつぶす私の前に現れた、優しい男・・・。
「どこかじゃないここ」夫のリストラ、子供の学費、夜のパートにでる私。家族のために一生懸命働いているのに、子供は父を避け、家庭を避け、私から離れようとしていく・・「囚人のジレンマ」7年のつきあい。セックスレス。ラブリングをもらっても嬉しくない男との結婚は考えられるか?
「あいあるあした」
仕事ばかりして、妻に浮気された男。仕事を辞めて始めた居酒屋。転がり込んできた手相見の女。11歳になる娘の髪を切るときは父親の顔に戻る。
コメント:女、或いは男のものがたり。
決して自堕落だったつもりもない、精一杯がんばって家族や自分のためにできるだけのことをしてきたのに、かえってそれが仇になってしまう。置き去りにされた自分の居場所を見回して、小さなため息をつく。私は一体何をしているんだ?
同時に直木賞を受賞した「ビタミンF」と妙に対をなしているような作品だ。「ビタミンF」は男の、おやじの物語であったのに対し、「プラナリア」は取り残されて、自分の思惑とは違った方向に流れていく時の中で、ただ立ちつくす女の姿が見える。

幻色江戸ごよみ

著者:宮部みゆき
出版:新潮社
初版:1998.09.01.
紹介:盆市で大工が拾った迷子の男の子。迷子札を頼りに家を訪ねると、父親は火事ですでに亡く、そこにいた子は母と共に行方知れずだが、迷子の子とは違うという・・・・・・(「まひごのしるべ」)
不器量で大女のお信が、評判の美男子に見そめられた。その理由とは、あなおそろしや・・・(「器量のぞみ」)
下町の人情を怪異を四季折々にたどる12編。切なく、心温まるミヤベ・ワールドの新境地!(裏表紙より引用)
コメント:「鬼子母火」娘を置いて死んだ母の思いが髪に宿り・・・
「紅の玉」華美の禁令のおかげで高価なかんざしが作れなくなった佐吉に、注文が・・・「春花秋燈」蔵の奥深くしまってある古物の行灯には曰くがあった・・・
「庄助の夜着」着物には様々な思いがとりついている。庄助が買った夜着に憑いていたのは?
「だるま猫」臆病者の文次は火消しになりたかった。だるま猫の頭巾をかぶると空勇気が出てくると言う・・・
「小袖の手」ものには、それぞれ魂が憑いて来るという。九十九神・・・
「首吊りご本尊」辛い奉公に命を絶とうとするとそこにでてくるのは・・・?
「神無月」娘の治療費には、大金がいる。その金を作るのは年に一度、神無月の夜。
「侘助の花」看板屋の所に、娘だと名乗り出た女の真意は?
「紙吹雪」因業な金貸しと女中。彼らの間にはどんな事情があったのか?屋根からまいた紙吹雪はあの日の雪のようだった。
なもない町の人々の悲しみ。昼と夜。心の中にひそむ思いがひっそりと姿を現す。
ちょっと不気味で哀しいお話。中で気になったのは「だるま猫」と「侘助の花」です。

初ものがたり

著者:宮部みゆき
出版:PHP出版
初版:1997.03.17.
紹介:本所深川をあずかる、岡っ引きの茂七親分が、下っ引きの糸吉・権三とともに、江戸の下町で起こる摩訶不思議な事件に立ち向かう。茂七に事件解決のヒントを与える謎の稲荷寿司屋や超能力を持った拝み屋の少年など、個性あふれる登場人物たちと織りなす人情捕り物話の数々。
・・・・「鰹」「白魚」「柿」「桜」など、江戸の季節を彩る「初もの」を題材に、時に哀しく時に妖しく描く時代小説。(裏表紙より引用)
コメント:宮部みゆきの江戸ものは、読み始めるとスーッとその時代に入り込んでしまう。いくつかの事件をたどりながら、またこの先の作品に続く登場人物が顔を見せている。
「初ものがたり」というので「お初」ちゃんが登場するのかと期待していたのだが、それとはまた違うようです。
江戸ものの色々な作品がどこかでつながっていると思うと、それを見つけるのも面白い。

王女グリンダ

著者:茅田砂胡
出版:中央公論新社
初版:2000.08.25.
紹介:この作品はもうひとつのデルフィニアかと、何度か言われたことがありますが、それは違います。もう一つのという言い方は正しくありません。むしろ、かつて存在したものの、今ではなくなってしまったデルフィニアの世界であるといえば一番近いかもしれません。(表紙扉より引用)
コメント:

蒲生邸事件

著者:宮部みゆき
出版:毎日新聞社
初版:1996.10.10.
紹介:大学受験を失敗した孝史は、予備校の試験のために東京のホテルに泊まった。そこで出会った、暗い、影の薄い男・・・ホテルに飾れれた蒲生邸の写真・・・蒲生大将の肖像・・。場所はまさに.2.26事件に縁の地だった。テレビでは2.26事件の解雇番組を中継している。
そんなとき、ホテルが火災にあった。孝史を助けてくれたのは?そしてその場所はどこだったのか?
コメント:想像していたのとまったく違ったけど、ちょうど時節柄ピッタリの本でした。
「個々の細かい事象は変わっても、歴史の大きな流れは変わらない。」
「偽物の神」未来を見てみたい気もするけど、未来が分かっちゃったら、なんだか努力もしなくなっちゃいそうで・・・やっぱり個々の未来は不確定だからいいんだなぁ。

ビタミンF

著者:重松清
出版:新潮社
初版:2000.08.20.
紹介:・ゲンコツ:カラオケに行くと「仮面ライダー」に変身する。自動販売機をイタズラする、息子と同じ年の近所の不良少年。勇気を振り絞って注意・・。サラリーマンと、親父の悲哀を背中にしょって。今日も心の中で変身する。
・はずれくじ:母親の入院、息子とふたりだけの食事、イジメ・・。自分の父親が買っていたたった一枚の宝くじ・・・はずれくじ・・・。父と息子が向き合うとき。
・パンドラ:娘の万引き、セックス・・・。子供と向き合う母と父はいつしかお互いの過去にもどる。そこには開けては行けないパンドラの箱が・・
・せっちゃん:娘の学校に転校してきた「せっちゃん」はいじめられている。毎日せっちゃんの話をする娘だが、体育大会に来なくていいという・・・
・なぎさホテルにて:二十歳の誕生日を過ごしたホテルから17年後に招待状が届いた。17年前に来たふたりは、それぞれの生活をもち、今ひとつの夫婦は離婚の時を迎えている。そこには「未来ポスト」からの手紙が・・
・かさぶたまぶた:完璧なはずだった・・・父親としても、夫としても、社会人としても・・だけど。
・母帰る:ある日、父を置いて母はでていった。その母が1人になったときに、父が起こした行動とは?
コメント:これは家族の話で、実は男の話です。父であり、夫であり、その前に男である。男の悲哀が何となく伝わってくるのはなんなんだろう。

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

著者:江國香織
出版:集英社
初版:2000.04.30.
紹介:陶子・草子・エミ子・道子・れいこ・あや・桜子・えり・まりえ・・9人の女の恋愛事情。恋と愛と結婚と、その後延々と続く日常生活の中で様々な思いが交錯する。主に30代の女たち・・・。
コメント:檸檬の木は、誰のお庭だったの?なんだか読み落としちゃったのかな?
9人の女性がでてくるの。30代の女性の気持ちって、わかるんだけど、何となくすっきりしないって言うか・・・だから、何が言いたいんだ?と言う感じなのよね。私もうおばさんになっちゃったのかしら?
これを読んだ、30代の女性は、すごーく共感するところがあるのかなぁ。誰か解説してー!

壬生義士伝

著者:浅田次郎
出版:文藝春秋
初版:2000.04.30.
紹介:幕末から明治への大きなうねりの中で、生まれ育った、新撰組の巨大な闇が次第に明らかにされていく。
50年という年月を振り返りながら、吉村貫一郎と言う、1人の男を巡る様々な人の記憶。浮き彫りにされていく彼の姿と、あの時代。
歴史の中で彼らの存在は、果たしたどんな意味があったのだろうか。
コメント:下巻「斉藤一」に泣けました。
これは単なる新撰組の話ではなくて、
男が本当に大切にしようと思っていたものがなんなのか・・・
その吉村貫一郎の後ろ姿に、浅田次郎のロマンが感じられる。