著者:佐藤多佳子
出版:理論社
初版:1992.04.
紹介:こどもの頃、押入の奥とか、ふだん使っていない部屋とかには何かふしぎなものがあるような気がしていた。
そう、このマンションの裏階段にもいたの、ふしぎな生き物たちが・・・
*動物を飼ってはいけないマンションにノラ猫。タマネギが好きな猫はある日タマネギのような猫になりだんだん小さくなってしまって・・・(タマネギねこ)
*学校でたてぶえのテストがある、だけど練習しても練習しても全然うまくならない。ある日、裏階段で練習していると、背中に赤と黄緑の線がある大きなクモに出会った。そのクモが笛を吹くと・・・(ラッキー・メロディ)
*マンションのダストシュートを開けるとそこには煙を食べるのが大好きなけむりお化けの「モクー」がすんでいた。みんなに嫌われるタバコの煙を食べてくれるなら・・・(モクーのひっこし)
コメント:こどもの頃って、誰もいない物影にふしぎなものが隠れているような気がしていたっけ。これはそんなふしぎなメルヘンです。メルヘンだけど、現代社会で「ペットを飼いたい」けど飼えない。「笛の練習をしたい」けど大きな音は出せない。「タバコを吸いたい」けど部屋の中で吸わせてもらえない可哀想なお父さん。みたいな「禁止事項」のくさりの中で生きている子供達が心に描く幻想や希望が、このふしぎな裏階段には隠れているのね。
著者:山本文緒
出版:集英社
初版:1990.07.10.
紹介:野々子と周太郎は幼なじみ。ケンカもよくするが、野球少年の周太郎をいつも野々子は必死に応援していた。そのかいあってか、周太郎は見事甲子園に出場。試合は一回戦で敗れたものの、エースの咲坂と並んで人気者になっていた。浮かれる周太郎に野々子は不安をつのらせる。まだ周太郎から「好き」という言葉を聞いていないのだ。そんな時、周太郎がプロ野球に行くかもしれないと聞き・・・・・・。(表紙扉より引用)
コメント:ハイ!これは山本文緒さんがむかーし書いたコバルトです。
たまには気分転換にこういうお話を読むのも、いいわよねぇ。
著者:佐藤さとる
出版:講談社
初版:1983.09.20.
紹介:図書館に勤めている杉岡正子が、コロボックルの娘、ツクシンボとトモダチになった。
ツクシンボはコロボックル通信社の優秀な通信員で世界中をまわって旅行記を書きたいと思っている元気な女の子。正子も説明しにくいのだけど、どこか変わっている「ヘンな子」。とてもおもしろい組み合わせだった・・・・・・。
二人の登場で、コロボックルの世界はさらに広がっていく。
コロボックル物語も、この巻でついに完結!(表紙扉より引用)
コメント:1巻は以前に読んでたんだけど、2~5巻。
一気に読んでしまったけど、書かれた時期はずいぶん間が
離れているんですねぇ。
ずいぶん前に書かれた本なのに、ちっとも古さを感じない
どこかに「小さな人」が隠れているような
コロボックルが本当にいたらいいなぁと、
そんな気持ちになりました。
この本を手にするこども達にも、そんな夢を与えてくれるといいな。
著者:佐藤さとる
出版:講談社
初版:1971.12.04.
紹介:コロボックルが本気で走れば、人間の目になんか見えるはずがない。
ところが、ふしぎな目をした男の子タケルには、そのすがたが見えるのだ。
へそまがりの、がんこもののじいさまコロボックルは、タケルにみつけられ、ふたりの間に奇妙な友情がめばえてくる。
コロボックルと友だちになった人間の物語。(表紙扉より引用)
コメント:
著者:佐藤さとる
出版:講談社
初版:1985.11.13.(新版)
紹介:小山にすむ小人の一族、コロボックルたちは、むかし豆つぶほどの小さないぬを飼っていた。コロボックルよりももっとすばしこくて、りこうな動物だったという。
ところが、死に絶えたと言われていたそのマメイヌが、今でも生き残っているらしい。
マメイヌさがしに、コロボックルたちの大かつやくが始まった。
「だれも知らない小さな国」の続編。(表紙扉より引用)
コメント:
著者:佐藤さとる
出版:講談社
初版:1985.11.13.(新版)
紹介:「矢じるしの先っぽの国、コロボックル小国」は、人間の世界からいろいろなことを学んで、めまぐるしくかわりはじめていた。
学校をつくり、新聞を発行し、科学も学んだ。ただ、なるべく人間とかかわらないよう、ひっそりとくらしていた。
だが、新型飛行機の試験飛行の日、コロボックルの一人がついに人間にみつかってしまう。コロボックルのことなど何も知らない小学生に・・・・・・。(表紙扉より引用)
コメント:
著者:重松清
出版:文藝春秋
初版:2000.05.10.
紹介:*担任しているクラスにいる一人の問題児。なぜ彼はキレるのか?何が彼の身に起きているのか?仕事、家庭、家族・・・30代後半の男にとってのそれは、この時代、なかなか思うようには進まない。
帰りたい、子供の頃過ごしたなつかいい日羽山に・・・でも、もう町はダムの底に沈んでいる。同級生の死をきっかけに再会した、仲間たち。帰ろう!日羽山に(カカシの夏休(みらいみ)
*時代遅れのヘアースタイル「ライオン先生」はじつはかつらだった。そのヘアスタイルにこだわり、そのたてがみで自らを奮い立たせていた44才。だけど、そろそろそれも限界を感じ始めていた。理想と現実のギャップ。
不登校気味の生徒、何故学校に来ないのか?何故がんばる必要があるのか?頑張れば、きっといつかいいことがあるのか?そうとは言い切れない現代・・・(ライオン先生)
*電話がかかってきた。その直後、彼は自殺した。私は彼の死に責任はあるのか?(未来)
コメント:がんばっても、がんばっても思うようにはならない子供(生徒)たち、彼らがかかえている様々な問題の裏側には、やはり、その親や取りまく大人達がそれぞれ問題を抱えている。
問題は、社会にあるのか?大人にあるのか?
いま子供達の周辺で、世の中をなめたような、或いは諦めたような子供達を目にするたびに、彼らを取りまいている大人達の影を感じ、容易には解決できない問題の深さを思い知らされる。大人の責任も大きいけど、その大人もいまは余裕をなくしているような気がしてならない。いったいどうしたらいいのだろう?
著者:佐藤多佳子
出版:新潮社
初版:2000.09.20.
紹介:タイトルからどんな指を想像しますか?
私は、「不自由な指」を想像して、
障害を持っていてもがんばっている心温まる、
そしてちょっと感動の物語を想像していたのですが・・・
どうも、外れたようです。
神様がくれたのは、天才的な「スリ」の指だった・・・
刑期を終えて出所した「スリ」と彼を暖かく迎える人々、
その目の前で仕事は行われた。余りに鮮やかな手並みに
彼の「スリ」としてのプライドは揺れる・・
怪我をした「スリ」と彼を助けた妙な「占い師」の間に不思議な感情が
そして、ある日・・・占い師の元に逃げ込んできた少女をみたとき。
コメント:あー、なんと文章力のないことか!
とにかく、期待を裏切らない、人の優しさを信じたくなるような話です。
著者:乃南アサ
出版:実業之日本社
初版:1992.01.10.
紹介:*拓馬はその美しい笑顔でどんな大人の愛も獲得することができた。拓馬は数字の書かれたカードを集めるのが好きだった。とくにきれいなカードの中にはすごいカードがあるんだ。だけど、それは落ちているカードじゃない。(トゥインクル・ボーイ)
*アパートの隣の居酒屋には、3才の女の子がいた。人に寄りつかない子が萩原だけにはなついている。隣のアパートに遊びに来るうちに、彼女と一緒にいるところにも来るようになった。「真美もハダカででねんねする」そして、三つ編みのお下げをほどいて手でかき混ぜた。(三つ編み)
*まぁくんのうちは、家族がいっぱいで、お米やさんだ。まぁくんの家で食べる夕ご飯は美味しい。ボクもまぁくんの家族になりたい・・・。だけど、ボクの家はまぁくんのうちじゃないし、ボクのいるところはないんだ。そうだ・・・寿命がきたら、ボクがまぁくんと交代すればいいんだ。「僕が今度からまぁくんなんだよ」(さくら橋)
*自分の子供でもないのに、まじめに働いて万引き癖のある女房と子供を養っている。。おまえはいったい誰に似たんだ。「ボクを本当の父さんと母さんのところに連れて帰れ!」床下から物音がしてくる。そして異臭も・・・(捨てネコ)
*閉店間際にやってくる「悪魔の親子」は、会話もなくそれぞれが漫画を読みふけっている。家族の幸せの象徴である坂の上の新築の家。しかし、雪駄履きの父親とひとりでおしゃれをしている母親、イジメを受け孤独な目をしている子供達。街には放火事件が続発。(坂の上の家)
*「子供が好きだから保母さんになるの」それは、そもそも間違いだった。子供は無邪気でも可愛くもなかったのだ。そして、彼ら一人一人には親という大人がくっついている。(青空)
*ママは決めている祐一郎はお医者さんになるって。パパのようになっちゃダメだって。「祐一郎はママの命なの」じゃあ、ボクの命はどこに行っちゃったの?ママからボクの命を取り返さなくちゃ・・・(泡)
コメント:けっこう不気味です。子供は無邪気で可愛いなんて・・・ひとつ扱いを間違えたら、とんでもないことになる。一番無邪気で、怖かったのは(泡)です。
著者:佐藤正午
出版:集英社
初版:1995.07.25.
紹介:その夜わたしは人を殺しに車を走らせていた。
小学校の教師である私は、多分結婚するであろう人がいたが
何故か、別の女に心ひかれてしまう。しかし彼女には・・・・
そして8年後。
コメント:ウーム。コメントはないなぁ。
彼女にどうしようもなく惹かれて、でも彼女には逃げ出すことのできない男がいて
結局、なんにも出来ずに、8年の歳月が過ぎてしまう。
頼まれて教え子をあずかり、学校の先生をしてはいるが、その行動も何とも中途半端だし・・・
何とも、決断力に欠けるその場に流されやすい男の姿に、イライラしちゃうわ。
自分の都合のいいように流されているんだもの・・・おい!しっかりしろ。
まあそれに比べれば彼女はしたたかに生きてるなぁ。