巷説百物語

著者:京極夏彦
出版:角川文庫
初版:2003.06.25.
紹介:怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議なものたちと出会う。
御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧───。長雨の一夜を、江戸で流行の百物語で明かすことになったのだが・・・。
闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。小豆洗い、舞首、柳女───彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか───。
世の理と、人の情けがやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾!(裏表紙より引用)
「小豆洗い」「白蔵主」「舞首」「柴右衛門狸」「塩の長者」「柳女」「帷子辻」
コメント:「後巷説百物語」を読んだので、こちらを読みたくなりました。
感想は、「百介さんが若い!!」

坂の途中(おいしいコーヒーの入れ方Ⅶ)

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:2003.05.30.
紹介:カレンが忘れていった本を見つけた僕は、言い知れぬ不安に襲われた。
「あいつは何をしようとしているんだろう?」
ただ話したいだけなのに、それすらうまくいかない・・・。
そんな時、僕はついにカレンの兄「風見鶏」のマスターを怒らせてしまった。
コメント:このシリーズ、どのくらい続くんだろう?と心配になります。
勝利はすこしづつ成長していく様子が見えるのだけど、色々大変で思わず、「ショーリ。ガンバレ!」なんて、心の中で声援の送ってみたりして。
今後ちょっと気になるのは、ネアンデルタール人の先輩ですね~。

幻世の祈り 家族狩り第一部

著者:天童荒太
出版:新潮文庫
初版:2004.02.01.
紹介:高校教師・巣藤浚介は、恋人と家庭をつくることに強い抵抗を感じていた。
馬見原光毅刑事は、ある母子との旅の終わりに、心の疼きを抱いた。
児童心理に関わる氷崎遊子は、虐待される女児に胸を痛めていた。
女子高校生による傷害事件が運命の出会いを生み、悲劇の奥底につづく長き階段が姿を現す。山本賞受賞作の構想をもとに、歳月をかけて書き下ろされた入魂の巨編が、いま幕を開ける。(裏表紙より引用)
コメント:何年か前に「家族狩りを読んだ」家族や家庭の崩壊がその子供に影響する力を思うと、
とても怖かったのを覚えている。
今回、また新に書き下ろしとなっているが、大筋ではストーリーが変わらないんだろ
うか?いろんな意味で、また次の作品が気になる。

妊娠カレンダー

著者:小川洋子
出版:文春文庫
初版:1994.02.10.
紹介:出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹・・・妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを描く芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」。
謎に包まれた寂しい学生寮の物語「ドミトリィ」
小学校の給食室に見せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」。
透きとおった悪夢のようにあざやかな三篇の小説。(裏表紙より引用)
コメント:こわい・・・。予想していたのと全く違った雰囲気なので、恐ろしかった。
なんだか、自分がきわめて健全な人間のように思えてくる。

四季 冬

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2004.03.05.
紹介:天才科学者真賀田四季の孤独。両親殺害、妃真加島の事件、失踪、そしてその後の奇跡。
彼女から見れば、止まっているに等しい人間の時間。
誰にも理解されることなく、誰の理解を求めることもなく生きてきた、超絶した孤高の存在。
彼女の心の奥底に潜んでいたものは何か・・・?
「四季」4部作ついに完結!!(裏表紙より引用)
コメント:フーム、難しい。

号泣する準備はできていた

著者:江國香織
出版:新潮社
初版:2003.11.20.
紹介:前進、もしくは前進のように思われるもの:夫は母の飼っていた猫を捨ててしまった。
じゃこじゃこのビスケット:でたらめばかり信じる17歳だったこと
熱帯夜:男も女も、犬も子どももいる世の中の片隅で・・・
煙草配りガール:
溝:「悪いけど、私あなたの妹が嫌いよ」
こまつま:暇でも孤独でもない主婦である美代子は、デパートに出かけ、買い物をし
てタクシーで帰る。
洋一も来られればよかったのにね:夫の母との温泉旅行。浮気の相手はフランス人。
私は独身女のように自由で、既婚女のように孤独だ。
住宅地:ある住宅地に、下校の中学生を眺める男がいて、浮気の夫を取り戻すそうと
する女がいて、犬の散歩をさせる男がいて・・・
どこでもない場所:昔の旅先の恋といくつもの物語に、乾杯
手:「予期せぬ事にわずらわされちゃったわよ」
号泣する準備はできていた:木がなくて、青い電飾だけのクリスマスツリーを買う夢
を見た、
そこなう:「離婚して、やっと一緒になれる」けれど、それはもう決して元には戻ら
ない。
いろんな人の、いろんな記憶。悲しんでも、失っても、生活は続いていく。
コメント:直木賞受賞作品というので、ちょっと楽しみにしていたのですが、今の私には、ちょっとなぁ・・・。でした。

リトル・バイ・リトル

著者:島本理生
出版:講談社
初版:2003.01.31.
紹介:母と父親の違う幼い妹ユウちゃんと3人でくらすふみ。大学受験は棚上げにして取りあえず人と関わりの少ないバイトをさがす。
会いに来なくなった父親への思い。キックボクシングをする一つ年下の周と過ごす、ひとときの平穏。
怖くなったとき。逃げ出したくなったとき。目をつぶってひとりで耐えていないで・・・
口に出さなければ、誰にも伝わらない。
コメント:なんだろう?かなり、幸せな人生・・・とは思えないんだけど、でもプチ幸せな気分なのかな。
素直になれる・・・そんな人がそばにいてくれれば、人生、なかなか捨てたものでもない。うん、悪くないな。

後巷説百物語

著者:京極夏彦
出版:角川書店
初版:2003.11.30.
紹介:赤えいの魚:「恵比寿像の顔が赤くなるときは、恐ろしい厄災が襲う」霧の中にあると言われる、人には行けない戎島に、ひっそり建つ朱塗りの御殿。一白翁が語るのは。
天火:顔が光ると言う怪火。その火を収めた霊験ある六部の正体は?
手負蛇:蛇に祟られたのか?その家の者は不幸に命を落とす。塚に収められているのは蛇なのか?宝なのか?真相を知っているのは百介。
山男:山男は、獣なのか?人なのか?娘の姿が消えて、後、子どもを抱いて姿を現した。五位の光:抱かれた女の手から男の手へと渡された記憶。飛び立つ青鷺・・・。
風の神:百介の遠縁の娘小夜の母が殺されたのは?一晩のうちに百物語を語ると、怪事が起きるという。そこで仕組まれたのは・・・
コメント:維新後。怪しい話真相を聞こうと集まった山岡百介の庵で、百介が語ったのは・・・
世の中に怪しい話などないのだ。そこには必ず、理がある・・・。
短編が集まって、最期に大きな仕掛けが飛び出す。庵に住む百介も小夜も、かなり魅力的だ。

誰か

著者:宮部みゆき
出版:実業之日本社
初版:2003.11.25.
紹介:自転車に撥ねられ死んでしまった運転手の梶田氏。なかなかみつからない犯人を捜すために、娘が父のことを本にするという。
積極的に関わる妹と何故か過去を知らせたくない姉。梶田氏の過去に何があったのか?姉娘の記憶にある怖い記憶の真相は?
コメント:読んでいくうちに、「ああ・・・宮部みゆきだ!」長編とは言えない作品なので、そう深く入り組んだ話にはなっていない。かなりストレートだ。
年の離れた姉妹が何とも痛ましい。

哀愁的東京

著者:重松清
出版:光文社
初版:2003.08.25.
紹介:これが-、僕が出会い、見送ってきた「東京」。生きる哀しみを引き受けたおとなのための「絵のない絵本」。(帯より引用)
・マジックミラーの国のアリス:社会的に成功したヒーローは、実は転落を目前にしていた。学生の頃ひそかに通った「のぞき部屋」のアリスに会いたい・・・
・遊園地円舞曲:閉園間近の遊園地、ピエロから手紙が届いた。
・鋼のようにガラスの如く:世紀末のアイドル。子どもでもなく大人でもなく、男でも女でもない。彼女の魅力は一瞬の輝き・・・
・メモリー・モーテル:投稿された写真は何故掲載されなかったのか?
・虹の見つけ方:昭和を代表する売れっ子作詞家。彼の引退は・・・
・魔法を信じるかい?:疲れた、寂しい女たちが集まるバーには、マジシャンがいた。
・ボウ:企業の中で次第に自分をすり減らし、自分を見失っていく男。「ボウ」という漢字を思い浮かべてください・・・
・女王陛下の墓標:もうすぐ50歳の寂しい女王様。
・哀愁的東京:ホームレスが結婚するその新しい門出に・・
絵本が描けなくなった、元絵本作家が描いた「パパといっしょ」に関わってくる人達。
そして、離れていった家族。僕が描きたい絵本は・・・
コメント:悲しいねぇ。年代が近いせいもあるけど、なんとなく気持ちが分かってしまうのです。