四季 夏

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2003.11.05.
紹介:米国から帰国した真賀田四季は13歳。すでに、人類のなかで最も神に近い、真の天才として世に知られていた。叔父、新藤清二と行った閉園間近の遊園地で、四季は何者かに誘拐される。瀬在丸紅子との再開。妃真加島の研究所で何が起こったのか?「すべてがFになる」で触れられなかった真相が今、明らかになる!(裏表紙より引用)
コメント:

四季 春

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2003.09.05.
紹介:『すべてがFになる』の天才科学者、真賀田四季の少女時代。叔父、新藤清二の病院で密室殺人が起こる。唯一の目撃者は透明人間だった!?すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考する才能に群がる多くの人々。それを遥かに越えて、四季は駆け抜けていく。其志雄は孤独な天才を守ることができるのか!?(裏表紙より引用)
コメント:四季と常に一緒にいる栗本其志雄・・・同じ名前を持つ真賀田其志雄・・・誰からも見えない透明人間の僕・・・乖離した意識。閉じこめられた記憶。
四季と瀬在丸紅子、西之園萌絵との、最初の接点がここにある。
これからの「夏」以降がどうなるのか楽しみだ。

盲導犬クイールの一生

著者:石黒謙吾 写真:秋元良平
出版:文藝春秋
初版:2001.04.10.
紹介:ラブラドール・レトリーバー。盲導犬の血統を持たない仔犬が、その性格を見込まれて盲導犬となる訓練を受ける。誕生・可愛い仔犬の頃・訓練を受け盲導犬になる・その後引退して息を引き取るその時までを、追い続けたカメラ・・・
クイールを追い続けた写真家秋元良平さんの写真に引きつけられる。
コメント:本にしてしまえば、アッという間に読み終えてしまう。これが映画になったら、きっと涙を誘うだろう。
私はペットと暮らしたことがほとんどないのだが、クイールの最期の写真が心に焼き付いている。
盲導犬として生きたクイールの生涯は人間にとっては感動ものだが、クイールにとってはどうなんだろう?これだけ人と交わって、人のために尽くす事って、犬にとっても幸せなんだろうか?自由気ままに人間と暮らし愛情を受けるペットとしての一生と、どっちが幸せなのかな?

夢・出逢い・魔性

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2000.05.05.
紹介:「夢の中の女に、殺される」──N放送のプロデューサは、20年以上前に死んだ恋人の夢に怯えていた。彼の番組に出場する小鳥遊練無たちの前で事件は起きる。銃声は一発、ところが密室の中の死体には傷が二つ?随所に挿入される犯人の独白は、読者を混迷の渦に巻き込む。そして明かされる、あまりにも意外な犯人!!(裏表紙より引用)
コメント:あー、参りました。やっぱり、事件の鍵は一番最初にあったんだ。
しかし、探偵・タクシーの運転手と聞いて、男性をイメージしてしまう、この固定観念がダメなんだなぁ。またやられてしまいました。

人形式モナリザ

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:1999.09.05.
紹介:避暑地に建つ施設博物館「人形の家」。そこに常設されているステージで、衆人環視の中「乙女文楽」の演者が謎の死を遂げた!被害者の一族では、二年前にも、新婚の青年が殺されていた。悪魔崇拝者だった彼は、「神の白い手」に殺されたのだと、若き未亡人は語るのだが!?ラストの1行で、読者を襲う衝撃の真実!(裏表紙より引用)
コメント:毎日細切れに読んでいたせいで、どうも本にのめり込めなかった。やっぱり一気に読まないと楽しめない。今回も、やっぱり最初の部分が重要になってる。
さーて、もういちど読み直さなくちゃ。
と、読み直してみたのだが・・・ラストの1行で、ますます謎が深まってしまった。
トリックとか、状況はわかるんですけどねぇ。

蛇にピアス

著者:金原ひとみ
出版:集英社
初版:2004.01.10.
紹介:舌の先を2つにわける・・・スプリットタン。麒麟の入れ墨。
自分の体を改造する事によって、この世の中で生きていこうとする、生きにくい少女。
コメント:私が今この時代に、同じ年代だったとしたら、この少女に感情移入をすることが出来ただろうか?それほどに、生きにくい時代だろうか?同年代の子を持つ親としても、今こうして、生きてゆくことにもがいている子どもたちが、いるという現実を思い浮かべても、ちょっとなぁ・・・。世間を今を知らない、お気楽な大人なんだろうか?

プロジェクトX16「開拓者精神、市場を制す」

著者:NHKプロジェクトX制作班編
出版:NHK出版
初版:2003.01.25.
紹介:「救命救急 ER誕生~日本初 衝撃の最前線」
「料理人たち 炎の東京オリンピック」
「運命の最終テスト~ワープロ・日本語に挑んだ若者達」
「赤いメロン 北の大地の20年戦争」
「革命トイレ 市場を制す」
「勝負の警備システム 作動せよ」
コメント:私がまだ学生だった頃、英文タイプライターを使っていました。
就職した会社には、「タイプ室」があって、文書はみんなそこで作られていました。
いつだったでしょうか?我が家にワープロ・東芝ルポがやってきたのは?
打ち込んだ言葉が漢字に変換されて文章となってでてくる。そして印刷できる・・・
自分で字をつくることもできる・・・なんだか自分がなんでも出来るような気分になってとても嬉しかった。
今はPCがあるしその便利さに慣れてしまったけど、その開発の様子を知ると、ワープロってスゴイ物だったんだ。と改めて感心させられた。
今では当たり前のように、身のまわりにある様々な物が、本当に近年、私の知らないところで多くの人達の研究によってもたらされた大きな恵みであることを、ぜひ心に留めたいと思う。

陰陽師 鳳凰の巻

著者:夢枕獏
出版:文春文庫
初版:2002.10.10.
紹介:泰山府君祭 死んだと思われる智興内供を、生き返らせてくれと頼まれた晴明は・・
青鬼の背に乗りたる男の譚 別れた女のもとを訪れてみると,屍体は腐らず倒れ伏したままだった。
月見草 女が主人より賜った歌の意味は?
漢神道士 夜な夜な訪ねてくる老人に手を引かれて行った先で起こったのは?
手をひく人 「じき流されますぞ」橋の上から落とされそうになるのは?
髑髏譚 目を覚まさない和尚の、寝床の床下にあった物は?
晴明、道満と覆物の中身を占うこと 晴明とライバルの道満が宮中で方術比べをすることになった・・
コメント:鬼も神も人の心が生じさせる。人がいなくなれば、鬼も神もなくなる。
うーん、なるほど真理だ。

リアルワールド

著者:桐野夏生
出版:集英社
初版:2003.02.28.
紹介:ホリニンナ・ユウザン・キラリン・テラウチ。4人の女子高校生の高3の夏。
それぞれが自分の中に、人には言えない分かってもらえない物を抱えている。
ホリニンナの隣家で、ミミズが母親を殺害した。その時から、それまで無関係だった4人の夏が、少しずつ変わりはじめていった。
ミミズのあの晴れ晴れとした笑顔が、哀しい。
コメント:普通、高校生が主人公としてでてくると、自分自身を高校生に投影して本を読むのだが、今回は自分の子供のことが頭について離れない。親が、我が子の本質を見抜こうと、躍起になるのも頷けるが、実際のところ子供は親の思い通りに動くものでもなし・・・。
まあ桐野夏生が描いた女子高生をみて、子供の気持ちをおもんばかるオモンバカッテみても始まらない、
自分の中の本当の自分と、他人の目に映る自分の違いを、意識していたのは中学の頃かもしれない。その矛盾と自分をどう収めたらいいのか、なんとかごまかしていた時代を思い起こす。

陰陽師 太極ノ巻

著者:夢枕獏
出版:文藝春秋
初版:2003.04.15.
紹介:「二百六十二匹の黄金虫」法華経の中の二文字をどうしても覚えられない理由は?経文を唱えているとどこからともなく飛び出してくる黄金虫の正体は?
「鬼小槌」高熱と体のあちこちが痛む病の正体は?
「棗坊主」熊野に出かけぞ僧が帰ってみると、そこには見知らぬ人ばかりだった。
「東国より上る人、鬼にあうこと」晴明の家に鬼に追われたものが逃げ込んできた
「覚」心に思うことが皆さとられてしまうと・・・
「針魔童子」晴明が頼まれた捜し物とは?
コメント:この巻は、源博雅と晴明の会話が一番の魅力だ。博雅の感じる自然の理、それを明らかにする晴明の「呪」。これは、読み手の私の心にもまっすぐに入ってくる言葉だ。陰陽師シリーズの魅力はきっとこれなんだな。