陰陽師 鳳凰の巻

著者:夢枕獏
出版:文春文庫
初版:2002.10.10.
紹介:泰山府君祭 死んだと思われる智興内供を、生き返らせてくれと頼まれた晴明は・・
青鬼の背に乗りたる男の譚 別れた女のもとを訪れてみると,屍体は腐らず倒れ伏したままだった。
月見草 女が主人より賜った歌の意味は?
漢神道士 夜な夜な訪ねてくる老人に手を引かれて行った先で起こったのは?
手をひく人 「じき流されますぞ」橋の上から落とされそうになるのは?
髑髏譚 目を覚まさない和尚の、寝床の床下にあった物は?
晴明、道満と覆物の中身を占うこと 晴明とライバルの道満が宮中で方術比べをすることになった・・
コメント:鬼も神も人の心が生じさせる。人がいなくなれば、鬼も神もなくなる。
うーん、なるほど真理だ。

リアルワールド

著者:桐野夏生
出版:集英社
初版:2003.02.28.
紹介:ホリニンナ・ユウザン・キラリン・テラウチ。4人の女子高校生の高3の夏。
それぞれが自分の中に、人には言えない分かってもらえない物を抱えている。
ホリニンナの隣家で、ミミズが母親を殺害した。その時から、それまで無関係だった4人の夏が、少しずつ変わりはじめていった。
ミミズのあの晴れ晴れとした笑顔が、哀しい。
コメント:普通、高校生が主人公としてでてくると、自分自身を高校生に投影して本を読むのだが、今回は自分の子供のことが頭について離れない。親が、我が子の本質を見抜こうと、躍起になるのも頷けるが、実際のところ子供は親の思い通りに動くものでもなし・・・。
まあ桐野夏生が描いた女子高生をみて、子供の気持ちをおもんばかるオモンバカッテみても始まらない、
自分の中の本当の自分と、他人の目に映る自分の違いを、意識していたのは中学の頃かもしれない。その矛盾と自分をどう収めたらいいのか、なんとかごまかしていた時代を思い起こす。

陰陽師 太極ノ巻

著者:夢枕獏
出版:文藝春秋
初版:2003.04.15.
紹介:「二百六十二匹の黄金虫」法華経の中の二文字をどうしても覚えられない理由は?経文を唱えているとどこからともなく飛び出してくる黄金虫の正体は?
「鬼小槌」高熱と体のあちこちが痛む病の正体は?
「棗坊主」熊野に出かけぞ僧が帰ってみると、そこには見知らぬ人ばかりだった。
「東国より上る人、鬼にあうこと」晴明の家に鬼に追われたものが逃げ込んできた
「覚」心に思うことが皆さとられてしまうと・・・
「針魔童子」晴明が頼まれた捜し物とは?
コメント:この巻は、源博雅と晴明の会話が一番の魅力だ。博雅の感じる自然の理、それを明らかにする晴明の「呪」。これは、読み手の私の心にもまっすぐに入ってくる言葉だ。陰陽師シリーズの魅力はきっとこれなんだな。

臨機応答・変問自在2

著者:森博嗣
出版:集英社新書
初版:2002.09.22.
紹介:理系大学生を相手に質問に答えた好評の前著に続く第2弾。ネット上で募集を賭けて集まったジャンルを問わない質問に、人気ミステリィ作家であり大学助教授である著者が鮮やかに答えていく。大学の先生と生徒という枠を離れた質問は、雑学ネタからおなじみの人生相談ものまでヴァラエティ豊かだ。はたしてどんなQ&Aになったのか、ふるいに掛けた様々な質疑応答を公開する。(表紙扉より引用)
コメント:今回は質問者が一般なので、内容も割合に身近に感じられるものが多く、必然的にその解答も、興味深く読んだ。けれど、深く読むというものではなく、勉強の合間、仕事の合間などに、2~3ページ読んで毅分転換する読み方が気に入っている。
まあどちらかというと、前作の方が印象的で面白かったな。

黒猫の三角

著者:森博嗣
出版:講談社文庫
初版:2002.07.15.
紹介:1年前に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、6月6日、44歳になる小田原静子に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静子は殺されてしまう。
コメント:シリーズ1作目なのに、後発の作品を読んでいたために、まるっきり騙されてしまった。どこにトリックが隠されているのか?建物?人物?犯人は?動機は?
まあ考えただけ、無駄というか・・・やられました(´ヘ`;)
最後まで読んで、犯人が分かってから、もう一度作品を読み返してやっと納得したりして・・・・しかし、あの兄妹の関係はどうなってるんだ?
あと・・・数学がわからないと、面白さも半減しちゃうみたいでちょっと悔しいというか寂しい。

陰陽師 生成り姫

著者:夢枕獏
出版:文春文庫
初版:2003.07.10.
紹介:12年前、月の明るい晩。堀川の橋のたもとに立ち、笛を吹く源博雅と一人の姫。全ては2人の出会いから始まった───。淡い恋に思い悩む友を静かに見守る安倍晴明。しかし、姫が心の奥底に棲む鬼に蝕まれてしまった。はたして二人は姫を助けられるのか?急げ博雅!姫が危ない──。シリーズ初の長編、ついに登場。(裏表紙より引用)
コメント:「付喪神ノ巻」に出てきた、「鉄輪」がこの話のモチーフである。
博雅の人と成りが深く描かれている。博雅の心情がとても切ない。

プロジェクトX.15「技術者魂よ、永遠なれ」

著者:NHKプロジェクトX制作班編
出版:NHK出版
初版:2002.11.30.
紹介:「東京ドーム 奇跡のエアー作戦」「命の水 暴れ川を制圧せよ(日本最大愛知用水・13年のドラマ)」「桜ロード 巨木輸送作戦」「男達の復活戦 デジタルカメラに賭ける」「幸せの鳥トキ 執念の誕生」「家電元年 最強営業マン立つ(勝負は洗濯機)」
コメント:息子が読んでいた本。ちょっと手にしてみたら、なかなか興味深かった。
どれも面白かったけど、デジタルカメラはなかなかスゴイと思った。

墜ちていく僕たち

著者:森博嗣
出版:集英社
初版:2001.06.01.
紹介:戸棚の中からでてきた忘れられたラーメン。口にした人間は、思いも寄らない身体の変化にとまどう。今までの自分はどうなるのか?これからの自分は?
男であることと女であること、その差はなんだろう?私達が絶対と信じている性別がいとも簡単に変化してしまったら・・・
コメント:今までの森作品から受けるイメージとはちょっと雰囲気が変わっている。
主語が省かれた一人称で書かれているので、毎度のことながら、状況判断が困難になり迷ってしまうのだ(-_-)

捩れ屋敷の利鈍

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2002.01.10.
紹介:秘宝“エンジェル・マヌーバ”が眠る“メビウスの帯”構造の捩れ屋敷。密室状態の建物の内部で死体が発見され、秘宝も消えてしまった。さらに、完璧な密室に第二の死体が!招待客は保呂草潤平、そして西之園萌絵。探偵は前代未聞の手法によって犯人を言い当てる。(裏表紙より引用)
コメント:保呂草と西之園萌絵との対決!?メビウスのトリックに騙されまいと、真剣に読んでいたのだが・・・あらら・・それよりも、ログハウスのトリックには驚き!
とびとびに読んでしまったが、ますます黒猫の三角が楽しみになってきた。

月は幽咽のデバイス

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2000.01.05.
紹介:薔薇屋敷とも、月夜邸とも呼ばれている豪邸には奇妙な噂が流れていた。狼男が住んでいるというのだ。邸内のオーディオルームで血まみれの死体が発見される。衆人環視で密室状況の室内は、何故か床が水に濡れ、ガラスの破片が散らばっていた。瀬在丸紅子が指摘する意外なる真相とは!?(裏表紙より引用)
コメント:Vシリーズの3作目。だが、私は初めて読んだので、なかなかユニークなキャラクターに興味津々。ぜひ、黒猫の三角から読んでみなくては。
建物にまつわるトリックは、今回も思いがけない結末だが、水槽の謎は伏線が張ってあって、なるほどと納得。ここにでてくる「保呂草」という人は、キーマンなのかな?