臨機応答・変問自在2

著者:森博嗣
出版:集英社新書
初版:2002.09.22.
紹介:理系大学生を相手に質問に答えた好評の前著に続く第2弾。ネット上で募集を賭けて集まったジャンルを問わない質問に、人気ミステリィ作家であり大学助教授である著者が鮮やかに答えていく。大学の先生と生徒という枠を離れた質問は、雑学ネタからおなじみの人生相談ものまでヴァラエティ豊かだ。はたしてどんなQ&Aになったのか、ふるいに掛けた様々な質疑応答を公開する。(表紙扉より引用)
コメント:今回は質問者が一般なので、内容も割合に身近に感じられるものが多く、必然的にその解答も、興味深く読んだ。けれど、深く読むというものではなく、勉強の合間、仕事の合間などに、2~3ページ読んで毅分転換する読み方が気に入っている。
まあどちらかというと、前作の方が印象的で面白かったな。

黒猫の三角

著者:森博嗣
出版:講談社文庫
初版:2002.07.15.
紹介:1年前に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、6月6日、44歳になる小田原静子に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静子は殺されてしまう。
コメント:シリーズ1作目なのに、後発の作品を読んでいたために、まるっきり騙されてしまった。どこにトリックが隠されているのか?建物?人物?犯人は?動機は?
まあ考えただけ、無駄というか・・・やられました(´ヘ`;)
最後まで読んで、犯人が分かってから、もう一度作品を読み返してやっと納得したりして・・・・しかし、あの兄妹の関係はどうなってるんだ?
あと・・・数学がわからないと、面白さも半減しちゃうみたいでちょっと悔しいというか寂しい。

陰陽師 生成り姫

著者:夢枕獏
出版:文春文庫
初版:2003.07.10.
紹介:12年前、月の明るい晩。堀川の橋のたもとに立ち、笛を吹く源博雅と一人の姫。全ては2人の出会いから始まった───。淡い恋に思い悩む友を静かに見守る安倍晴明。しかし、姫が心の奥底に棲む鬼に蝕まれてしまった。はたして二人は姫を助けられるのか?急げ博雅!姫が危ない──。シリーズ初の長編、ついに登場。(裏表紙より引用)
コメント:「付喪神ノ巻」に出てきた、「鉄輪」がこの話のモチーフである。
博雅の人と成りが深く描かれている。博雅の心情がとても切ない。

プロジェクトX.15「技術者魂よ、永遠なれ」

著者:NHKプロジェクトX制作班編
出版:NHK出版
初版:2002.11.30.
紹介:「東京ドーム 奇跡のエアー作戦」「命の水 暴れ川を制圧せよ(日本最大愛知用水・13年のドラマ)」「桜ロード 巨木輸送作戦」「男達の復活戦 デジタルカメラに賭ける」「幸せの鳥トキ 執念の誕生」「家電元年 最強営業マン立つ(勝負は洗濯機)」
コメント:息子が読んでいた本。ちょっと手にしてみたら、なかなか興味深かった。
どれも面白かったけど、デジタルカメラはなかなかスゴイと思った。

墜ちていく僕たち

著者:森博嗣
出版:集英社
初版:2001.06.01.
紹介:戸棚の中からでてきた忘れられたラーメン。口にした人間は、思いも寄らない身体の変化にとまどう。今までの自分はどうなるのか?これからの自分は?
男であることと女であること、その差はなんだろう?私達が絶対と信じている性別がいとも簡単に変化してしまったら・・・
コメント:今までの森作品から受けるイメージとはちょっと雰囲気が変わっている。
主語が省かれた一人称で書かれているので、毎度のことながら、状況判断が困難になり迷ってしまうのだ(-_-)

捩れ屋敷の利鈍

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2002.01.10.
紹介:秘宝“エンジェル・マヌーバ”が眠る“メビウスの帯”構造の捩れ屋敷。密室状態の建物の内部で死体が発見され、秘宝も消えてしまった。さらに、完璧な密室に第二の死体が!招待客は保呂草潤平、そして西之園萌絵。探偵は前代未聞の手法によって犯人を言い当てる。(裏表紙より引用)
コメント:保呂草と西之園萌絵との対決!?メビウスのトリックに騙されまいと、真剣に読んでいたのだが・・・あらら・・それよりも、ログハウスのトリックには驚き!
とびとびに読んでしまったが、ますます黒猫の三角が楽しみになってきた。

月は幽咽のデバイス

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2000.01.05.
紹介:薔薇屋敷とも、月夜邸とも呼ばれている豪邸には奇妙な噂が流れていた。狼男が住んでいるというのだ。邸内のオーディオルームで血まみれの死体が発見される。衆人環視で密室状況の室内は、何故か床が水に濡れ、ガラスの破片が散らばっていた。瀬在丸紅子が指摘する意外なる真相とは!?(裏表紙より引用)
コメント:Vシリーズの3作目。だが、私は初めて読んだので、なかなかユニークなキャラクターに興味津々。ぜひ、黒猫の三角から読んでみなくては。
建物にまつわるトリックは、今回も思いがけない結末だが、水槽の謎は伏線が張ってあって、なるほどと納得。ここにでてくる「保呂草」という人は、キーマンなのかな?

コッペリア

著者:加納朋子
出版:講談社
初版:2003.07.07.
紹介:私とそっくり同じ顔をした人形が、じっと私を見つめている。
その人形は官能的な肌と壊れた心を持っていた。
天才的な人形作家、人形を溺愛する青年、人形になりきろうとする女優、そしてパトロン。人形にひかれた人びとが織りなす情念のアラベスク。(帯より引用)
コメント:人形・・・ある時は飾られ、愛され、また暗闇に押し込まれ、壊れたり捨てられたり。
自分の存在を人形のように感じたり、逆に人形のように振る舞うことで自分自身が傷付くことがないように身を守っていたり・・・
私自身はあまり人形に格別の思いを持ったことがないので、客観的に読んでいたのだが、なんとなく「まゆらドール」には不気味な感じを受け、作品全体にも先行きが闇の中にあるようで明るい未来を感じられなかった。だけど・・・さすが加納朋子。ラストは無理なく希望を感じさせてくれてちょっと嬉しい。

臨機応答・変問自在

著者:森博嗣
出版:集英社新書
初版:2001.04.22.
紹介:ミステリィ作家であり、某国立大学工学部助教授である著者は、学生に質問をさせることで出席をとり、その質問に自身が答えたプリントを配布するという授業を、何年も続けている。理解度を評価するとともに、自主性や創造性などを高めるためである。科学、雑学、人生相談など、学生の質問内容はヴァラエティ豊かだ。本書は、数万にのぼるそのQ&Aから、ユニークな物・印象深い物を独断的に選び、その面白らの一端を紹介していく(表紙扉より引用)
コメント:小説は何冊か読んだことがある。工学部の助教授だと言うことも知っていた。
だけど私にとってこの新書の一番の魅力は、著者による前書きの部分とくにp7~23だった。「人に物を教えるためにはまず自分自身が勉強しなければならない。」「人に物を教えたい人ほど、教育者には向いていないのではないか?」「勉強とは、問題に答えることではなく、何を問うか?である」「教育とは躾ではなく、受け手がどれだけ欲しているかをみきわめ必要な情報や物を与えることだ。」つまり教育を欲していない者、やる気のない者に教師の与えられるものはないということらしい。
うーむ、これはまさに真理だ。
さて本編はというと、それはまた面白い。質問とそれに対する森先生の解答がなかなか興味深く読むことができる。
普段、私が借りてくる本に特に興味を示さない子どもたちが、気がつくと手を伸ばして読みふけっている姿はまた楽しい。

魔法飛行

著者:加納朋子
出版:創元推理文庫
初版:2000.02.25.
紹介:もっと気楽に考えればいいじゃないか。手紙で近況報告するくらいの気持ちでね───という言葉に後押しされ、物語を書き始めた駒子。妙な振る舞いをする《茜さん》のこと、噂の幽霊を実地検証した顛末、受付嬢に売り子に奮闘した学園祭、クリスマス・イブの迷える子羊……身近な出来事を掬いあげていく駒子の許へ届いた便りには、感想と共に、物語が投げかける「?」への明快な答えが!(裏表紙より引用)
コメント:「ななつのこ」の続編。ずいぶん以前に「ななつのこ」を読んで、加納朋子さんがお気に入りになり、他の作品もいくつか読むようになったのに、何故か「魔法飛行」だけが取り残されていて、今さらながらにビックリしながら読みました。久しぶりに「ななつのこ」も再読し、続けて読んだこの初期の作品は、なんだかホッとする。それにまあビルの屋上の小屋に住んでいる「瀬尾さん」なんて言うのもなかなか魅力的な存在だわ。