片想い

著者:東野圭吾
出版:文藝春秋
初版:2001.03.30.
紹介:久しぶりにあった女子マネジャーは、変貌を遂げていた。「性同一性傷害」女性の体を持ちながら、男性の心を持つ、彼女は本当の自分になるために、その方法を探していた。しかし、思わぬところから事件に巻き込まれしまう。
コメント:本当の自分って、なんだろう?女なのか?男になれればいいのか?
あるがままの自分を受け入れること、だけど、まわりの社会が、いや、親ですらその現実を受け入れられないのだ。その苦悩ははかりしれない・・・

ロンリー ハート

著者:久間十義
出版:幻冬舎
初版:2001.12.10.
紹介:拉致、レイプ、中国人黒社会の対立。多発する様々な犯罪と捜査に追われる刑事。その陰で置き去りにされる家庭・・・よもや、娘が事件に巻き込まれるとは。
コメント:娘の帰りが遅いときには読んではいけない。不安が倍増してくるから・・・
犯罪とは無縁と思う日常が、実は薄氷を踏むような危険性と隣り合わせ。いつどこで遭遇するかわからない。
親が求める子どもと、子どもが求める親の、お互いの心がすれ違っている・・・ロンリーハート。

カリナン

著者:春江一也
出版:集英社インターナショナル
初版:2002.06.30.
紹介:経済疑獄で地位も名誉も失った男。獄中で、彼の脳裏に現れたのは「カリナン」彼の出生は?フィリピンと日本。戦前、戦後・・・
秘められた過去を見つけることによって、彼は再び希望を見つけることが出来るのか?
コメント:遠い時間を超えた思い。封印された記憶、長い歴史の重みの中で、自分のやるべきことを探す。「プラハの春」も歴史に翻弄された人々と愛のかたちを描いているが「カリナン」も同じくとても心に作品でした。
「ベルリンの秋」も読んでみたいです。

睡蓮の長いまどろみ(上下)

著者:宮本輝
出版:文藝春秋
初版:2000.10.20.
紹介:〈幼くして母に捨てたれた〉自分の存在を否定されたような気持ちを引きずって生きてきた。何故、母は子どもを置いて去っていったのか?母を追い求めながら、自分の居場所・存在を探し続ける42歳。
「持って生まれたもの」「宿命」それはかえられるのか?赤ん坊の頃の母親との肌と肌の触れ合い、それを体験しなかった人は、人間としての何かが欠落しているのではないか・・・・?という思いがめぐる。
コメント:大人になっても幼い頃のことはいつまでも心から消えない。その「呪縛」を取り除かないと、なかなか前には進めない物なのかも知れない。「宿命」という物があるにせよ、押しつぶされることなく、自らの力で自分の人生を選ぶ、そういう強さをもてたらいいのだけど・・・
宮本輝氏の作品は、ある程度の年齢に達すると、いろんなことが身にしみて感じられます。ということは、私もそういう年齢になってきたということかな。

星の海を君と泳ごう 時の鐘を君と鳴らそう

著者:柴田よしき
出版:アスキー
初版:2000.03.16.
紹介:4400年後の銀河連邦。古代地球人ときわめて酷似したガウリア星人。連邦内での差別が生み出す政権争い。歴史をさかのぼって辿り着く真実とは?
コメント:壮大な宇宙でのSFファンタジー。娯楽的な要素もいっぱいだけど、宇宙への神秘と多くの変化の中でも変わらない、大切な夢やハートが描かれていて、ついつい引き込まれてしまう。

RED RAIN

著者:柴田よしき
出版:ハルキ・ノベルズ
初版:1998.06.08.
紹介:21世紀の初頭。宇宙から飛来したD物質による感染者「Dタイプ」は全世界で増え続けていた。全身から青白い光線を発し、超人的なパワーで人間に襲いかかり血を吸う彼らは、まるで吸血鬼のようだった。世界的なプロジェクトのもとに、感染者を《保護》する特別警察官シキは、ある日感染者である一人の女性を射殺するのだが・・・・。近未来を舞台に、人類の進化の可能性を問う,SFラブストーリーの傑作。(裏表紙より引用)
コメント:今、私たちのまわりある様々なアレルギー・花粉症・アトピー・・・。こういう体質の変化が、もし環境に順応するための一過程だとしたら・・・・。
あながち、(変化→悪)ではないのかもしれない。守るべきもの、正義、それ自体が揺らぎ始めた時、シキは本当の自分を見つけだす。
柴田よしきのSF警察物、なかなか面白いです。

沙羅は和子の名を呼ぶ

著者:加納朋子
出版:集英社
初版:1999.10.30.
紹介:ちょっと不思議な短編集
*「黒いベールの貴婦人」荒れた病院の廃屋の中に子どもの声。そんだ子どもの幽霊とレイネ。人々を一瞬のうちに不幸に陥れたものの正体は・・・
*「エンジェルムーン」亡き妻の日記の中の世界。ある日、店にやってきた一人の女『私のこと、覚えてる?また来たのよ・・・』日記が蘇る・・・
*「フリージングサマー」大好きな従姉妹の部屋にくらす(ちせ)。忘れられることの悲しさ、閉ざされた心・・・
*「天使の都」『心はいつもすれ違う』失った娘・・・おまえがついていながら何故こんなことになったんだ・・・
*「海を見に行く日」女が一人で海を見に行きたいと思ったときは・・
*「橘の宿」山中に橘の香り。その中にたったひとつしか花を付けない木があった。
*「花盗人」おばあちゃんちの庭にあらわれる花盗人。ある日ポッカリと穴が空き、しばらくするとパンジーが植えられていた。
*「商店街の夜」ある日、さびれた商店街のシャッターを塗りかえている男を見かけた。夜になると描かれた雑木林から風が吹き、落ち葉が舞う・・・
*「オレンジの半分」半分に切ったオレンジは、右も左も同じ。まるで双子の姉妹のように。
*「沙羅は、和子の名を呼ぶ」新しい家に引っ越してきた(和子)。話す相手は(サラ)
コメント:自分では全く意識していない、あるいは、心の奥底に隠した記憶。自分のものであって、自分のものでない心・・・そんなものが見え隠れするおはなし。
私が気に入ったのは、「黒いベールの貴婦人」「フリージングサマー」と「商店街の夜」もいいかも。

PINK

著者:柴田よしき
出版:双葉社
初版:2000.10.05.
紹介:阪神大震災で、恋人を失ったメイ。
その恋人に似ている男を夫にして、メイは幸せだった。夫の中には、恋人の姿が見える・・・
ところが、ある日を境に夫が全くの別人に変身してしまう。顔、姿はそっくりなのに、癖や仕草がまったく違う。夫は変わってしまった。
メイに大きな変化が訪れる・・・・そのキーワードはPINK。
コメント:柴田よしきの作品はテンポがよく、どんどん引き込まれていく。この「PINK」もところどころにちりばめられた、PINKや複線が、次第につながり形を作っていく様はワクワクする。
あの大震災で失われた物は大きく、そしてその多くは、まだあの痛みを抱え続けている。

ハリー・ポッターと炎のゴブレット

著者:J.K.ローリング
出版:静山社
初版:2002.11.01.
紹介:上:魔法界のサッカー、クィディッチのワールドカップが行われる。ハリー達を夢中にさせたブルガリア対アイルランドの決勝戦のあと、恐ろしい事件が起きる。そして、百年ぶりに開かれる三大魔法学校対抗試合に、ヴォルデモートが仕掛けた罠は、ハリーを絶体絶命の危機に陥れる。しかも見方になってくれるはずのロンに、思いも掛けない異変が・・・。
下:クリスマス・ダンスパーティは、女子学生にとっては待ち遠しいが、ハリーやロンにとっては苦痛でしかなかった。ハーマイオニーのダンスのお相手は意外な人物。そしてハグリットにもパートナーが?三校対抗試合の緊張の中、ロマンスが飛び交う。しかし、その間もヴォルデモートの不気味な影がホグワーツ城を徘徊する。本当に怪しいのは誰か?難題を次々とクリアするハリーだが、最後の試練には痛々しい死が・・・。
コメント:発売前から予約をして購入。もうこれは、全巻揃えるしかないでしょう。
ちょっと意外なのは、ハリーの恋心が、予想していたのと違ったところだわ・・・
それはさておき、さすがに魔法界のお話、とんでもないときにとんでもないことが起こる!まあ、それがおもしろいのかも知れないけどねぇ。

DIVE!!! 4─コンクリートドラゴン

著者:森絵都
出版:講談社
初版:2002.08.08.
紹介:地を離れ 宙を求めて 水へ還る。
オリンピック代表権を書けた選考会当日。知季、飛沫、要一の3人はそれぞれの思いを胸に抱き、コンクリートドラゴンに挑んだ。
ダイブシリーズの完結編、物語はいよいよクライマックス。
コメント:途中、ダイブはどうなっちゃうんだろう?と、ハラハラしたけど、ようやくここにきてホッとしました。1~4まで一気に読みなおしたい気分です。