晴れときどき猫背

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:2002.10.09.
紹介:子どものいない、アクティブな生活を送ってきたムラヤマ家。
猫好きな妻と猫嫌いの夫の前に突然二匹の子猫が迷い込んできた。ムラヤマ家の生活は次第に姿を変える、ねこ、うさぎ、子馬、生きるものと共に暮らすためにムラヤマ家の農場移住計画は始まった。
コメント:猫を飼ったことのない私にとっては、驚きがいっぱいのエッセイです。でも、写真いっぱいの子猫たちを見ているうちに、なんとなく幸せな気分になってくる。いいなー、ムラヤマ家。

斬られ権佐

著者:宇江佐真理
出版:集英社
初版:2002.05.30.
紹介:好いた惚れたは八丁堀の 顔にひとすじ 体に八十八の刀傷 男権佐のこころ意気。(帯より引用)
コメント:夫婦・親子・・・今時こんなの流行らないよなぁ・・と思いつつ。いや、まだ残ってるんじゃないかと、まわりを探したくなるそんな切ないお話です。
娘を守って、命を落とした父親・・・こんなことされちゃ、一生忘れられない。

メッセージ・イン・ア・ボトル

著者:ニコラス・スパークス
出版:ソニーマガジンズ
初版:1998.12.25.
紹介:最愛のキャサリン、君が恋しい。いつもと同じように。だが今日は特別つらいんだ・・・。
波間に投げ込まれたビンには、ひとりの女性に当てた、そんな書き出しの手紙がはいっていた。海に育ったギャレットにとって、それは失ってしまったたったひとりの女性に永遠の愛を誓う唯一の方法だった。
新聞社でコラムニストをするテレサは、忙しい都会での仕事から解放され、海辺での休暇を過ごしているとき、その手紙がはいった瓶を拾い上げた。
・・・・そして彼女は、やがて明るい海辺の町へと、思いもかけない出逢いへと導かれていく。
人が人生でしなければならない、最も大切な選択とは何かを、静かに力強く語りかける愛の物語。(表紙扉より引用)
コメント:恋愛・・・人は恋するために生きているのかもしれない。偶然か、はたまた意図的な出逢いとよぶのか、一つの瓶から始まるロマンチックなラブストーリーは、度々私をやきもきさせた。そう、ラストまで・・・・・。

ダブルフェイス

著者:久間十義
出版:幻冬舎
初版:2000.05.10.
紹介:殺された女は、外資系証券会社のシンクタンクに勤めるOLだった。そして、彼女のもう一つの顔は渋谷で売春をする事だった。彼女の手帳に記された男の名前の中に政界のにおい。薬、売春、ストーカー・・・
休む間もなく社会の一線で戦いストレスにさらされる女達の姿が見えてくる。
コメント:専業主婦の配偶者控除も見直されていく今日、女性も男性と同じように働くことを余儀なくされるだろう。ストレスにさらされるのは男も女も同じだろうが、あいかわらずの男性優位社会ではなおさら思うようにことは進まない。
我が娘達の将来を思うと生き方を考えさせられる。

スローグットバイ

著者:石田衣良
出版:集英社
初版:2002.05.30.
紹介:「泣かない」ひどく傷付いているのに無理して隠そうとする。涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ。
「十五分」彼女を待っている15分の間に僕が思いだしたのは、この夏に付き合っていた女の子とのことだった。ユウミはすごく性欲の強い女の子だった。
「You look good to me」ハンドルネーム(アヒルの子)彼女の口癖は(私は醜いから)
だけど、そんなことはどうでもいいんだ。
「フリフリ」ふたりは恋人同士の振りをした。ウソだよって言うサインは「フリフリ」
「真珠のコップ」やってきた女の子はコールガール。彼女と2週間一度会うのが習慣になっていった。最後の約束の日・・・。大切なのは、みんなが知らなくて、僕だけが知っていることだ。
「夢のキャッチャー」シナリオライターを夢見る、僕の彼女。彼女の夢を応援してるけど、もしも彼女の夢が実現してしまったら、僕の手から遠いところに行ってしまうんじゃないだろうか?
「ローマンホリディ」私と『ローマの休日』をしませんか?そんなメッセージに惹かれて会った有希は、本人じゃないという。じゃあ、有希は誰なのか?
「ハートレス」あなたはセックスレスじゃない、もうこころがないの、ハートレスよ!
「線のよろこび」若い才能を見つける。それがサツキのよろこびだった。
「スローグッドバイ」さよならデート。別れるときはできるだけ豪勢でセンチメンタルであるのが大切。懐かしのデートコースをひとまわりする。
誰も死なない犯罪も起こさない短編集。読み終わったあとで心地よい酔いを残すようなラブストーリーの数々。
コメント:作者の意図のとおり、ちょっといい感じのお話です。
「夢のキャッチャー」「ローマンホリディ」あと「真珠のコップ」も、よかったな。
読んだあとに幸せな気分になれるから。

流星ワゴン

著者:重松清
出版:講談社
初版:2002.02.08.
紹介:もう死んでもいいかな・・・・そう思って降りた駅の前に、一台のオデッセイが止まった。
後悔、「あのとき」人生の分かれ道に気がつかずに通り過ぎてきた日々。大切なその時をもしもやり直すことができたら・・・・
過ぎ去った時を変えることはできない、だけど、その時に気づかなかったこと、見過ごしたこと「もしも・・・」知らなかった現実、知りたくない現実。だけど、目を開いて見つめなければ先に進めない現実。
やり直すことができたら・・・その先にあるのは?
コメント:どこで人生を踏み間違えてしまったんだろう?
人間誰しも、後悔の時がある。交通事故で死んだ父子とめぐる、過去。
もしも、「あの時」にかえってやり直すことができるなら、これからの人生がかわるかもしれない。なんてね。
重松清の「父・夫・男」の気持ちの作品は、けっこう興味深く読める。

「図書室の海」

著者:恩田陸
出版:新潮社
初版:2002.02.20.
紹介:・「春よこい」もしもあの時、母の言うことを聞いてマフラーをしていったら・・・繰り返すデジャヴュ。
・「茶色の小瓶」けが人の手当をしたOLはもと看護婦だった。彼女のロッカーの中の小さなビンの中身は?
・「イサオ・オサリバンを捜して」SF「グリーン・スリーブス」の予告編として書かれた。ちょっと難解?
・「睡蓮」アンソロジー「蜜のねむりのために書いたもの「麦の海に沈む果実」の主人公の幼年時代。「睡蓮の下にはきれいな女の子が埋まっているんだよ」いつか私にも睡蓮は咲くかしら?
・「ある映画の記憶」海の中に母を置いて、助けを呼びに行く・・・岸で振り返るとそこに母の姿はなかった。
・「ピクニックの準備」「夜のピクニック」の予告編と言うことで、これから何が起こるのか気になる。
・「国境の南」その店の常連客が相次いでなくなった。
・「オデュセイア」旅をする都市、ココロコに集まる人々。繁栄・戦争・そして壊滅・・・。誰もいなくなった忘れられたココロコの年代記。
・「図書館の海」「六番目の小夜子」の番外編。これ、本編を読んでいるからおもしろいけど、単独で読んでおもしろいかな?
・「ノスタルジア」懐かしい記憶。それが僕たちひとりひとりを作っている。懐かしいものを語り継ぐこと、それだけが僕たちの存在を証明する。
コメント:どちらかと言えば、ちょっとホラーな短編集。
「春よ来い」「茶色の小瓶」「ノスタルジア」は、それぞれ独立した作品で楽しめる。

ドミノ

著者:恩田陸
出版:角川書店
初版:2001.07.25.
紹介:─人生における偶然は、必然である─
営業実績が大切な生命保険会社。舞台のオーディションを受ける子役、ミステリマニア、男にもてあそばれた女、俳句のオフ会に集まった男、映画監督、ピザの配達人・・・
雑多で無関係な人々がすれ違う「東京駅」をゴールに、それは始まっていた、まるで計算され尽くした「ドミノ」たおしのように・・・
コメント:恩田陸さんの今まで読んだ作風からは、ちょっと意外な作品だったけど、それはまた楽しめる作品でした。まるで、別々の短編のお話の結末が一つにつながっていくような・・・

天の瞳 あすなろ編Ⅰ

著者:灰谷健次郎
出版:角川書店
初版:2002.05.31.
紹介:乱闘事件で逮捕された生徒に対し「罪にならないためにはわたしたちはなにができますか」と、ひとりの女生徒が先生に問うた。
 その言葉に心を動かされた倫太郎たちは1年7組からの手紙として意見をまとめ、廊下に張り出した。だが、学校側はそれを取り外し頑なな態度をとる。
 誰かの問題ではなく、自分たちの問題として学校を考えるために、生徒、教師、保護者の三者集会を開こうと、倫太郎、ルイ、青ポン、ミツルたちは動き出す・・・。
 シリーズ第7弾。教育とは、生きることとは何かをみずみずしく問う、感動のライフワーク。(表紙扉より引用)
コメント:「人間にクズはないョ。たとえ、ダメな先生でも。相手に、そういったら、相手も同じ事を言うよ。それ、堂々巡りネ」ルイが、豪二に言った言葉だ。これはけっこう心に残ります。
「1年7組の手紙」の中で、「良くないことをした者は、罰を受けたらいいというだけだと、その人は、反省するより先に冷たいものを感じて、さびしい思いをするだけで、自分のしたことを深く考えてみようとはしないのではないか」とありますが、これも、確かに罰に対して、まず反発も覚えるだろうし、見放されたとさびしく思うことも思い当たります。・・・さびしいのならまだいい。「反発」しか感じなかったら・・・?
強制されて反省するものでもないし・・・・
 「天の瞳」は、ふだん真正面から見ることなく通り過ぎているいろんなことに、ハッと気づかされることが多くて、それだけでも読み応えがある。これからの展開がまた楽しみです。

宙都〈第二之書〉海から来たりしもの

著者:柴田よしき
出版:徳間書店
初版:2002.01.31.
紹介:破壊神=闇の神が、海より姿を現した。窒息しそうな濃密な匂いがたれ込め、天狗の三善とゲッコーの珠星、蒼星ともに隠れてその行方を見守るしかなかった。闇の神の狙いは何か?木梨香流は巨大な芋虫から振り落とされ、深い山中で、傷つき横たわっていた。しかも、飛黒烏が香流を狙っていた。一方ビシマを操る十文字雄斗は、夜明けの琵琶湖で全裸で泳ぐ謎の女性を救助し、空中要塞テニヤン島に連れ帰った。そして、京都府警の刑事・村雨祐馬は幻の浮遊大陸を追って、ハワイに辿り着いた。それぞれの闘いは新たな段階に・・・・。
コメント:伝説の歌・・・「美しき民」の末裔。幻の大陸を見ることはできるのか?
これからまだまだ先が続く・・・つづきが早く読みたい。