ラジオアクティブ・ラブ

著者:楠見朋彦
出版:文学界6月号
初版:2004.06.
紹介:見かけだけの2t保冷車。荷台に積まれたのは貴重品。
産業廃棄物専門の運搬を仕事にするタケルには、自分が運んでいる「物」について、その行き先しかわからないのだった。しかし今度の荷物には、もう行き先がない。
コメント:怖かった。読むにつれて次第に・確実に怖さが増していく。灰皿がいっぱいになったら、とりあえず別の灰皿に移し、また別の場所に移す。そして最後は床に捨て、足で蹴散らしてしまえば…とりあえず、目の前にあった灰皿は片付き、おいしいお酒が飲める。床は…海と同じ。
処分に困る医療廃棄物や放射性廃棄物。しかしそれらを使っているのも私たち自身なのだ。

アッシュベイビィ

著者:金原ひとみ
出版:集英社
初版:2004.04.
紹介:蛇にピアス」もギョッとしたけど、こちらもねぇ。
ルームシェアした男友達の部屋から赤ちゃんの泣き声。
はぁ~
なんかね・・・「蛇にピアス」もそうなんだけど・・・フームとうなってしまいます。
わからないわけじゃないけど共感はできない・・・。おもしろいと一言ではいえないなぁ・・・。
だって、赤ちゃんを性的なおもちゃにしちゃう人が出てくるんだもん。
コメント:

介護入門

著者:モブ・ノリオ
出版:文学界6月号
初版:2004.06.
紹介:玄関先で転んで、身体が不自由になった祖母。祖母の自宅介護を選択した、母と孫の俺。
夜中2時間おきのおむつ替え。介護の現状とそれを取り巻く傍観者たる親類。祖母を食い物にするたちの悪いヘルパー。
しかし介護は地獄ではなく、むしろそれまでの自分の生き方すら見つけられなかった「俺」にとっては、祖母と母との生きる共同作業だ。
29歳、無職の「俺」。寝たきりの祖母を自宅で介護し、大麻にふける-。饒舌な文体でリアルに介護と家族とを問うた衝撃のデビュー作。(文学界新人賞・芥川賞受賞)
コメント:介護の経験もない私が、何を言うかと思われるかもしれませんが、作者の気持ちが良くわかった。「介護入門1」と記されたその言葉の一つ一つが真理をとらえていると思う。「手元におきたい一冊」

就職がこわい

著者:香山リカ
出版:講談社
初版:2004.02.24.
紹介:「ニート」フリーターではない、働くことも勉強することもしない「無業者」という存在が最近増えている。就職試験に一度落ちただけで就職活動からリタイアしてしまう。あるいは、エントリーすらしない。自分だけしかできない仕事を探そうとする。あるいは、「こんな自分じゃダメだ・・」とあきらめてしまう。
第1章:就職と不安 第2章:『絶対内定』にすがる若者 第3章:就職を遠ざける5つの病理 第4章:『女であること』と就職未満 第5章:就職問題の背景 第7章:打つべき手があるとすれば
コメント:不況の影響か学生の就職内定率が落ちてきている。年頃の子供たちを持つ身としては、新聞のタイトルも気になる昨今である。てっきり、新規採用枠が狭まっているせいで、就職ができないのだとばかり思っていた。仕事を選り好みさえしなければ、何とかなるじゃないかと・・・ところが、現実は少々違っているらしい。これは由々しき問題だ。
 そこで、考えた。仕事をしなくても、働かなくても生きていかれるということが、そもそも問題なのだ。子どものために親は、学校を出たら自分で働いて食べていくのだと教えなくてはいけなかったのだ。社会のためでも、親のためでも、生きがいのためでもなくとにかく自分のために働くということをきっちりと、伝えなければいけなかったと感じている。
 ホントは、卒業したら、どんなに大変でも家から出て独立させたほうがよいのかもしれない、親である自分自身が結婚するまで実家にいたせいで、我が子にも、当分は家にいれば・・・と思っているのだが・・・最近は結婚しない人も増えているというし・・・親の責任は、大きいな。

若者の法則

著者:香山リカ
出版:岩波新書
初版:2002.04.19.
紹介:「何で電車の中でお化粧したり、ものを食べたりするんだ?」「あいさつは「どうも」しか知らないのか」「怖くて声がかけられない」・・・
いまどきの若者の、一見理解不能・非常識とも思える行動の奥には、彼らなりの論理に基づく真剣なお思いや悩みが隠されている。
精神科医・香山リカがその「法則」を読みとき、つき合い方を指南する。(表紙扉より引用)
コメント:私はここで出てくる「今時の若者」の親である。なのでよくわかるか?というとそうでもない。一般論ならそうなのかなぁ?という感じだ。
わが子を見ていても、それらしい部分もあり、でも大部分は当てはまらない。実はそういう自分自身が大人になりきれてない親なのかもしれないと、ちょっと不安になったりする。

まだ遠い光 家族狩り第五部

著者:天童荒太
出版:新潮文庫
初版:2004.06.01.
紹介:浚介は游子の病室を訪れた。二つの心は、次第に寄り添ってゆく。山賀と大野は、悲しみを抱えた家の扉を叩く。ふたりの耳は、ただひとつの言葉を求めている。冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎えている─。
悲劇によって結ばれた人々は、本流のなかで、自らの生に目覚めてゆく。永遠に語り継がれる傑作、第五部=完結篇。(表紙裏より引用)
コメント:

本当はこわいフツウの人たち

著者:香山リカ
出版:朝日新聞社
初版:2002.01.01.
紹介:自分の野心と名誉のためには友だちも簡単に裏切る起業家、十分、健康なのに大量のサプリメントや漢方薬を手放そうとしないテレビマン、占い師の言うとおりに事業を拡大したり縮小したりしている社長、公園に集まるママのグループ内の交際に全エネルギーを注ぐ若い母親・・・。
いったいこの人たちはどうなっているのだ。(あとがきより抜粋)
コメント:どこかにありそうな話でもあり、それゆえに、かなり不気味な話だ。自分は大丈夫、普通だ、正常だと感じて疑わない人でも、見方を変えれば、そこに現れるものはまったく形を変える。私は・・・どうなんだろう?大丈夫かな?

巡礼者たち 家族狩り第四部

著者:天童荒太
出版:新潮文庫
初版:2004.05.01.
紹介:孤立無援で事件を追う馬見原は、四国に向かった。捜査のために休暇を取ったのだ。彼はそこで痛ましい事実に辿りつく。夫に同行した佐和子は、巡礼を続ける者の姿に心を大きく動かされていた。
一方、東京では、玲子のことを心配する游子と、逃避行を続ける駒田の間に、新たな緊張が走っていた。
さまざまな鎖から身を解き放ち、自らの手に人生を取り戻そうとする人々。緊迫の第4部。(裏表紙より引用)
コメント:

贈られた手 家族狩り第三部

著者:天童荒太
出版:新潮文庫
初版:2004.04.01.
紹介:ピエロ。凌介は、生徒たちからそう呼ばれていたのだという。ふたつの事件を経て虚無に閉ざされていた彼の心に変化が訪れていた。
ピエロ。馬見原は今そう見えるだろう。冬島母子と全身全霊で守っているにもかかわらず、妻や娘との関係は歪んだままだから。
またひとつの家族が失われ、哀しみの残響が世界を満たす。愛という言葉の持つさまざまな貌と、かすかに見える希望を描く、第3部。(裏表紙より引用)
コメント:

朽ちる散る落ちる

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2002.05.08.
紹介:土井超音波研究所の地下、出入りが絶対に不可能な完全密室で、奇妙な状態の死体が発見される。
一方、地球に帰還した有人衛星の乗組員全員が殺されていた。
数学者小田原長治の示唆で事件のなぞに迫る瀬在丸紅子は、正体不明の男たちに襲われる。
前人未到の宇宙密室!(裏表紙より引用)
コメント: