介護にんげん模様(少子高齢化社会の「家族」を生きる)

著者:春日キスヨ
出版:朝日新聞社
初版:2000.08.05.
紹介:美しい介護体験記ではなくて、巷にあふれる、介護をめぐる「家族」の喜怒哀楽をたくさんのケースから紹介。
その多くは娘の立場、嫁の立場で親の介護をする女性である。
しかし、公的介護保険制度を含め、これからの日本の高齢者福祉を考えるとき「嫁が看る、娘が看る」「家族、特に女性が看る」という、「家族幻想」頼っていたのでは、根本的な問題は解決されない。
コメント:様々な家族の、「家族介護」が紹介されている。介護する側の見方だけではなく、介護される側の気持ち。また周りを取り巻く親戚、ヘルパーとの関係。介護保険制度が導入されて、一人が介護を抱え込むことは少なくなったかもしれないが、介護が必要なのに放置されている一人暮らしの高齢者も存在する。高齢者社会になり、介護を必要とする人が増え、それと共に、いろんな問題点も出てきた。
娘として、嫁として避けて通ることのできない問題であるだけに、この本は「介護」ということを客観的に見ることができて、とても参考になる。

空中ブランコ

著者:奥田英朗
出版:文藝春秋
初版:2004.04.25.
紹介:精神科医伊良部のもとを訪れた患者は、伊良部の子供のような稚気に、あきれ驚かされる。
変人どころの騒ぎではない。常識の枠外で生きているのだ。
サーカスでは空中ブランコに挑戦(空中ブランコ)
先端恐怖症のやくざと、ブランケット症候群のやくざ(ハリネズミ)
教授のカツラをはずしたい!破壊衝動に耐える婿養子(義父のヅラ)
一塁送球ができない三塁手を相手に、キャッチボール(ホットコーナー)
脅迫症と嘔吐症に襲われる作家(女流作家)
コメント:なに!?この精神科医?伊良部の言動は想像を裏切るものばかり。
およそ医者らしくもなく、子供のように、無心に無邪気に?まっすぐ生きることができるのか?・・・振り回されているあいだに、なぜか癒され、不安や迷いを断ち切ることができる患者たち。伊良部先生に拍手!
「金王神社→金玉神社」「王子税務署→玉子税務署」「東大前→東犬前」「大井一丁目→天丼一丁目」いたずら書き万歳!
読んでいて楽しくなる。「イン・ザ・プール」も精神科医伊良部が登場する作品集らしい。読んでみよう!

恋火 天国の本屋

著者:松久淳 田中渉
出版:小学館
初版:2002.10.10.
紹介:10年経ったら、いっしょになろう―。若き女性ピアニストと花火師の恋は突然終りを迎えた。
それから十余年。ピアノを弾く意味を見失いリストラされたピアニスト健太。伝説の花火復活に奔走する香夏子。完成されることなく別々の場所に離れてしまった「恋する花火」と「恋するピアノ曲」は、新たな二人によって、一つのハーモニーを奏でることができた。
コメント:映画化されたラブストーリー。ロマンチックで、まあいいですねぇ。

Φは壊れたね

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:2004.09.05.
紹介:(裏表紙より引用)おもちゃ箱のように過剰に装飾されたマンションの一室に芸大生の宙吊り死体が!
現場は密室状態。死体発見の一部始終は、室内に仕掛けられたビデオで録画されていた。
タイトルは『Φは壊れたね』。
D2大学院生、西之園萌絵が学生たちと事件の謎を追究する。
森ミステリィ、新シリーズいよいよ開幕!!
コメント:わー!萌絵ちゃんだ~。新しい登場人物・加部谷恵美・海月及介・山吹早月が加わった。
犀川創平とよく似た思考回路を持つ海月及介はまた不思議。
「Φってなんだ~?」状態の文型人間にとっては、タイトルからして煙に巻かれた感じ。
「Φ現象」ヴェルトハイマーは、2本のスリットの向こう側から2個のライトを照らすというという、簡単な実験装置を作った。それぞれのライトのスイッチを、すばやく(0.06秒ごとの間隔で)入れたり切ったりすることによって、たった一つのライトが前後に動いているという錯覚が生まれた。これが「Φ現象」である。(マンガ心理学入門p103より引用)
これって、森博嗣の「Φは壊れたね」のΦじゃないかな?

東電OL殺人事件

著者:佐野眞一
出版:新潮社
初版:2000.05.10.
紹介:1997.3.8.深夜。渋谷区円山町のアパートの一室で東電OL渡辺泰子が絞殺された。彼女はエリートOLと売春という、ふたつの生活を持っていた。
この本は、事件の発端から判決までを追った記録である。事件の背景・被害者の素顔・ネパール人の容疑者。事件の真相を追ううちに、警察による冤罪のにおいが・・・
コメント:「ダブル・フェイス」という小説にもなったこの事件。意外にも、私はこの事件についてほとんど印象も記憶もないのだ。
本書を読んで、被害者が私と同年であることに驚いた。「慶応女子→慶応大学→東電OL」彼女の一見恵まれた、エリート人生が、いつから、どこでその道が曲がってしまったのか?
イヤ、まっすぐ歩いたその結果が、現在なのか・・・私にはわからない。

ハルシオン・デイズ

著者:鴻上尚史
出版:白水社
初版:2004.11.20.
紹介:自分は人間の盾であると信じる男。多額の借金をかかえこんだゲイのサラリーマン。自殺を止めたいカウンセラーの女。そんな、インターネットの自殺系サイトで知り合った3人が、自殺をめぐり妄想にとりつかれてゆく。多重人格らしい幻の男が、「地球照」の影の部分と重なる。
コメント:うーむ、生きていることは絶望なのか?それとも救いがあるのか?

魔法飛行

著者:加納朋子
出版:創元推理文庫
初版:2000.02.25.
紹介:もっと気楽に考えればいいじゃないか。手紙で近況報告するくらいの気持ちでね─という言葉に後押しされ、物語を書き始めた駒子。
妙な振る舞いをする〈茜さん〉のこと、噂の幽霊を実地検証した顛末、受付譲に売り子に奮闘した学園祭、クリスマスイブの迷える子羊・・・・・・
身近な出来事を掬い上げていく駒子の許へ届いた便りには、感想と共に、物語が投げかける「?」への明快な答えが!
(裏表紙より引用)
コメント:こちらも再読。しかし、悲しいかな、断片的に思い出すだけで、もうすっかり忘れてしまっていた。けれども、加納さんの一連のシリーズは、好きだなぁ。

聖なる黒夜

著者:柴田よしき
出版:角川書店
初版:2004.10.05.
紹介:暴力団幹部がバスルームで殺された。暴力団の抗争か?犯人は?
「聖母の深き淵」「月神の浅き夢」「フォー・ディア・ライフ」「フォー・ユア・プレジャー」に登場する、あの、謎の男・山内練の秘密がいま明かされる!?刑事・麻生龍太郎との関係は・・・。
コメント:山内練の魅力にドキドキ・・・ドキドキ・・・
「RIKOシリーズ」から、もういちど読み直そうかなぁ~

ななつのこ

著者:加納朋子
出版:東京創元社
初版:1992.09.25.
紹介:「ななつのこ」「魔法飛行」「スペース」と続く連作の最初。
コメント:最近「スペース」を読んだので、再読です。
5年前に読んだ「ななつのこ」の大きな流れと印象だけが残っていて、細かいエピソードや、伏線をすっかり忘れています。再読でも充分楽しめます、次の「魔法飛行」ももう一度読んでおこう。
駒子と瀬尾さんの今後も気になるしね。

観覧車

著者:柴田よしき
出版:祥伝社
初版:2003.02.20.
紹介:「夫の居場所を残しておきたい」失踪した夫の事務所を継ぎ、京都で素人ながら探偵業を始めた下澤唯。あるとき、行方不明になった夫・遠藤祐介を探してほしいという依頼が舞い込んだ。
手がかりは、遠藤の部下で愛人と噂される白石和美。だが、唯が尾行して二週間、和美は日がな八瀬遊園の観覧車に乗り、黙って時が過ぎてゆくのを待つだけだった。彼女は何かに絶望している・・・・・・。
みずからの姿を重ねあわせるようにして、愛する者を失うことに想いを寄せる唯。やがて、遠藤が、勤めていた建設会社で恐喝事件に関与していた事実が浮上し、唯の友人の刑事・兵頭も捜査に動き出した・・・。
探偵事務所を訪れる人々の絶望と希望── 静かな感動を呼ぶ珠玉の恋愛ミステリー(表紙カバーより引用)
コメント:観覧車・約束のかけら・送り火の告発・そこにいた理由・砂の夢・遠い陸地・終章、そして序章失踪した夫を捜し、待ち続ける唯。依頼される調査とそこに現れる現実。
現実に向き合った方がいいのか?それとも、見ない方がいいのか?
そして、夫の姿を見かけた唯は・・・
短編の連作集の前半。後半が待ち望まれる。