月の影 影の海 下 (十二国記)

著者:小野不由美
出版:講談社X文庫
初版:1992.07.20.
紹介:「私を、異界へ呼んだのは、誰!?」
海に映る美しい月影を抜け、ここへ連れてこられた陽子に、妖魔は容赦なく襲いかかり、人もまた、陽子を裏切る。試練に身も心も傷つく陽子を救ったのは、信じることを教えてくれた「ただひとり」の友───楽俊。ひとりぼっちの旅はふたりになった。しかし、なぜ、陽子が異界へ喚ばれたのか?なぜ、命を狙われるのか?その真相が明かされたとき、陽子はとてつもない決断を迫られる!
コメント:いよいよ「十二国記」!
平凡な女子高校生・陽子。自分を主張することなく、両親にも学校でもよいこ的存在。
本当の友達もいない。
何もわからない異界で、信じられるものがひとつもないところで、いままで直視することのなかった自分自身と対面し、自分を見つめ直していくお話。
この本はファンタジーで、とても面白いです。色々なところで多くの人がすすめてくれた本ですが、読んでみて納得!
私のふたりの娘たちにも読んで欲しいシリーズです。

LAコンフィデンシャル 上・下

著者:ジェイムズ・エルロイ
出版:文藝春秋
初版:1995.10.15.
紹介:1950年代ロサンジェルス市警の3人の白人警官。エド;上昇志向の強い正義派警察官。バド;幼時に母親が惨殺された強面の警察官。ジャック;民間人射殺の過去を隠す警察官。
”血塗られたクリスマス事件”で、指揮官エドはバドとジャックを人事異動および処分した。明暗の分かれた3人は2年後の”ナイトアウルの虐殺”の捜査をすすめ、エドは罪を押しつけた黒人の犯人を射殺する。「真実・正義」はどこへ?
一方前後してポルノ雑誌の捜査をしていたジャックは”ナイトアウル事件”との接点を見いだす。そして事件を追うバドは・・・。
3人の男が調べた闇の中にある真実。今まで信じていたものが覆されていく。3人の恨み、憎しみ、悲しみが事件の真相を解き明かす。
コメント:外国の本って、めったに読まないせいか苦戦しました。
特に情感の3分の1は人間関係と名前を一致させるだけで一苦労。たとえば、ジャック・ビンセンズには「ジャック」「ビンセンズ」「ごみ缶ジャック」「ビックV」等の呼び方がある。どれが同一人物だぁ?
しかし下巻に入ってからは、事件の概要がわかったせいもあって、結構面白く読めました。
事件の真相が解き明かされる場面。互いに反目する3人の思いがひとつになったとき。そしてエドがどう決着を付けるのか。後半はドキドキ!
この本はHPに遊びに来たZERRYさん紹介していただきました。「カッコイイ男」の話というので、すごく期待して読みました。途中投げ出したくなりましたが、最後まで読んで、ZERRYさんの「カッコイイ男」が、どういうことかやっとわかりました。

魔性の子

著者:小野不由美
出版:新潮文庫
初版:1991.09.25.
紹介:教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめたものは、”報復”とも言える不慮の事故に遭うので、”高里は祟る”と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に悲惨な事件が起こり始めた。幼少の時に高里が体験した”神隠し”が原因らしいのだが・・・・。彼の周りに表れる白い手は?彼の本当の居場所はどこなのだろうか?
コメント:小野不由美の「12国記」の前に読むのをすすめられて借りてきました。ホラーと言えばホラーですが、面白くて一気に読みました。(電車の中で読んでいて、降りる駅を乗り過ごしたほどです。)
学校や、家庭の・で、居場所がなくなった(帰る家、受け入れてくれる家族を持たない)人間の話です。
さて、12国記が楽しみです!

顔に降りかかる雨

著者:桐野夏生
出版:講談社
初版:1993.09.15.
紹介:耀子が4700万円の金とともに姿を消した。真夜中の電話は耀子からの電話だったのか?金と耀子の行方を調べるために彼女の足取りをたどる、パスポートもスーツケースもない。霊感占い、フェティッシュなショー、死体写真の愛好家。
耀子の書きかけの東ベルリンのルポと関係があるのか。
事件の真相は思いがけない展開を見せる。ネオナチが暗躍する東ベルリンと、東京の夜のフェティッシュな空間という一見無関係は社会現象がウラでどうつながっているのか・・・
第39回江戸川乱歩賞受賞作
コメント:まさにミステリー。ストーリー展開は面白い。最後のつめもけっこう気に入っている。どうして「ネオナチ」にこんなにこだわるのか途中まで全く関連性が見つからなかった。ラストで納得。
今一つ切れ味というか、緊迫感が感じられないのは主人公が夫の自殺によって「罰を与えられた」という精神の重さを引きずっているせいかもしれない。

江戸ふしぎ草子

著者:海野弘
出版:河出書房新社
初版:1995.08.25.
紹介:江戸の町の片隅に、名も知れず生きる「庶民」
そんな人々に、ちょっとスポットライトを当てて見れば、ほらあちらこちらに、ドラマが繰り広げられる・・・
「ひも結びの達人」「煙芸師」「鋳物師」「経師屋」「花火師」「的人」「仕組屋」等々江戸という時代背景と、風俗の資料をおり交ぜながら、問わず語りで語るその口調。
思わず引き込まれるのは、話の中の女たち、男たちがちょっとせつないから・・・
コメント:この本、小説でもない。エッセイでもない。なんと言えばいいかと思うに、やはり「江戸ふしぎ草子」これにつきます。ちょっと不気味で、せつなく、哀愁を漂わせ、そうかとおもうと、ホッとしたり・・・・
中で、ドキッとしたのは「穴掘りの意地」。学問にはまった「鋳物師」と、行き送れた「書道家の娘」。身分の違いを乗り越えて学問という共通の趣味をもって結婚したふたりだったが、書物の話で意見が食い違い双方出典を探す。「女学者を気取っても、所詮その程度のものか」しかし女房の意見が正しく夫をどんどん言葉で追いつめる。・・・自分は調子に乗りすぎているような気がしたが、止めることができないのだった。これまでたまっていた不満があとからあとから流れ出してきたようであった。・・・「所詮女学者ですって?じゃあ女学者以下はなんというのです。学者職人とやらでしょうか」夫の顔が赤く膨れ上がった。
それ以後、夫は、娘の婿の家から帰ってなかった。そして夜、穴を掘り、朝にそれを埋めるという、無意味のような作業を死ぬまで繰り返したのだ。
ああ!こわい・・・「逆鱗」に触れたのだな。夫婦ゲンカには注意・・・

緑の我が家

著者:小野不由美
出版:講談社X文庫
初版:1997.06.05.
紹介:浩志は、父親の再婚をきっかけに家を出た。壁に囲まれた路地を入り、「緑の扉」を開いた浩志を迎えたのは、高校生の一人暮らしには充分な広さの部屋と、不可解な出来事。無言電話、奇妙な落書き、謎の手紙etc・・・
そして「出ていったほうがいいよ」とつぶやく和泉少年の言葉が意味する物は・・・・。嫌がらせ?それとも、死への誘い?
・・・怖い・・・。しかし浩志の家は、もはやここしかない!息をもつかせぬ本格ホラー。
コメント:「寂しい、帰りたい、帰る家がない、待っていてくれる人がいない。」
それが浩志の心であり、また和泉少年の寂しい思いだったの。忘れていた過去の記憶が次第によみがえるに連れて、次々と起こる不思議な出来事。そして現実の事件が重なって追いつめられていく・・・・
幼い頃の記憶と、家族とのわだかまり・・・少年の心の隙間に、ほら誰かが忍び寄る。
本格ホラーといっても、なんとなく、ホッと救われる。

なぞの転校生

著者:眉村卓
出版:角川スニーカー文庫
初版:1975.04.21.(初版)1998.7.1(改訂版)
紹介:よく晴れた日曜日、宏一の家の隣に引っ越してきたのは、ギリシア彫刻を思わせるような美少年だった。エレベーターに乗り合わせた宏一は、ほんの短い停電にも無我夢中でそこから脱出しようとする少年を不思議に思った。
翌朝、宏一の教室に、その少年、山沢典夫が転校してきた!スポーツ万能、成績抜群、あっと言う間にクラスの人気を独占する山沢。宏一はいつしか転校生の秘密にひかれてゆく。
学園SFの傑作、98年秋映画化。
コメント:すごく懐かしい感じがする。NHKのテレビドラマでこういうのをやっていたような記憶が・・・違ったかな?いま読んでもとてもすがすがしい気分になれる1冊でした。
「侵された都市」は今になって読むと、この先にもう一つどんでん返しがあってもいいような感じがしました。これが20数年の時の流れなのかもしれないけど、時代や感性がもっと過激なものを要求している。そういう自分の感性が少し不安になる・・・。
※大体この本の解説が「手塚治虫」というのがすごい!!

イノセント(沈む少年)

著者:図子慧
出版:角川書店
初版:1997.09.30.
紹介:女教師の忘れたい過去。昔の恋人とその友人が、人工知能を介して再会する。研究の内容を知らされぬうちに人工知能との学習交流をはじめるのだが、人工知能がその制作者とだぶりはじめる。
次々と与えられた課題をこなす人工知能が果たした、最後の課題は・・・・・
3人の男女のもろくせつない愛を描いた意欲作。
コメント:ストレートに表現されない愛。硬質な愛の表現にいつも女は翻弄される。愛はいつも何か別のものに姿を変えて存在するのか?
「図子 慧」の名はずっと前に講談社のコバルトで読んだ記憶があり、すごく印象的でした。特に彼女の描く「男の子」はちょっと硬派で異質な感じがしていました。それで今回思わず手が伸びた1冊です。
[innocent]は、「純真な」とか「罪のない」という意味でした。

楽園

著者:鈴木光司
出版:新潮社
初版:1990.12.10.
紹介:古代に離ればなれになったひとつの種族が、精霊に守られて再びひとつになろうとする。長い年月、様々な世代を超えて受け継がれていくふたりの思いが、現代によみがえる。
精霊に導かれ、守られ、太古の思いが今再びひとつになる。
コメント:壮大なロマン。「りんぐ」「らせん」とは趣が異なるが、作者の根底に流れる「子ども」と「妻」への思いがそこかしこに見える。
それと、生命が再生するイメージとして「暗い穴の中の水からはい上がる。」という情景が共通しているのが興味深い。作者に何かトラウマでもあるのか?

らせん

著者:鈴木光司
出版:角川書店
初版:1995.07.31.
紹介:観察医の安藤が解剖した、友人高山竜治の死体から根絶したはずの「天然痘ウィルス」が発見された。竜治の腹から飛び出した数字はなにかの暗号なのか?同じ症例で死んだ人々に共通するものは何か?調べるうちに「見たら一週間後に死亡する」というビデオの存在を知る。ビデオテープはどこへ行ったのか?見えないウィルスが姿を変え増殖する。気付かぬうちに安藤にも・・・・。
コメント:リングの続編。次から次へと押し寄せる思いがけないストーリー展開にワクワクする。「らせん」を読んで改めて「リング」の不気味さがひたひたと押し寄せる。
「やられた!」読み終えて、作者の策略にまんまとはまった自分がおかしくなる。
この話は怖くない。「ホラー」じゃないと思う。鈴木光司という人は、自分よりも「子ども」「妻」を大切に思っている人のような気がします。