著者:草川八重子 え:草川倫子
出版:本の泉社
初版:2000.01.20.
紹介:母のことをこんなかたちで書く日が来るとは夢にも思わなかった。自分の母が痴呆になるなど、思ったこともないから当然だろう。「なにかおかしいわ」といってトイレにいき、でてきたときには脚がたたなかったという。幸い妹の出勤前で、救急車を呼んで病院にかつぎ込んだ。その後はここにしるした通りである。「あとがき」より
コメント:こういった、痴呆や介護の問題は色々と大変なことがたくさんあると思うのですが、こんな風な気持ちで、接することが出来たらいいなぁっておもいました。
気持ちの持ち方、受け止め方も重要ポイントですね。確かに、実際の問題となれば、こんな優しい気持ちだけではいられない様々な問題が発生してくるでしょうね。
だけど、少しでも、その人の気持ちに添ってあげられるようでいたいと思います。少なくとも、今のうちはね。重いテーマを扱っているはずなのに、なぜか幸せな気分になってしまうのは、とても不思議です。
著者:津田直美
出版:中央公論新社
初版:1999,11.18.
紹介:人間と暮らす犬必読!犬の食生活、犬の鼻道楽、犬の旅、人間の習性など、家庭犬の毎日に必要なすべてがわかる『犬の生活』、より豊かで充実した犬生への手引き『犬の学問』。ふたつの名著が一冊で楽しめる、小さな犬による犬たちのための小さな絵本。文庫判のみの「おまけ」も収録。(裏表紙より引用)
コメント:つまり、犬から見た「犬の生活」人間観なんですね。
犬を飼ったことのない私が読むと、「へーそうなんだ?」ってビックリすることもいっぱいだけど、かわいい挿し絵がたくさんあって、思わず犬を飼ってみたくなりますね。
もちろん犬好きの方にとっては、何とも嬉しい本なんじゃないでしょうか?ちょっと幸せな、優しい気分になれる一冊でした。
著者:椎名誠
出版:集英社文庫
初版:1989.11.15.
紹介:シーナ家の長男、岳少年。オトコの自立の季節を迎えている。父子の濃密で優しい時代は終わろうとしていた。ある日、エキサイティングなプロレスごっこで、ついに岳は父の体を持ち上げたのだ。ローバイしつつも、息子の成長に一人うなずくシーナおとう。カゲキな親子に新しく始まった、キビシクも温かい男の友情物語。(裏表紙より引用)
コメント:ヒト岳と犬ガク。小学生から中学生へ自立した少年と、それを頼もしくまた少し寂しげに見守る父の姿。家族の形。そして何よりヒト岳を取り巻く、様々な人々との友情とオヤバカのお話。
なかなかフツーの親子関係からみるとかなりぶっ飛んだ親子だが、岳少年が成長して自立していく様を読んでいて、我が子の自立を阻んでは行けないなぁ・・・と、深く反省したりしています。しかし、岳くんは思いっきり逞しい野生児ですね。今はどんな大人になっていらっしゃるのかしら?
著者:景山民夫
出版:角川書店
初版:1994.05.30.
紹介:ひかる。記憶のとぎれた時間。自分の過去世からのメッセージ・・・・。
インテリアコーディネーターの仕事にからんででてくるのは赤い糸のはじっこ?
彼女の心に語りかける記憶は・・・?そして現世で出会う相手は今どこにいるのか?ひかるに残された「ティンカーベルメモリー」がふたりを引き寄せる。
コメント:過去世の記憶がふたりを結びつけるというのもロマンチック。だけど、インテリアコーディネーターの世界もちょっと楽しい。こんな素敵な出会いがあったらなんてステキなんだろうと、思わず嫉妬してしまいそう(笑)
一番最後のところの「参考文献」を見たら「魂の伴侶」というのがあった。なるほど・・・もしも私にも失われた前世の記憶が残っていたら・・・。ちょっと恐いような、でもとっても幸せな気分になるお話しでした。
著者:浅田次郎
出版:文藝春秋
初版:1997.10.30.
紹介:*「月のしずく」工場の荷役をやっているしがない独身男の前に現れたのは、ベンツから降りた怒った女だった。その夜から、男と女の奇妙な時間が過ぎた。女は前の男からもらったコルムの時計をはずして、六千八百円の時計を腕にはめるようになるのだろうか・・・
*「聖夜の肖像」クリスマスの夜には出かけない・・・・・・。それは過去の思い出が今も忘れられないからだ。だけどその年のクリスマス。街で出会ったのは、モンマルトルで別れた似顔絵描きだった。夫の愛と、似顔絵書きの男・・・。彼女の心を縛り付けていたものがその時ほどけはじめた。そして20年間心を開けなかった夫と今の幸せをやっと愛することができるようになった。
*「銀色の雨」住み込みの新聞配達を飛び出して、転がり込んだ先は知り合いの女の部屋だった。姉弟と偽って暮らす女に、警察に追われたヤクザとの生活が始まった。「いつも迷惑をかけてしまうんだ・・・」男の言葉に、彼は・・・
*「瑠璃想」自分の生まれ故郷の街をカメラマンとふたり訪れた。紅林・・・。その土地に隠された自分の子供の頃の記憶がよみがえる。妻・愛人・その結婚相手・・・。今自分があるべき姿を考える。
*「花や今宵」30歳の誕生日。誠意のない上司との不倫に疲れた女と、キャリアウーマンの婚約者が実は常務の女だった男がであった。酔って寝過ごした終電車の駅。降り立ったそこは、携帯電話の電波も届かない場所だった。「うそつき・・・・」
*「ふくちゃんのジャックナイフ」ブラジル移民の夢を持つふくちゃん。ポケットにジャックナイフを忍ばせ気分は石原裕次郎。彼が助けた家出娘すみ子。ブラジルへの旅立ちのときふくちゃんはどうしたか?そして、彼のジャックナイフは、40年もたった今僕の机の引き出しの中にある。
*「ピエタ」幼い頃母に捨てられたのに「ずっといい子にしていれば、迎えにきてくれる」と信じ続けた私。ずっといい子にしていたのに、幸せの目前で逃げ出した私。みて!今、私はちっとも幸福なんかじゃないのよ・・・・・。屈折した少女の心の継母を求め続ける女と、そんな女をそっと見守る男「リー」。母と別れるときわに渡された手紙の束は、遙か昔日本から送り返された、手紙だった。少女の心は今とけはじめた。(これは私の忘備禄的メモです)
コメント:「月のしずく」「聖夜の肖像」「ピエタ」は身勝手な女とバカ正直な人の好い男のお話しね。こんな男が世の中にいるのかしら?なんて思ってしまう。どのお話しも哀愁があるけど、「花と今宵」の男と女の突っ張り合いがなかなか好きだったわ。
著者:北村薫
出版:東京創元社
初版:1998.04.20.
紹介:ご存じ「円紫さんと私」シリーズ。卒業を間近に控えた私が気になる小さな謎。小学校の校長先生がなぜエロ本をいっぱい買い込んだか?「山眠る・・・・」
大学を卒業し、出版社に勤めるようになった私。曾祖父の日記の中に見つけた文字列の意味するものは?そして、私にもそろそろ気になるヒトが登場する気配も感じられる。
コメント:俳句・落語・・・・忠臣蔵。
数多くの文学や芸能をひも解くようにして話が進む。本好きにはたまらないストーリーだ。私の時間が経過するに連れて、その友人達もそれぞれの道を歩み出す。その道のりも読者の関心のひとつだ。
ちょっと見逃してしまいそうな小さな不思議が、円紫さんの目を通せば、たちまち霧が晴れるように、そこに真実の姿を現す。また次の作品が楽しみです。
著者:北村弥枝
出版:星雲社
初版:1998.12.08.
紹介:「人間としての正しい生き方」とはどんなものだろう?10歳の頃から強い興味を抱き、心の問題に関する話を熱心に聞いた。結婚後、妻が夫を「主人」をして尊ぶことで、子どもがよい方向へ変わることを自ら体験し、これをきっかけに心の問題についての考察を深めていく。
「妊娠中の母親の思いが、子どもの人生に大きく影響する───」といった心を中心とした視点で、いじめや不登校・正しい夫婦のあり方などを語る。
高校の教員として教育現場にしばらくいたころ、予想外の行動をとる生徒達の姿に何度も接しました。同時、わたしはその原因を生徒の中に見つけようとして袋小路に入っていました。
本書を読んで、幼い頃から子どもの無意識のレベルにインプットされてきた母親の想い(エネルギー)に大きな原因があったことを知り納得しました。著者はエネルギーと言う言葉を独特の意味で使われていますが、母親が持つ想いによって、夫や子どもにプラスにもマイナスにもエネルギーが流れ出て、様々な影響を与えていることが分かりました。(表紙カバーより、「推薦の言葉」驫木裕子)
コメント:いま子どもや家族のことで悩んでいる人にとって、この本は福音書になるかもしれない。
またある人にとっては、どこか納得のいかないものであるかもしれない。
私個人としては、チョット抵抗のある部分もあるが、根本的なところで共通理解ができるかもしれない。
「自分が変わらずに、相手を思いどおりに変えようとすることは出来ない。変えることができるのは、自分自身だけだ。相手を変えようと思ったら、まず自分自身が変わる努力をしよう。」
著者:大石静
出版:飛鳥新社
初版:1992.08.09.
紹介:脚本家・大石静さんのエッセイ集である。
彼女の女子校時代。恋愛観、仕事・生き方。教育問題!?主婦恋愛・・・男友達から嫁事情まで・・・
NHKの「ふたりっ子」をはじめ「バンサンカン・結婚」「おとなの選択」など、のどラマの脚本を手がけた、彼女の素顔が見えて面白い。
コメント:立場はまったく違うんですけど、何となく共感しちゃう部分も多くて、嬉しくなっちゃいました。
第4話の「別れた男」のとこなんか、ウン、分かる分かる・・・って。
第17話「言葉をつくせ!」も、最後のところがそうそう!って思いました。何もいわずにわかってくれるなんてある分けないよね。やっぱり言葉を尽くして相手に伝えなきゃわかりっこないって!
こっちの本は、中3の娘が読んだら結構面白いかも・・・受験勉強の気分転換にどうかな?早すぎ?
著者:椎名誠
出版:集英社
初版:1989.04.25.
紹介:多分昭和30年代の懐かしい時代。
貧しい時代・珍しかったテレビ・そろばん塾・ハーモニカ・病気の少女・そして輝かしい少年達の黄金時代・・・・。少年の小学校5年のひとこまのお話しです。
コメント:なんだか懐かしい時代を彷彿とさせて、ホッとしますね。少年の小学生時代がチョットよみがえる。私もこの中の「白い手」のところが良かったです。
夏休みに。小6の娘にすすめてみようかなって思いました。
著者:スティーブン・キング
出版:新潮文庫
初版:1997.07.01.
紹介:ジョージア州の老人ホームで余生を送るポールが、生涯の中でもっとも忘れがたい1932年の出来事を回想しながら書いているこの物語も、そろそろ終わり───ジョン・コーフィの処刑が目前に迫った時、ポールは恐るべき真実を知った。そして・・・・・・。死刑囚舎房で繰り広げられた恐怖と救いと癒しの物語もいよいよ完結。分冊形式ならではの幾重にも張られた伏線と構成が導く感動の最終巻。(裏表紙より引用)
コメント:いよいよ完結編!
明らかにされる真実。コーフィの手による悪い奴への処刑?
真実は、グリーンマイルの中だけにある。
ジョン・コーフィは・・・J.C・・・そうだったのか?
キングのホラー・刑務所という設定で、ドキドキしながら読んだのですが、これはまたチョット違った趣で、私にも充分楽しめました。せっかくのこの本ぜひ、一冊ずつ期間を開けて読むのをおすすめします。