著者:奥田英朗
出版:講談社
初版:2006.01.20.
紹介:30代・仕事を持つ女性が、仕事とプライベートの間で揺れ動く短編5作。
ヒロくん:女性課長に抜擢された聖子。男尊女卑の意識が抜けない年上の部下の対応に苦慮するが…ありのままの自分を受け止めてくれるヒロくんに癒される。
マンション:友人のマンション購入に刺激され、マンションを購入を検討するが、お気に入りの物件のために海外旅行や観劇・お食事・おしゃれを我慢するか?家庭を持った男たちとの不思議な連帯感。自分らしく生きるためにとった選択とは?
ガール:いつまでも若いつもりでいても、周りは素通りして行くようになる。見えてくる現実と現実が見えていないような先輩OLの間で、自分の身の置き場に迷う30代。
ワーキングマザー:離婚して子供を育てている。しかし、仕事は仕事。仕事と子供とどちらも頑張ろうとする母親を見て子供は何を思うのか?
ひと踊り:ひとまわり年下の新人社員の教育係になった容子。しかも相手は女性なら誰でも足を止めるほどのイケメンである。年甲斐もなく新人に夢中になった容子は、群がる女たちから、新人を守ろうと周囲をガードするが…
女30代。結婚しててもしていなくても、子供がいてもいなくても、仕事をしていてもいなくても、それぞれ悩みは大きく深い。
だけど、どれも読んだ後、ちょっと幸せな気分になる。

著者:辻仁成
出版:幻冬舎
初版:2006.03.15.
紹介:男性の視点から書かれた、孔枝泳さんとの競作といえばいいのだろう。
日本人の感性の方が、ストレートに感情を理解できる。思いが一本で迷いがないのが分かりやすいせいかもしれない。
「冷静と情熱のあいだ」を思い起こす。
著者:孔枝泳
出版:幻冬舎
初版:2006.03.15.
紹介:韓国から日本に留学に来た「紅」は日本人と恋に落ちる。しかし、韓国と日本の歴史上の悲しい事実と相互の認識のズレが、二人の間に溝を作る。耐えられなくなった「紅」は、恋を諦め韓国に帰るのだが、恋の呪縛から解かれることなく7年の歳月が過ぎる。日本人作家として突然目の前に現れた「潤吾」。封印された愛はどこへ行くのか?
コメント:日本と韓国の間には様々な問題がある。このラブストーリーを通して、ふだん私(たぶん平均的な日本人だと思う)が意識しないで見過ごしてきた歴史問題にライトを当てられた気がする。その点はとても興味深く読んだ。
しかし、それ以外のラブストーリー的観点からいうと、どうも「紅」に感情移入できなかったのでした。
著者:桂望実
出版:小学館
初版:2005.09.20.
紹介:上級公務員試験で入庁したエリート県庁職員が、1年間の民間研修を体験する。配属先は活気のないスーパー。しかもパートの女性の下に配属され、マニュアルも指導も行われないまま売り場に出される。自分のやり方に自信満々の「県庁さん」は役所の効率的と考えるノウハウを持って、スーパーの体質を変えようと孤軍奮闘するが……。
去年、映画化されて、気になっていた作品。原作の登場人物は映画とは変わっているので、また違うサブストーリーがあるようだが、とても魅力的な人物がたくさん登場する。県庁さんが少しずつ変わっていき、それと共にスーパーも、周りの人も変わって行く様子は、気分がスッキリする。役所も変わらなきゃなぁ…と、ちょっとと思ったしだいです。DVDになったらぜひみよう!
著者:宮部みゆき
出版:新人物往来社
初版:2005.6.21.
紹介:
妻子と家臣を殺した、加賀様が江戸から丸海藩へやってくる。流人か鬼か、疫災か、刺客を招き雷神を招く。平和な丸海の人々は混乱の中に放り込まれる。
おびえる人々とその影に隠れ暗躍するのは誰なのか?流行病の原因は?様々な人々のそれぞれの思惑を巻き込んで、丸海が壊れて行く。藩ををつぶさずに江戸への体面を保ちつつ、事態を収拾させる手立てはあるのか?
幸薄く幼いほうと、加賀様がわずかな救いで、加賀様の深い悲しみが胸にしみる。本当の鬼はどこに隠れているのか?
宮部みゆきの時代物。話の中にグイグイ引きこまれ、下巻は1日で読み終えてしまいました。
著者:上大岡 トメ
出版:幻冬舎
初版:2005.11.10.
紹介:たった5分間で、余分なものをそぎ落とす方法
「着ない服、はかない靴に無駄な家賃は払わない。」「散らかっているものは、とりあえず拾う」「古いタオルは思い切って処分する」…ウーン。まさに私のこと?
その他にも、なるほど~と思う事もちょこっとあったな。
でもまあ、私はけっこう「スッキリ!」してる方だなぁ。と思ったりして
著者:森博嗣
出版:講談社文庫
初版:2006.03.15.
紹介:「今夜から毎晩一作ずつ超短編を書きなさい」という天恵を受けた。とそれが本当かどうかは別にして、画面をスクロールせずに済む量だというから、正に1ページで話は終わってしまう。その話に、ほとんど無関係な写真とタイトルがくっついている。それなのに、その写真の一枚一枚になぜか、不思議と惹きつけられるのである。なんと言うか、森博嗣ワールドに、にやりとさせられてしまう。
著者:敷村良子
出版:幻冬舎文庫
初版:2005.06.10.
紹介:何とか進学校に入学したが、勉強は今ひとつ。
家では「受験勉強・地元国立大」といわれ、姉と成績を比べられ、本当に自分のやりたいことが見つからない。そんな悦子は部員を捜し「女子ボート部」を設立。そこに自分の居場所を見つける。幼なじみと・憧れの人。突然の腰痛と貧血。人生なかなか思うようには進まない。挫折と焦り。懐かしい高校時代を思い出す。
作者は私と3歳違いでほぼ同年代だ。そして、私の高校にも珍しくボート部があり、近くの江戸川でボートに乗せてもらったことがあるのだった。川下に向かっていくつもの鉄橋や道路の下をくぐって東京湾に出る。未体験の出来事にドキドキワクワクした。何より、水面がすぐ手の届くところにあるのだ。と、そこまでは良いのだが、そこで方向転換をして今度は川を遡らなければ学校まで帰れない。行きはよいよい帰りは…である。まあ、ボート部には入部しなかったのだが…ちょっと記憶が重なり、楽しく読める一冊だった。ちなみに、私は応援団だった。
著者:柴田よしき
出版:徳間書店
初版:2005.10.31.
紹介:20年前。中学校の修学旅行中に行方不明となった少女の名でメールが届いた。
「私をおぼえていますか? 冬葉」修学旅行の班のメンバーの周囲で起こる嫌がらせ・ストーカー。誰が何のために、メールを送っているのか?
埋もれていた記憶のかけらが、探し出した事件の真相とは?
かなり分厚い本。しかも上下二弾組。けれども、面白くて一気に読めました。卒業して20年、それぞれが大人になり、各々の人生を送っている。
読んだ日:2006.06.04.
著者:桐野夏生
出版:毎日新聞社
初版:2005.04.25.
紹介:63歳の夫が心臓麻痺で急死した。それまで家に寄り付かなかった息子が海外から妻子もちで戻り、家を出て行った娘も帰ってくる。混乱の中でそれぞれの思惑がぶつかり、更に、思いもかけなかった、夫の愛人の出現。今までの自分の人生はなんだったのか?これからどうしたらいいのか?還暦を前にして、悩みゆれる心。私だったらどうする?誰だって、家だけは大丈夫!と思っているに違いないのだ。
結婚して専業主婦・二人の子供は成人して、夫は定年退職。これからゆったりとした老後を二人で迎えるつもりでいた…って、普通にある設定だけに、ドキッとさせられる。殺人事件が起きない変わりに、隣の家でありそうな?いや、どの家でも起こりそうな問題をはらんでいるので、そこに引っかかってしまう。
しかし、女はだんだん逞しくなっていくもの。ラストも、年齢を重ねた大人たちがしたたかに生きている様子が描かれていて、まだまだ人生先が長いと、予見されるのだった。
この本。若い人が読んでも、今一ピンとこないだろうなぁ。