燃ゆるとき

moyuru.jpg高杉良のベストセラー小説の映画化。
マルちゃんの東洋水産がアメリカでカップラーメンを展開している。メキシコ系の現地職員との折衝。投資銀行による乗っ取りの動きの中で、セクハラの策略にはめられる男。アメリカでおいしいラーメンを作るためにがんばる男たちと、その会社を手に入れようとする者たちの戦いの物語。
企業経済映画とでも言うのだろうか?けっこう面白かった。日本の労働組合とも違う「ユニオン」というものも知らなくて、「アメリカというのは恐ろしい国だなー」と、映画の中と同じように思ってしまった。
いや、アメリカの話じゃない。最近は日本の国内でも企業買収の話はよくきくな。

優しい秘密 おいしいコーヒーの入れ方Ⅷ

yasasihimitu.jpg著者:村山由佳
出版:集英社
初版:2004.05.29. 
二人の展開は、なかなか進まない・・・?
二人のこれからと、かれんの将来。彼女のやりたいことを応援することと自分の気持ちとの間で悩む勝利。
ゆっくりゆっくり進んでいくこのストーリーに、少々イライラしたりして、ダメかなぁ?と思ったら
…あれあれ、この本、1年半前に読んでるじゃないの!?というか、もう9が出てるし…。というわけで9を予約しました。
しかし…二人の関係が進展しないのはともかくとして、星野りつ子の神経は病的だねぇ。
さて今回の、つもり積もった優しい秘密の重さなのだが・・・かなりな重量になると思う。秘密は優しくてもいずれは人を傷つけることになるのね。

落花流水

rakaryusui.jpg著者:山本文緒
出版:集英社文庫
初版:2002.10.25.
一人の女性の半生を10年刻みに描いている。親に捨てられた娘は、自分も娘を置き去りにし、繰り返させる歴史に、前半はまあそんな人生もあるかなぁ?という感じだったのだが、後半に来て、なにやら近未来の現実を見せられているような気分になってきた。こうならないという保証がないだけに、おそるべし、山本文緒。 

センセイの鞄

sennseikaban.jpg川上弘美
出版:2001.06.25.
初版:平凡社
紹介:37歳のツキコさん、よく行く店で肴の趣味のあう人がいると思ったら、高校時代のセンセイだった。30歳年の離れたセンセイとの関わりは心穏やかで、そのほとほととした想いはいつしか、恋愛感情のようなものへと変化していく。自分の気持ちへの戸惑いがツキコさんを不安定にさせる。
なんというのだろう?読んでいて、心が穏やかになっていく。ツキコさんの想いと、それに答えようとするセンセイの想い。しかし、30年の年の差はいつまでも寄り添っていることはかなわない。
前からタイトルが気になっていた「センセイの鞄」。だけど、何故だか、川上弘美という名前に抵抗があって、手にしなかった一冊。だけど、「古道具中野商店」を読んでイメージが変わった。この本もけっこういい感じで読めます。

オリバー・ツイスト

oribar.jpg恵まれない、身寄りのいないオリバーが救護院でひどい扱いを受け、奉公に出た先ではイジメに合い、逃げ出す。たどり着いたロンドンで子供の窃盗団組織に引き込まれるが・・・
ディケンズの原作は読んだことがない。孤児のオリバーがたくさんの苦難にあうのだが、最後は幸せになるというお話。いいお話・・・だったよ。
以下、独断と偏見の感想

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Good Luck

goodluck.jpgアレックス・ロペス フェルナン・トリアス・デ・ペス
出版:ポプラ社
初版:2004.06.22.
子供の頃の親友に54年ぶりに会ったら、ひとりは人生で成功を収め、片方は全てを失っていた。運と幸運は違う。ただ待っているだけでは幸運をつかむことは出来ない。
どうやって幸運を自分のものにするのか?という寓話。
出版社の紹介文を読んで、どんなに素晴らしい本なのか?とかなり期待していたのだが、確かに悪くはない。人生の考え方とらえ方を、ひとつの寓話として分かりやすく紹介している点において、子供向けの本としてはまあまあだろう。出版社もポプラ社だし…。だけど、なんというか、出版社の紹介文はちょっと大げさじゃないだろうか?とひねくれものの私は感じてしまうのでした。子供が小学生くらいだったら、読んでみてもいいかもしれない。大人は字面だけでなく、もっとその奥にある深い部分を掬い取ればいいのだろうが、どうもなぁ…。「チーズはどこへ消えた?」スペンサー・ジョンソン著を思い出してしまった。どうも私は人生訓のようなものが好きじゃないらしい。

チャーリーとチョコレート工場

tyaricyoko.jpg映画館で見たのだけれど、娘が見たいというので、さっそくDVDを借りに行った。ところが、棚はみんな貸し出し中で空っぽ!しかし、もしかしたら・・・・と返却済みの棚を捜したら、ひとつだけありました!ラッキー!
原作はイギリスの子供向けのファンタジー「チョコレート控除の秘密」
ずいぶん古い作品だけど、そこに描かれている子供たちへのメッセージ・或いは風刺・皮肉は現代でも通じるものがあり、それが、色鮮やかでファンタスティックな映像と、軽妙なウンパ・ルンパのダンスで描かれていて、思わず引き込まれてしまう。「子供向けのファンタジーね…」などと、侮ってはいけない。
原作にはない、ウィリー・ウォンカの子供時代のトラウマとその克服も分かりやすくていい。
映画館で見てるのに、また新鮮な気持ちでみてしまいました。意外と見落としたり忘れているシーンもあって、それはまた別の意味でショックだったりして・・・。まさか、居眠りしてたわけじゃないよねぇ?

ダウン・ツ・ヘブン

downtoheaven.jpg著者:森博嗣
出版:2005.06.25.
初版:中央公論新社
空を飛ぶこと、戦闘だけがクサナギの生きている意味。だけど、社会という大人たちはそれを許してはくれない。ティチャーとの思いがけない再会。再び戦闘。限りない喜び。
永遠の子供キルドレであるクサナギの物語。自分の好きなことだけをして生きていけたらどんなに幸せだろう?やりたいことがある人は多分、誰しもそう考える。だけど多くの現実は子供たちにそれを許してはくれない。クサナギの中に森博嗣を見るような気がするのは誤りだろうか?

シャネル

chanel.jpg著者:藤本ひとみ
出版:講談社
初版:2005.10.31.
藤本ひとみの作品らしく、フランスの歴史の流れの中でシャネルの恋愛を中心に物語りは進む。仕事と恋愛とどちらを選択したらいいのか?自分にとっての幸せ・生きている価値はどこにあるのか?ココ・シャネルの生い立ち、生きてきた時代背景。恋愛と仕事、その人生を描く。
孤児院に預けられても、強い意志で屈することのないガブリエル。その常に前向きの生き方には感心させられる。帽子デザイナーからファッション・香水・装身具。しかしそこには、ガブリエルの女性としての生き方が貫かれている。「可愛い守られる女性ではなく、自ら考えを持ち行動する女性のための服」ブランドのひとつとしてのイメージしかなかったのだが、ちょっと見方が変わったかもしれない。