ロズウェルなんか知らない

著者:篠田節子
出版:講談社
初版:2005.07.10.
紹介:交通の便も悪く、温泉もなく歴史もなく観光産業からも見放された山奥の町・駒木野。ふるさと創生・町おこしのために、立ち上がった青年クラブ。「有志・青年クラブ」対「役場・時代から取り残された民宿」。
彼らが狙ったのは、UFO・ミステリーサークル・巨石・廃墟となった遊園地。題して「日本の四次元地帯 駒木野」。しかし、本人たちの思惑とは違うところで、思わぬ反響が現れた。駒木野町の将来は?
コメント:UFO・ミステリーサークル・巨石・廃墟となった遊園地・オカルトツアー。
あまりにバカバカしい町おこしと思ったが、読んでみれば、なかなか面白い。自分たちの知らないところで、物事は変わり始めていくのだが、次第に役場や民宿の親父たちも変わってゆく。うまくゆかないかもしれないが、何か始めなくては、物事は変わらない。がんばれ駒木野!

電子の星 池袋ウエストゲートパークⅣ

著者:石田衣良
出版:文春文庫
初版:2005.09.10.
紹介:「ワルツ・フォー・ベビー」通り魔にギャングの息子を殺されたジャズタクシー運転手。誰もが口を閉ざす悲惨な真実とは?
「東口ラーメンライン」双子の兄弟が開いた小さなラーメン屋にいやがらせの嵐。
「黒いフードの夜」14歳のビルマ人の男の子はお金に困っていた。仕事はデリヘル。彼の仕事の上前をはねているやつは?
「電子の星」アングラDVDの人体損壊映像と池袋の秘密クラブの関係は?マコトはネットおたくと失踪した親友の行方を追うが……。
コメント:世の中の裏側。日の当たらないところに問題は山積している。お金のためには動かない正義のマコト!!もちろん正統派じゃないけど、切れ味は最高!!
やっぱり、スポーツクラブでバイクに乗りながら読むのには、一番ピッタリです。
最後の「千住明」さんの音楽を視点にした解説も、なかなか興味深く読みました。

花より男子1

著者:竹内志麻子 原作:神尾葉子
出版:集英社
初版:1994.03.10.
紹介:両家の子女が集まる一流高校、英徳学園。でも実態は、権力グループF4の下で、いじめが繰り返されるサイテー学校だったのだ。正義感の強い牧野つくしは、怒りバクハツ!ついに、F4に宣戦布告をした。
全校生徒からいじめの標的にされても、にっくき道明寺司を倒すまでは諦めるもんか。でも、F4の一員花沢類の不思議な瞳がやけに気になって…!?(引用)
コメント:以前から、気になって読んでみたいと思っていた本。コミックもノベライズも気になる。それがまたテレビ化されたので、もう、これは読むしかないでしょ。

一千一秒の日々

著者:島本理生
出版:マガジンハウス
初版:2005.06.16.
紹介:「風光る」遊園地に行こう、久しぶりの言葉。楽しい一日の後に待っていたのは…「七月の通り雨」好きな女の子がいるの。俺じゃ、君を変えることができない?
「青い夜、緑のフェンス」こんな太った男の、どこが良いんだろう?0.1tの針谷くん
「夏の終わる部屋」コンパで具合が悪くなった女の子を介抱した。それから、付き合うようになった彼女には…
「屋根裏から海へ」家庭教師先の姉妹。勉強の合わない妹と遠距離恋愛の相談をする姉。そして、別れた元恋人。
「新しい旅の終わりに」別れた元恋人との不思議な小旅行。
「夏めく日」先生が好きなわけじゃない。結婚する相手が嫌いなだけだ。高校生の私は、そ知らぬ顔をして、また挨拶をする。
コメント:最初の6編は、登場人物が交錯する。大学生たちの恋愛のひとコマ。
ふーむ、まあそんな事もあるかもねぇ。こんな人もいそうだし・・・という話。

ユージニア

著者:恩田陸
出版:角川書店
初版:2005.02.05.
紹介:土地の名家の祝いの席で、大量殺人が起こった。何者かによって持ち込まれた毒入りのお酒。一族絶滅の中で、ただ一人生き残ったのは盲目の娘だった。犯人は?動機は?現場に残された書置きの意味するものは?進む捜査。突然起こった犯人の自殺によって事件は幕を閉じたのだが…あの事件はいったいなんだったのか?
「忘れられた祝祭」と題された事件を描いた小説。そしてそれをめぐる事件を知る者たちの聞き取り。時は流れて、事件も忘れ去られていく。
コメント:間に「忘れられた祝祭」の一部をはさんだ形で、後は周囲の人々の証言の聞き取りというかたちで、事件は側面から描かれていく。
一度読んだだけでは、わかりにくかった。
一見幸せに見えるものも、その事の一面でしかない。事件は仕組まれたものでなく、しかし、必然であったのかもしれない。

体にいいおかず

著者:ベターホーム協会
出版:ベターホーム出版局
初版:1996.09.05.
紹介:カルシウムがしっかりとれるおかず・食物繊維たっぷりのおかず・βカロチンが上手にとれるおかず・鉄分たっぷりのおかず・ビタミンEたっぷりのおかず・EPAとDHAたっぷりのおかず・塩分ひかえめのおかず・夏ばてしたとき、しそうなときのおかず・おなかの調子が悪いとき・疲れが抜けないときに・風邪をひきそうだなと思ったら・食欲がないときのおかず・便秘がちの人のためのおかず・ストレスをふきとばすおかず・冷え性の人のためのおかず・コレステロールを考えたおかず・胃がもたれるときのおかず・体にいい酒の肴・若く美しい肌でいるために・ちょっと太ってきたなと思ったら
ちょっとしたヒントや工夫。すぐ作れそうなおかずがいっぱい。
コメント:料理の本を買ったり借りたりしても、なかなか実際に作ってみることは少なかったりする。しかし、この本はいくつか作ってみたし、家族にも好評だった。特別なこった調味料などがあまり必要のないのもいいところかもしれない。返却期限が来たので、もう一度借りてこよう。

チョコレート工場の秘密

著者:ロアルド・ダール
出版:1972.09.10
初版:評論社
紹介:映画で公開された「チャーリーとチョコレート工場」の原作。
世界一おいしいワンカのチョコレート。貧しいチャーリーは、一年に一度誕生日にたった一枚のチョコレートを食べることを楽しみにしていた。
あるときワンカのチョコレート工場を見学できるチャンスがやってきた。そこにはどんな秘密があるのだろう?
コメント:まず映画を見たあとに、原作を読みました。かなりの部分が忠実に映画化されていて、映画のシーンを思い浮かべました。本を最初に読んでいたら、映画で2度楽しめたかもしれません。(1972年といえば、私もまだ子供に近かったはずなのに、読んでいなかったんですね)
映画のほうは、ワンカの生い立ちを描くことで、もうひとつ物語にふくらみを持たせてましたしね。ジョニーディップ演じるワンカは不思議で美しく、面白かったです。

遮光

著者:中村文則
出版:新潮社
初版:2004.06.30.
紹介:「悲しみを乗り越えた振りをすること」それが親をなくした子供だった僕に求められた生きる知恵だった。生きることは演技であり、演じている自分に陶酔した。
恋人を演じる自分。しかし彼女を失ったという事実を受け入れることは出来なかった。
「ずっと一緒にいてくれ」と彼女は指切りをせがんだ。だから、僕は彼女と一緒にいる。彼女は生きている。そう信じることは僕を幸福にした…
苦しみ、悲しみを前にして、自分がどう変わるのだろう。自分を失っていくのか?もともと、自分は容器だけで、中身など存在しなかったのか?
コメント:読んでいて、あまり気持ちのいいものではない。だからといって、目をそむけているのも問題かもしれないが・・・本当に大切なもの失ったことがない私には、理解しがたい感情かもしれない。

さまよう刃

著者:東野圭吾
出版:朝日新聞社
初版:2004.12.30.
紹介:不良少年たちに蹂躙され殺された娘の復讐のために、父は仲間の一人を殺害しさらにもう一人を追いながら逃亡する。凶悪犯の少年保護か?少年法のあり方をめぐって世間の考えは賛否が大きく分かれ、警察内部でも父親に対する同情論が密かに持ち上げる。はたして犯人を裁く権利は遺族にあるのか?自分だったらどうする?
コメント:恐ろしかった、けれど、それが現実に起こらないとは言い切れない。
少年法・犯罪少年の更生…守られるプライバシー。それに引き換え被害者はプライバシーもなく好奇の目に晒される。愛すべきものを失った遺族にできることは何なのか?犯罪を犯した少年はそれでも、保護ざれる存在なのか?その保護者の責任は?人の子の親としてあらゆる面でいろいろなことを考えさせられた。
本題からは外れるけれど、そんなに帰りの遅い娘が心配なら、徒歩10分の駅までの道。携帯も持っている世の中、なぜ、子供にうるさがられようとも、駅まで迎えに出なかったんだろう?私なら、家で心配しているよりは、迎えに出るほうを選ぶ。ええ…もちろん毎日でも。それ以上はなかなか出来ないけれどね。

駆け込み交番

著者:乃南アサ
出版:新潮社
初版:2005.03.30.
紹介:新人警察官「聖大」が登場「ボクの町」の続編になります。
東京世田谷の閑静な住宅街「等々力」に配属された聖大。新宿や渋谷といった繁華街で日夜緊迫感のある警察官としての生活を望んでいたが、現実は警察署内での、わずらわしい人間関係やお年よりの話し相手だったりする。
そんな時、驚くべきパワフルなお年よりの集まりに出会う「とどろきセブン」
引退したとはいえ、それぞれが持つ本職と趣味が高じた技術。黙ってられないおせっかいが、聖大の周りを取り巻く。絶妙なコンビが面白い。
とどろきセブン:最近様子がおかしい「気になる家があるんだ」。玄関を開けると異様な臭いがした「正露丸」の臭いだ・・・
サイコロ:倉庫に放火をしようとしたのは小学生だった。その小学生はまるでサイコロのような現代風の家に住んでいた。しかし…家の中はゴミだらけだった。その子供たちが行方不明になった…
人生の放課後:文恵の夫がなくなったいきさつから、まわりに友達が集まってくるまで「とどろきセブン」結成そして、裏家業のお話。
ワンワン詐欺:可愛がっていたペットが誘拐された。振り込め詐欺の一種か?犯人を追い詰め逮捕した後に聖大が見つけたものは…
コメント:軽く読めます。そして「とどろきセブン」の面々がなかなか魅力的です。
聖大巡査には今しばらくとどろきに勤務してもらって、「とどろきセブン」の活躍を見せて欲しいですね。