きもの着ます

著者:原由美子
出版:文化出版局
初版:2003.02.16.
紹介:日本人にはきものが似合うと信じています。何よりの利点は、洋服では決して考えられないような総柄の染めのきものも着こなしてしまえること。色についても、少し派手でも反対に地味でも帯、帯揚げ、帯締めの色などで、自分の肌や雰囲気にしっくりなじませることができます。
最初からかまえて、よそゆきに着ようとはせずに小紋や紬、それに木綿のひとえなど、比較的気楽なきものと帯の組み合わせを楽しみながら着てください。少しでも早くきものになじむには、日常的に着るのがいちばんです。(扉より引用)
コメント:きものと帯・小物の合わせ方など、見ていて楽しいです。正装というよりは気楽な街着を着こなしたい。

自分でできるきものの着つけと帯結び

著者:木口屋芳子
出版:成美堂出版
初版:2002.12.20.
紹介:きものの世界には、着ていく場所や目的に応じて、きものの種類や小物あわせなどのルールがあります。
本書では、はじめてきものを着る方にもわかりやすいように、TPO別にコーディネイト例を紹介しました。着付けや帯結びも、詳しいプロセスつきで説明しているので、かんたんに着ることができるでしょう。
 可愛らしい小物選びや、衿元や帯まわりの色合わせ…。きものを着る楽しみは無限に広がります。自分の好みとセンスをいかして、コーディネイトしてみましょう。(扉より引用)
コメント:

一人で着るデイリー着物 基本の着付けと帯結び 別冊NHKおしゃれ工房

著者:NHK出版編
出版:日本放送出版協会
初版:2002.12.20.
紹介:自分できものが着られるようになると、着物への興味がますます沸いてきます。
きものにはたくさんの種類がありますが、着方は基本的にすべて同じです。
帯結びも、一重 セ鼓がマスターできたら、もう安心。どうしても無理なら、付け帯にすることもできます。
きものは特別の日だけのものではありません。食事会や買い物、観劇やコンサートなど、ふだんの暮らしの中でこそ、日常着としてきものをもっと楽しみましょう。(扉より引用)
コメント:

図書館の神様

著者:瀬尾まいこ
出版:マガジンハウス
初版:2003.12.18.
紹介:バレーボールが正義だった自分が、人を自殺に追い込んでしまった。
バレーボールからも離れ、住んでいる町からも遠く離れた土地で高校の講師を始めたが、待っていたのは退屈な授業と文芸部の顧問という仕事だった。たった一人の部員と図書館で過ごした1年間は・・・
コメント:図書館好きの私がタイトルから想像するものとは、ちょっと趣向の違う話でした。
でも、高校生である一人の部員と接することによって、同じ傷を持っていた主人公が図書館を通して少しづつ解放されていくのは、嬉しい展開だった。
とくに若いときには、絶対的な自信を持っていたことが、ある日打ち砕かれて自分を見失ってしまったりしがちだ。逃げ出したり、殻にこもったり、でも時の流れとほんの少しのキッカケで何かが変わっていくかもしれない…。

私が語りはじめた彼は

著者:三浦しをん
出版:新潮社
初版:2004.05.25.
紹介:彼=歴史学者・村川は間接的に語られる。
中傷の手紙の差出人を捜すことを命じられた彼の助手。彼に妻を寝取られた夫。彼に置き去りにされた息子。彼と手紙を交わす義理の娘の調査を依頼された探偵。彼の娘の婚約者によって…
語られているのは「彼」ではない。「彼」と接触を持つ女たちを通して「彼」が浮かび上がる。
コメント:ここに書き出してみて気づいたのは、「語っている私」はみんな男たちだった。
ここで語られている「彼」は、さして魅力的とも思えない。なのに周りの人間が絡めとられるように人間関係を壊していくように見えるのはなんでだろう。

マジョモリ

著者:梨木香歩
出版:理論社
初版:2005.05.01.
紹介:ある朝 つばきが目を覚ますと、机の上に手紙がおいてありました。
「まじょもりへ ごしょうたい」
道路を渡って、つばきは森の奥深くに進み始めました。
そこには女の人がすわっていて…
時と場所を越えた不思議なまじょもりのお茶会が始まります。
コメント:絵本でしょうか?子供の頃の気持ちを思い出させてくれる、一冊です。
こういう世界を忘れないおとなでいたいし、子供たちにも大切にして欲しい時間ですね。

高齢者のためのいい病院 東京編

著者:青山やすし
出版:かんき出版
初版:2004.0カ.28.
紹介:・老いた親あるいは配偶者をどこに入院させるか?
・リハビリはどこでしてもらうか?
・療養ならどこがいいか?
・痴呆はどこで面倒を見てもらうか?
患者の立場で選んだ50の病院
99~2003年まで東京都の副知事を務めた青山氏が高齢福祉部長時代に、高齢者の病院や老人ホームを見て歩き、そのときに感じたいい病院の選び方。
コメント:義父が介護保険申請をする段になって、困ったことがある。「主治医」の欄に誰の名を書けばいいのか?某総合病院の内科にかかってもう数年。定期的に見てもらっていたが、先日けいれんで救急車による搬送は、「満床」を理由に断られてしまった。新たな搬送先は脳神経外科のある救急病院。しかしその先生は痴呆を扱うものの週2回しかこない。
しかも脳神経外科では「脳血管性の痴呆」の診断や予防には有効だが、痴呆の程度レベルの診断となると、精神科を受診することになる。
精神科で痴呆の進行を遅らせる薬…の処方箋をもらって薬局に行った。
ところが驚くべきことに、もう2年も前から某総合病院の内科で「同じ薬」を処方してもらい飲み続けていたのだ。
高齢者にとっての主治医。主治医となるべき医師のいる病院は、どこを選んだらよいのだろう?ほとほと困ってしまう。
本書は、緊急の救急病院の、その先の病院探しであるが、私にとっては人事ではない。少なくとも、今かかっているどの病院も痴呆対応入院は望めない。かろうじて精神科の医師が本書に紹介されている病院とのつながりがあるので、そこかな…?しかし、いくらこちらが気に入っても、空きがなければ、入院は受け入れられないのだし。
「家で面倒見れなくなったら、病院に入れてしまえばいい」と簡単に言う人もいるが、いろんなことを考えれば考えるほど、そうそう簡単にはかないことがわかってきた。

家守綺譚

著者:梨木香歩
出版:新潮社
初版:2004.01.30.
紹介:池・庭・電灯・二階屋。友人の実家の家守をする、売れない学士・綿貫と草・木・花・獣また、仔竜・河童・人魚・竹精・桜鬼という、なかなかお目にかかれないものたちとの交歓。ふと出没する亡くなった友人・高堂との関係が、なんともいい。
ほんの百年ほど前の設定だが、こんな風景はまだ私が生まれた頃はその名残がまだわずかに残っていたような気がする。心を研ぎ澄ませれば、まだこういうものたちとのかかわるがもてたような…
コメント:目次に並ぶ、植物の名前。名前を見ただけですぐにわかるものも多い。サルスベリ・都わすれ・ダリヤ・ドクダミ・カラスウリ・竹の花・白木蓮・むくげ・紅葉・萩・ススキ・野菊・サザンカ・リュウノヒゲ・檸檬・南天・ふきのとう・山椒・桜・葡萄
けれど、名前は聞いたことがあっても、どんな植物なのかすぐには思い浮かばないものも多い。ヒツジグサ・ツリガネニンジン・南蛮ギセル・ホトトギス・ネズ・セツブンソウ・貝母。これは、検索してみました。ヒツジグサって睡蓮のことだったのね。
読み進むうちに、隣のおかみさんも、和尚も後輩の山内も長虫屋もダリヤの君もみーんな霧と共に消えてしまいそうなそんな不思議な気持ちになってくる。
全く違う話だが、夢枕獏「陰陽師」での清明と博雅が清明の座敷で庭を見ながら酒を酌み交わしている構図が目に浮かびました。
本の装丁もいいですねぇ。紬なのか?細い縦縞。手元に置きたくなってしまう一冊。

クライマーズ・ハイ

著者:横山秀夫
出版:講談社
初版:2003.08.15.
紹介:地方紙の新聞記者悠木は、最古参の「遊軍」。組織にも家族にも自分の心を開けない。自分が傷つくのを恐れているからだ。
 登山仲間の安斉と切り立った衝立岩を登る約束をしたその日、あの未曾有の「日航ジャンボ墜落事故」が起きた。全権デスクを任された悠木は、山から逃げるように、事故記事と紙面の争奪戦に巻き込まれる。現場の若い記者たちと、社内の古参たちの間で思うように動くことができない。
 一方安斉もその日、路上で倒れ意識をなくしていた。なぜ悠木を山に誘ったのか?なぜ山ではなく夜の街中で倒れたのか?
 他人に触れられたくない生い立ちを持つがゆえに、温かい家庭を夢見て、家族を持ったのに、今や家の中に居場所はない。息子との壁を感じてしまう。
コメント:新聞記者としての経歴を持つ作者ならではの、臨場感がたまらない。
衝立岩に登っている今と、17年前のあの時が見事に交錯してラストはすがすがしい。
「クライマーズ・ハイ」=「興奮が乗じて恐怖心がマヒしてしまうこと」
そして、恐ろしいのはそのクライマーズ・ハイがとけたとき。心の中に溜め込んだ恐怖心が、一気に噴き出してくる。