冷たい誘惑

著者:乃南アサ
出版:文春文庫
初版:2001.04.10.
紹介:「私は拳銃を構える。恐怖に引きつった顔を思い描くだけで、胸のもやもやが晴れていく」─────。
久しぶりの同窓会で、歌舞伎町に流れ、家出少女から受け取ったつつみの中身はなんと拳銃。何故か主婦は警察に届けない。日常に倦んだ市井の人々を狂気に変えていくコルトの魔力。巧みな構成で魅了する連作短編集。
*「母の秘密」*「野良猫」*「なかないで」*「塵箒」*「置きみやげ」(裏表紙より引用)
コメント:手のひらにはいるほどの小さな護身用のコルト。そのずっしりとした重みと冷ややかさが、伝えるものは・・・・。
その危険性と、魔力のような安心感。決して手にはいることのないはずのものが手に入ったら、私だったら・・・どうするだろう?

姫神さまに願いを

著者:藤原眞莉
出版:コバルト文庫
初版:1998.09.10.
紹介:比叡山をでて諸国を放浪する行脚僧カイは童顔が悩みの22歳。安房の国の海辺で不思議な少女テンと出会った。追われているというテンは、初対面のカイから昼御飯を強奪したあげくに「助けてくれなければ、祟ってやる」と脅迫する。追っ手の侍たちを振り切った二人は、テンが世話になっているという稲村城に向かった。そこでは、若き城主・里見義豊をめぐってお家騒動が起きていたが・・・!?(表紙扉より引用)
コメント:人の良さそうなカイと、天真爛漫に見えるテンの実の姿は?
久しぶりに手にしたコバルト文庫は息抜きにはピッタリの一冊でした。
今後の二人の展開もちょっと気になるなぁ。

肩ごしの恋人

著者:唯川 恵
出版:マガジンハウス
初版:2001.09.20.
紹介:幸せになるために、幸せを手に入れるために、女としての武器を最大限利用して結婚を繰り返す“るり子”。
そんなるり子の蔭で、お人好しといわれる主人公“萌”。
女にとって、結婚とは?男・恋愛・幸せ・・・・どんな生き方を選択するか?
コメント:自分にとって、どんな生き方がいいのか・・。誰しもみんな迷ってしまう。
るり子の生き方は、あまりに愚かしくて思わず笑ってしまうが・・・
萌の行き当たりばったりの生き方もなぁ・・・もちろん小説としてはけっこう楽しめるけどね。そういうお年頃の女性が読んだら、我が身に照らし合わせて楽しめると思う。
子供を持つというのは悪くないと思うけど、いつまでもカワイイ赤ちゃん・子どもでいてくれるわけもなく、いずれは自分から離れていってしまうものだからねぇ。などと、冷ややかに思ったりしてね。

ドリーム・バスター

著者:宮部みゆき
出版:徳間書店
初版:2001.11.30.
紹介:異次元の世界から、地球に逃げてきた囚人を追いかけて、ドリームバスターはやってきた。
囚人は、人びとの弱い心のすき間を狙って、その人の夢の中に入り込む。・・・悪夢。
コメント:宮部みゆきさんの作品に、また新しいジャンルが増えた。
“プロローグJACK IN“ First Contact”DBたちの穴”
新たに登場した、「テーラ」という星と、ドリームバスターたちの世界が、これからも広がっていくと思うと、続きがたのしみです。

あなたには帰る家がある

著者:山本文緒
出版:集英社文庫
初版:1998.01.25.
紹介:夫は花など興味ないが、秀明は「紫陽花の花が咲きはじめましたね」と言ってくれた。
平凡な家庭の主婦・綾子が恋をしたのは、そんな理由からだったかもしれない。そして秀明が恋に落ちたのも、仕事を持つ妻にはない、夕餉の支度をする幸福そうな綾子の姿を見たからなのかもしれない。妻の恋、夫の恋をきっかけに浮き彫りにされるそれぞれの家庭の事情───。「結婚」の意味を問う、恋愛長編小説。(裏表紙より引用)
コメント:読みながら、以前読んだかもしれないと・・・似たような設定の話だったかしら?
まあ、ありがちな設定ではあるものね。二組の夫婦の誰をとっても、そんな気持ちになるのもわかるなぁ・・と思いつつ。でもそこまで思い切ったことはできないのでは?と、やはりお話の世界なのだと納得する。
しかし、昨今の若いお母さんは、真弓のように家でごはんの支度と子供の世話をすることに耐えられなくなっている人が増えているような気もする。どういう家族形態がいいとは一概にいえないけれどね。みんな悩んでいるのだろうな。

遠い背中(おいしいコーヒーの入れ方Ⅵ)

著者:村山由佳
出版:集英社
初版:2002.03.27.
紹介:僕の一人暮らしへの第一歩は、親父を説得することだった────はずだ。
ところが、いざ話を進めてみると、意外なところで反対されるし、
かれんは何か悩みを抱えているようで、気がかりだけが増えてゆく・・・・・・。
でも部屋が見つかれば、ふたりの「場所」ができるのだ。
かれんの兄『風見鶏』のマスターが語る過去のエピソードも同時収録。(表紙扉より引用)
コメント:ようやくショーリがひとりぐらし。この先の展開がどうなるのか
拒食症の星野は?鴨川のおばーちゃんは?気になりますねぇ。

5年目の魔女

著者:乃南アサ
出版:幻冬舎文庫
初版:1997.04.25.
紹介:ルルル、ルルル、ルルル・・・・・・。3回鳴ってから切れる電話は、5年まえ私を陥れた“魔女”の復活の合図なのか?忌まわしい過去に決着をつけようと動き出した景子の周りに、あの女の影が現れては消える。あの女が幸せになっているはずがない、それは景子の心からの叫びだったが・・・・・・
女性心理の暗黒に鋭く切り込んだ、サスペンス長編。(裏表紙より引用)
コメント:ウーム、なるほど、こういう展開だったか!
考えるに、女はみんな“魔女”かもしれないな。

占い師はお昼寝中

著者:倉知淳
出版:創元クライム・クラブ
初版:1996.06.25.
紹介:渋谷で霊感占いをする叔父は、“暇さえあれば寝てばかりいる、年をとっと駄猫見たいに・・”
彼のところにはよろず相談事が持ちかけられる、むろん探偵事務所ではないから調査はしない。依頼者の話を聞いただけで苦もなくことの真相を見破ってしまう。しかし依頼者の前に真実を明らかにするのではなく、さもありがたそうに占いをし嘘八百を並べ立て依頼者にとって必要な処方箋を言い渡すのだ。
「三度狐」仕事一筋のエリートサラリーマンに不思議な事件が3度も起こった。ゴルフクラブが1本なくなり、書類が行方不明になり、買ったばかりの本が3冊も消えた。
「水溶霊」家に帰ってみると、部屋の中が散らかり化粧台のビンが飛び散り、キッチンでは棚からさらが飛び出し醤油やソースがこぼれていた
「写りたがりの幽霊」旅行先で撮った写真には心霊写真が写っていた・・
「ゆきだるまロンド」私のほかに、もうひとりの自分がいる。行っていない旅行に出かけたり、遠くの宝石店に手袋を忘れてきたり、町内会の旅行をキャンセルしたり・・・
「占い師は外出中」呆けた老人と付き添いの友人、彼の家に幽霊がでる・・・占い師の外出中に留守番の助手が謎解き!?
「壁抜け大入道」200万円が盗まれた、父の無実をはらすために少年がやってきた。「僕は大入道が工場に入っていくところを見たんだ」
コメント:北村薫の「円紫さんシリーズ」を思い浮かべる。
なかなか楽しい一冊でした。

ガラスの麒麟

著者:加納朋子
出版:講談社
初版:1997.08.25.
紹介:いつも華やかで楽しくて、笑っている女子高生たち。そんな彼女たちの中には誰にも知られたくない、壊れやすい心がしまってある。まるで、ガラスの麒麟のように・・・美しい女子高生が殺された、犯人「人殺し」は今もどこかに息を潜めている。
殺人事件の裏にかくされた脆く危うい人の心、人は自分と同じ匂いを感じ取る。
コメント:一見無関係な出来事が、だんだん繋がってやがてその姿が見えてくる。
読んだあとにもう一度読み返して、見落としていた伏線を見つけて納得したりして、結構楽しく読めました。

シャトウ ルージュ

著者:渡辺淳一
出版:文藝春秋
初版:2001.10.30.
紹介:一流大学の医学部を出た「前途有望な青年外科医」の僕と、創業130年の老舗の令嬢。僕たちは傍目からも似合いな理想のカップルだった。しかし妻の想像以上の我が儘と気位の高さで、僕が思い描いていた結婚生活とはほど遠いものだった。
───男が結婚するのは、求めたらいつでも受け入れてくれる妻という安定した性の対象を得るためで、その妻が容易に受け入れてくれないのでは、結婚した意味がないことになる────
だから僕は膨大な金をかけて、彼女を調教してもらうことにしたのだ。彼女が性に目覚めセックスに溺れる淫らな女になり、僕を受け入れてくれる日を夢見て。、
コメント:渡辺淳一は、「失楽園」でちょっとめげて
「遠き落日」で持ち直したんだけど、今回又吹っ飛びました。
どうも、現在の作家の姿が思い浮かんで、それとこの作品がうまくなじまない。あ!でも主人公は医師だからその点、自分自身を客観的な目で見ようとしている記述はおもしろかった。
でもねぇ、何だってこんなに自分勝手な発想を主人公が思いつくのか
そういう男性という性にほとほと呆れる。だから、結末はとっても納得しました。