著者:柴田よしき
出版:ハルキ・ノベルズ
初版:1998.06.08.
紹介:21世紀の初頭。宇宙から飛来したD物質による感染者「Dタイプ」は全世界で増え続けていた。全身から青白い光線を発し、超人的なパワーで人間に襲いかかり血を吸う彼らは、まるで吸血鬼のようだった。世界的なプロジェクトのもとに、感染者を《保護》する特別警察官シキは、ある日感染者である一人の女性を射殺するのだが・・・・。近未来を舞台に、人類の進化の可能性を問う,SFラブストーリーの傑作。(裏表紙より引用)
コメント:今、私たちのまわりある様々なアレルギー・花粉症・アトピー・・・。こういう体質の変化が、もし環境に順応するための一過程だとしたら・・・・。
あながち、(変化→悪)ではないのかもしれない。守るべきもの、正義、それ自体が揺らぎ始めた時、シキは本当の自分を見つけだす。
柴田よしきのSF警察物、なかなか面白いです。
著者:加納朋子
出版:集英社
初版:1999.10.30.
紹介:ちょっと不思議な短編集
*「黒いベールの貴婦人」荒れた病院の廃屋の中に子どもの声。そんだ子どもの幽霊とレイネ。人々を一瞬のうちに不幸に陥れたものの正体は・・・
*「エンジェルムーン」亡き妻の日記の中の世界。ある日、店にやってきた一人の女『私のこと、覚えてる?また来たのよ・・・』日記が蘇る・・・
*「フリージングサマー」大好きな従姉妹の部屋にくらす(ちせ)。忘れられることの悲しさ、閉ざされた心・・・
*「天使の都」『心はいつもすれ違う』失った娘・・・おまえがついていながら何故こんなことになったんだ・・・
*「海を見に行く日」女が一人で海を見に行きたいと思ったときは・・
*「橘の宿」山中に橘の香り。その中にたったひとつしか花を付けない木があった。
*「花盗人」おばあちゃんちの庭にあらわれる花盗人。ある日ポッカリと穴が空き、しばらくするとパンジーが植えられていた。
*「商店街の夜」ある日、さびれた商店街のシャッターを塗りかえている男を見かけた。夜になると描かれた雑木林から風が吹き、落ち葉が舞う・・・
*「オレンジの半分」半分に切ったオレンジは、右も左も同じ。まるで双子の姉妹のように。
*「沙羅は、和子の名を呼ぶ」新しい家に引っ越してきた(和子)。話す相手は(サラ)
コメント:自分では全く意識していない、あるいは、心の奥底に隠した記憶。自分のものであって、自分のものでない心・・・そんなものが見え隠れするおはなし。
私が気に入ったのは、「黒いベールの貴婦人」「フリージングサマー」と「商店街の夜」もいいかも。
著者:柴田よしき
出版:双葉社
初版:2000.10.05.
紹介:阪神大震災で、恋人を失ったメイ。
その恋人に似ている男を夫にして、メイは幸せだった。夫の中には、恋人の姿が見える・・・
ところが、ある日を境に夫が全くの別人に変身してしまう。顔、姿はそっくりなのに、癖や仕草がまったく違う。夫は変わってしまった。
メイに大きな変化が訪れる・・・・そのキーワードはPINK。
コメント:柴田よしきの作品はテンポがよく、どんどん引き込まれていく。この「PINK」もところどころにちりばめられた、PINKや複線が、次第につながり形を作っていく様はワクワクする。
あの大震災で失われた物は大きく、そしてその多くは、まだあの痛みを抱え続けている。
著者:J.K.ローリング
出版:静山社
初版:2002.11.01.
紹介:上:魔法界のサッカー、クィディッチのワールドカップが行われる。ハリー達を夢中にさせたブルガリア対アイルランドの決勝戦のあと、恐ろしい事件が起きる。そして、百年ぶりに開かれる三大魔法学校対抗試合に、ヴォルデモートが仕掛けた罠は、ハリーを絶体絶命の危機に陥れる。しかも見方になってくれるはずのロンに、思いも掛けない異変が・・・。
下:クリスマス・ダンスパーティは、女子学生にとっては待ち遠しいが、ハリーやロンにとっては苦痛でしかなかった。ハーマイオニーのダンスのお相手は意外な人物。そしてハグリットにもパートナーが?三校対抗試合の緊張の中、ロマンスが飛び交う。しかし、その間もヴォルデモートの不気味な影がホグワーツ城を徘徊する。本当に怪しいのは誰か?難題を次々とクリアするハリーだが、最後の試練には痛々しい死が・・・。
コメント:発売前から予約をして購入。もうこれは、全巻揃えるしかないでしょう。
ちょっと意外なのは、ハリーの恋心が、予想していたのと違ったところだわ・・・
それはさておき、さすがに魔法界のお話、とんでもないときにとんでもないことが起こる!まあ、それがおもしろいのかも知れないけどねぇ。
著者:森絵都
出版:講談社
初版:2002.08.08.
紹介:地を離れ 宙を求めて 水へ還る。
オリンピック代表権を書けた選考会当日。知季、飛沫、要一の3人はそれぞれの思いを胸に抱き、コンクリートドラゴンに挑んだ。
ダイブシリーズの完結編、物語はいよいよクライマックス。
コメント:途中、ダイブはどうなっちゃうんだろう?と、ハラハラしたけど、ようやくここにきてホッとしました。1~4まで一気に読みなおしたい気分です。
著者:村山由佳
出版:集英社
初版:2002.10.09.
紹介:子どものいない、アクティブな生活を送ってきたムラヤマ家。
猫好きな妻と猫嫌いの夫の前に突然二匹の子猫が迷い込んできた。ムラヤマ家の生活は次第に姿を変える、ねこ、うさぎ、子馬、生きるものと共に暮らすためにムラヤマ家の農場移住計画は始まった。
コメント:猫を飼ったことのない私にとっては、驚きがいっぱいのエッセイです。でも、写真いっぱいの子猫たちを見ているうちに、なんとなく幸せな気分になってくる。いいなー、ムラヤマ家。
著者:宇江佐真理
出版:集英社
初版:2002.05.30.
紹介:好いた惚れたは八丁堀の 顔にひとすじ 体に八十八の刀傷 男権佐のこころ意気。(帯より引用)
コメント:夫婦・親子・・・今時こんなの流行らないよなぁ・・と思いつつ。いや、まだ残ってるんじゃないかと、まわりを探したくなるそんな切ないお話です。
娘を守って、命を落とした父親・・・こんなことされちゃ、一生忘れられない。
著者:ニコラス・スパークス
出版:ソニーマガジンズ
初版:1998.12.25.
紹介:最愛のキャサリン、君が恋しい。いつもと同じように。だが今日は特別つらいんだ・・・。
波間に投げ込まれたビンには、ひとりの女性に当てた、そんな書き出しの手紙がはいっていた。海に育ったギャレットにとって、それは失ってしまったたったひとりの女性に永遠の愛を誓う唯一の方法だった。
新聞社でコラムニストをするテレサは、忙しい都会での仕事から解放され、海辺での休暇を過ごしているとき、その手紙がはいった瓶を拾い上げた。
・・・・そして彼女は、やがて明るい海辺の町へと、思いもかけない出逢いへと導かれていく。
人が人生でしなければならない、最も大切な選択とは何かを、静かに力強く語りかける愛の物語。(表紙扉より引用)
コメント:恋愛・・・人は恋するために生きているのかもしれない。偶然か、はたまた意図的な出逢いとよぶのか、一つの瓶から始まるロマンチックなラブストーリーは、度々私をやきもきさせた。そう、ラストまで・・・・・。
著者:久間十義
出版:幻冬舎
初版:2000.05.10.
紹介:殺された女は、外資系証券会社のシンクタンクに勤めるOLだった。そして、彼女のもう一つの顔は渋谷で売春をする事だった。彼女の手帳に記された男の名前の中に政界のにおい。薬、売春、ストーカー・・・
休む間もなく社会の一線で戦いストレスにさらされる女達の姿が見えてくる。
コメント:専業主婦の配偶者控除も見直されていく今日、女性も男性と同じように働くことを余儀なくされるだろう。ストレスにさらされるのは男も女も同じだろうが、あいかわらずの男性優位社会ではなおさら思うようにことは進まない。
我が娘達の将来を思うと生き方を考えさせられる。
著者:石田衣良
出版:集英社
初版:2002.05.30.
紹介:「泣かない」ひどく傷付いているのに無理して隠そうとする。涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ。
「十五分」彼女を待っている15分の間に僕が思いだしたのは、この夏に付き合っていた女の子とのことだった。ユウミはすごく性欲の強い女の子だった。
「You look good to me」ハンドルネーム(アヒルの子)彼女の口癖は(私は醜いから)
だけど、そんなことはどうでもいいんだ。
「フリフリ」ふたりは恋人同士の振りをした。ウソだよって言うサインは「フリフリ」
「真珠のコップ」やってきた女の子はコールガール。彼女と2週間一度会うのが習慣になっていった。最後の約束の日・・・。大切なのは、みんなが知らなくて、僕だけが知っていることだ。
「夢のキャッチャー」シナリオライターを夢見る、僕の彼女。彼女の夢を応援してるけど、もしも彼女の夢が実現してしまったら、僕の手から遠いところに行ってしまうんじゃないだろうか?
「ローマンホリディ」私と『ローマの休日』をしませんか?そんなメッセージに惹かれて会った有希は、本人じゃないという。じゃあ、有希は誰なのか?
「ハートレス」あなたはセックスレスじゃない、もうこころがないの、ハートレスよ!
「線のよろこび」若い才能を見つける。それがサツキのよろこびだった。
「スローグッドバイ」さよならデート。別れるときはできるだけ豪勢でセンチメンタルであるのが大切。懐かしのデートコースをひとまわりする。
誰も死なない犯罪も起こさない短編集。読み終わったあとで心地よい酔いを残すようなラブストーリーの数々。
コメント:作者の意図のとおり、ちょっといい感じのお話です。
「夢のキャッチャー」「ローマンホリディ」あと「真珠のコップ」も、よかったな。
読んだあとに幸せな気分になれるから。