著者:村山由佳
出版:文藝春秋
初版:2003.03.30.
紹介:戦前生まれの厳格な父、家政婦から後妻に入った母。先妻の子も後妻の連れ子も、兄妹は分け隔てなく育てられた。
そんな一家に突然、残酷な破綻が訪れて───。
家族とは、そして、人生とはなにか。
性別、世代、価値観の違う人間同士が、夜空の星々のようにそれぞれ瞬き、輝きながら、それでも「家」という一つの舟に乗って、時の海を渡っていく。(帯より引用)
コメント:あの恋愛小説風を想像するとまたちょっと違うけど・・・
これなら直木賞もいけるなと、納得できる作品かな。
今までの作風からすると一歩踏み込んだ感じもある。
著者:石田衣良
出版:新潮社
初版:2003.05.20.
紹介:14歳は空だって飛べる。
スカイラインを切り取る超高層マンション、
路地に並ぶ長屋ともんじゃ焼きの店。
<きのう>と<あした>が共存するこの町・月島で、
僕たちは、恋をし、傷つき、旅に出かけ、死と出会い、
そしてほんの少しだけ大人になっていく───。
14歳の4人組が一年間に出会った8つの物語を鮮やかに描いて、
<いま>を浮き彫りにする青春ストーリー。
(帯カバーより引用)
コメント:14歳の中学生がかかえる様々な等身大の悩み・・
かけがえのない友だちがいたらいいなぁって思える一冊。
著者:デイヴ・ペルザー
出版:ソニーマガジンズ
初版:2002.09.
紹介:「何故僕だけがこんな目に?」───母親に名前さえ読んでもらえない。“That boy”からついに“It”と呼ばれるようになる。
食べ物も与えられず、奴隷のように働かされる。身の回りの世話はおろか、暴力を振るわれ、命の危険にさらされ、かばってくれた父親も姿を消してしまう。
児童虐待の体験者が、その記憶をたどることは、きわめて苦痛と困難をともなうものだ。
本書は、米国カリフォルニア州史上最悪といわれた虐待を生き抜いた著者が、幼児期のトラウマを乗り越えて自らつづった貴重な真実の記録である。(裏カバーより引用)
コメント:今の私なら、逃れる手だても考えられるだろう。でも、小さな子供にとって、家、母は安心できる唯一の存在であるはずだ。そして、子供にとっての全世界である家庭から逃れる手段など不可能に違いない。理不尽な母親に「怒り」を覚える。
著者:北村薫
出版:文藝春秋
初版:2003.01.30.
紹介:時は昭和初期。氏族の家柄に生まれた英子さんが、女性運転士のヒントで謎を解明する。「円紫さんと私」シリーズに、ちょっと雰囲気が似てるかな?
「虚栄の市」を読んだ私の目の前に、まるでお話の中から飛び出したように、運転士のベッキーさんが現れた。さて江戸川乱歩を読んだ男は・・・?
「銀座八丁」今は和光、その昔服部時計店。銀座の名物は今も変わらない。さて学校で流行っている暗号遊びの鍵は本だったのだが・・・
そして、ベッキーさんに投げかけられた「上着を脱げ」。大意の言葉の真意はなんだったのか?
「街の灯」避暑先の軽井沢の別荘で行われた映写会。招かれた先で起きたのは、事件か?事故か?
コメント:昭和の家族の名残を残す、お嬢様方のちょっと別世界がそこに繰り広げられる。時代背景とともに、英子さんとベッキーさんのシリーズもこの先が楽しみです。
著者:東野圭吾
出版:光文社
初版:2002.11.25.
紹介:大きな仕事から下ろされたオレの元に、とんでもないものが逃げ込んできた。
クライアントの令嬢。さあ、これから誘拐という名のゲームが始まる。最後に勝利するのは誰か?
コメント:インターネットや携帯はもう誰でもが使うものになった。いいことにも悪いことにも、便利な世の中だ!なんて、感心している場合じゃない。
偶然出会ったクライアントの令嬢。冷静にゲームを組み立てている割には、ここぞと言うところで、いまいち抜けている。ホーラやっぱり!と、読者に思わせてしまうところが軽く読めておもしろい。
著者:小澤征良
出版:集英社
初版:2002.11.20.
紹介:ボストン交響楽団を小澤征爾が去って1年。父とともに過ごした幼い頃のタングルウッドの日々。みどりあふれる森と演奏。一家取りまく人々。
コメント:読んでいるとうらやましくなる。こんな経験が出来るなんて幸せな人だ・・・
娘が見た父の素顔も、ちょっとフツーのお父さんでステキだった。
読んでいてちょっと幸せをお裾分けしてもらった気分になりました。
著者:東野圭吾
出版:講談社
初版:2002.07.18.
紹介:遺伝・・・生まれながらにして、長くは生きられない運命
息子「時生」との出会いは・・・?
コメント:ちょっと「秘密」にも似た香が・・
時を超えて、若い頃の自分に自分の息子が会いにやってくるというのは、ちょっと切ない。
著者:横山秀夫
出版:講談社
初版:2002.09.05.
紹介:急性骨髄性白血病で一人息子を亡くし、アルツハイマーの妻に殺してくれと頼まれ不憫に思い絞め殺した・・・・現役警察官で警察学校の教官「梶」が自首してきた。
妻を殺してから、自首するまでの「空白の2日間」決して語ろうとしないその2日間に何があったのか?自死を思いとどまった理由は?「人生50年」その意味は?
穏やかな表情の下に秘められた想いは・・・
コメント:「梶」を取りまく様々な立場の人の人生と思いが交錯する。泣けるという前評判だったが、最後にぐっと来ました。
文壇では色々と取りざたされた作品だったけど、それはそれで、おもしろかった。
著者:乙一
出版:角川書店
初版:2002.07.01.
紹介:暗黒系:拾った手帳の中身は「猟奇殺人」の詳しい記録だった
リストカット事件:手首を切り落として収集する・・・僕が欲しいと思った手は。
犬:動物の首筋を上顎と下顎の間にはさんだ。口の中で相手の首の骨が折れる・・・
記憶:首に縄を巻き付けるとよく眠れる。しまい込んだ幼い頃の記憶。双子の姉妹。
土:趣味は庭づくり・・・穴を掘る目的は?落とした茶色の手帳の正体は?
声:殺された姉の、生前の声が録音されたテープが届けられた。
コメント:「人間には殺す人間と、殺される人間がいる」ウーム、そういわれてもなぁ。
著者:乙一
出版:幻冬舎文庫
初版:2002.04.25.
紹介:視力をなくし、一人静かにくらすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった───。(裏表紙より引用)
コメント:周囲との人間関係をうまく築くことが苦手な二人。たとえ視覚障害がなかったとしても、自分の世界を閉ざして、引きこもってしまう人はミチルと同じような気持ちなんだろうな・・
ミチルの感じている世界と、アキヒロの世界、二つの方向から書かれているのだが、二人の心理交錯に目が行って、外枠の「殺人事件」のことを、うっかり忘れてしまうところだった。でも考えてみれば、犯人は想像できるな。
乙一さんは初めてだったけど、別の作品も読んでみたい。