薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

著者:江國香織
出版:集英社
初版:2000.04.30.
紹介:陶子・草子・エミ子・道子・れいこ・あや・桜子・えり・まりえ・・9人の女の恋愛事情。恋と愛と結婚と、その後延々と続く日常生活の中で様々な思いが交錯する。主に30代の女たち・・・。
コメント:檸檬の木は、誰のお庭だったの?なんだか読み落としちゃったのかな?
9人の女性がでてくるの。30代の女性の気持ちって、わかるんだけど、何となくすっきりしないって言うか・・・だから、何が言いたいんだ?と言う感じなのよね。私もうおばさんになっちゃったのかしら?
これを読んだ、30代の女性は、すごーく共感するところがあるのかなぁ。誰か解説してー!

壬生義士伝

著者:浅田次郎
出版:文藝春秋
初版:2000.04.30.
紹介:幕末から明治への大きなうねりの中で、生まれ育った、新撰組の巨大な闇が次第に明らかにされていく。
50年という年月を振り返りながら、吉村貫一郎と言う、1人の男を巡る様々な人の記憶。浮き彫りにされていく彼の姿と、あの時代。
歴史の中で彼らの存在は、果たしたどんな意味があったのだろうか。
コメント:下巻「斉藤一」に泣けました。
これは単なる新撰組の話ではなくて、
男が本当に大切にしようと思っていたものがなんなのか・・・
その吉村貫一郎の後ろ姿に、浅田次郎のロマンが感じられる。

切っても切れない わがババ介護

著者:門野晴子
出版:海竜社
初版:1999.01.12.
紹介:老母と会話ができる喜びを噛みしめるときがある。
七年も介護のようなものをやってこれたのは、
彼女の耳が遠くてトンチンカンな時もあるにせよ、
会話が成り立っているおかげだろうと思う。
母は母なりに、要介護暮らしに腐らない努力をしている。
その精神力に脱帽する私でもある。(ト書きより引用)
コメント:門野さんの講演を聞いたことがある。
その時は青少年の性や教育問題がテーマであったが、
「度肝」を抜かれた記憶がある。
その人が、実の母の介護に携わり、これからは老人問題について考えて行きたいと話されていたが、その先がNHKの朝の連ドラ「天うらら」であり、最近の一連の著作である。奇しくも、同じ練馬区に住み、老いていく両親と一緒に暮らしていると、いろいろと気になってくる福祉。
友人の中にも同じような家族を抱えたり、或いは、ヘルパーのしごとをする人もいる。いよいよ、私にも近づいてくるのだ・・・。

風の交響楽

著者:光原百合
出版:女子パウロ会
初版:1996.03.15.
紹介:読んでいるとちょっと幸せになれる、そしてちょっと悲しい小さなお話が17編。ホラ、かたくなに閉ざされたあなたの心にも小さな灯火がともる。
籐城清治の影絵が、メルヘンの世界によく合っている。
コメント:短編の童話集です。
小さな石の気持ち・何も出来ない魔法使いの話・自分を守るために全身をトゲだらけにしてしまった花木。海を夢見た樫の木・ベットの裏側の国で生きてゆくもの・散らない桜の木・大切な物を入れる袋・よけいな飾り物をサッパリ落としてくれる石鹸・飲むと願いが叶う泉の水、しかしそこには風の声。etc・・・

ライ麦畑でつかまえて

著者:J.D.サリンジャー
出版:白水Uブックス
初版:1984.05.20.
紹介:「子供の夢・純粋さ」と「大人の現実と欺瞞に満ちた世界」。このあいだで精神の葛藤をする17歳のホールデン。
大人へ反発し、友人を批判し、一方で他人を求め自分の存在を確認するために「電話」をかけつづける。追いつめられて、逃げ出して、救いの手を伸ばしたところが年の離れた妹だった。
「兄さんは世の中に起こることが何もかもいやなんでしょ。」
ライ麦畑でつかまえて欲しいと願っていたのは、他ならぬホールデンだったのだ。
彼を救い出したのは・・・
コメント:前半は訳が今ひとつしっくりこなかったのだが、後半になって主人公のほとんど独白に近い内容に、引き込まれていく。50年前に書かれた作品としては、なかなかおもしろい。
「大人への反逆」の一方で次第に崩れていく精神。宗教や国の違いを問わない普遍的な内容と言うが、今の自由奔放に生きている子供達には、このような葛藤があるのだろうか?どんな感想を持つのかそれも興味があります。

アナン 上・下

著者:飯田穣治  梓河人
出版:角川書店
初版:2000.01.31.
紹介:自殺を考えているホームレスの流は、寒いある日、裸の赤ん坊を拾う。
その赤ん坊のお尻に貼りついていた新聞紙の記事から「アナン」と名前をつけ、ホームレス仲間と育てる事に。その赤ん坊は、実は他人の悲しみを聞いて、それを解き放つという不思議な力を持っていた・・・その力をいつしか、芸術に高めていくアナン。
彼とその育ての父がたどる運命はどこに繋がっていくのか?
コメント:先が気になってどんどん読んでしまいました。アナンの魅力はすごいですね。ラストはどうなるんだろうって、すごく気になったけど、なるほどと納得のいく結末でした。

アンネの日記 完全版

著者:アンネ・フランク 訳:深町眞理子
出版:文藝春秋
初版:1994.04.15.
紹介:あまりに有名な「アンネの日記」ですが、実は初挑戦です。
1942-1944、オランダに住む13~15歳のアンネの日記につづられた、ユダヤ人一家の「隠れ家」生活。
第2次世界大戦、ナチスドイツによる迫害の中で、嫌悪・好き嫌い・怒り・思いやり・優しさが語られる。月日を追うごとに変化し、成長していくアンネ自身。恋愛・性・そして自分の将来への希望がつづられる。
コメント:最初は、鼻持ちならない女の子のたわ語と、半分辟易としていたのですが、次第に戦争に巻き込まれてゆくユダヤ人の生活と、それとは別に少女が変貌していく課程に、目を見張る。
くしくも同じ年の娘を持ち、受験を目前にさまざまな悩みを抱えているであろうと思うのだが、いつの時代にも共通する悩みと、それとは別にこの平和な時代に生きる喜びを密かに感じてしまう。娘には、ぜひ最後まで読んで欲しいと思う。

つめたいよるに

著者:江國香織
出版:理論社
初版:1991.07.00.
紹介:現実と幻想の境界を静かに流れる時間。美しくも怖い9つの童話。
・デューク:可愛がっていた犬が死んだ。悲しむ私の前にハンサムな少年が・・・
・夏の少し前:課題で残された土曜の午後。洋子は教室で涼ちゃんのことを思い出した。・僕はジャングルに住みたい:小学校の卒業。みんながまわすサイン帳に・・・。
・桃子:親とはぐれた幼い桃子。そばで面倒を見ていた修行僧は恋に落ちて・・
・草之丞の話:僕の母はひとりで僕を育てていた。そんな僕の前に姿を見せた父は、幽霊だった。
・鬼ばばぁ:広場のこども達をのぞく養老院の窓にはトキの姿があった。トキと時夫の交流。
・夜の子どもたち:昼間こども達が遊んだあとの公園で、遊んでいるのは?
・いつか、ずっと昔:れいこと浩一。れいこがれいこじゃなかったとき、その昔の恋人は?
・スイートラバーズ:麻子が生まれる前日に、おばあちゃんは亡くなった。おばあちゃんの若い頃にそっくりになった麻子には・・・ずっとおばあちゃんが憑いていたのだ。
コメント:ちょっと怖いけど、でも幸せな気分になる。大人のためのおとぎ話みたい。

海風

著者:近藤啓太郎
出版:家の光協会
初版:1980.10.03.
紹介:海辺の町に暮らす、高校3年生の仲間たち。友達・恋愛・将来のこと、悩み多き時代をどうやってくぐり抜けるか。頭で考えるより、まずは体で感じることの大切さを伝える。
コメント:昭和55年に出版されたものですが、20年前にしても、ちょっと会話が古い感じ。作者の年代が高いのかな?その点をのぞけば、なかなか面白い本です。青春とか、青年期・・もしかしたら回顧録的?ぅまの子供達に読ませたら、なんて言うかな?ちょっと興味深い。

こうばしい日々

著者:江國香織
出版:新潮文庫
初版:1995.06.01.
紹介:ウィルミントンの町に秋がきて、僕は11歳になった。映画も野球も好きだけど、一番気になるのはガールフレンドのジルのことなんだ・・・・・・。アメリカ育ちの大介の日常を鮮やかに綴った表題作「こうばしい日々」。
結婚した姉のかつてのボーイフレンドに恋するみのりの、甘く切ない恋物語「綿菓子」。大人がなくした純粋な心を教えてくれる、素敵なボーイズ&ガールズを描く中編二編。(裏表紙より引用)
コメント:ちょっと軽めで読みやすい本なので、2時間ちょっとで読んでしまいました。
私的には好きな本ですね。時間が出来たらむすめ達にも読んで欲しいと思える一冊でした。思春期の入り口に立った子供の様子がなかな ゥいい感じです。「こうばしい日々」の方は、日本とアメリカの感じ方・違いの対比なんかもあって面白いです。