DIVE !! 1─前宙返り3回半抱え型

著者:森絵都
出版:講談社
初版:2000.04.20.
紹介:わずか1.4秒の空中演技
高さ10メートルの飛び込み台から、
時速60キロでDIVE!!
つぶれかけたダイビングクラブに通う中学生。そこに1人のコーチがやってきた。オリンピック選手を出すことでクラブの存続を架ける。秋田の海から来た自然児のライバル。
ダイビングのために、色んなことを犠牲にしてきた。友達との遊びも、恋も・・・・
オリンピックの強化選手を目指して、3回半をまわる・・・。
コメント:いやぁ・・・一気に読んでしまいました。中学生にはお薦めの一冊ですね。
時まさにオリンピック!早く続きを読みたいものです。

「もうひとつの恋」

著者:俵万智+浅井愼平
出版:角川書店
初版:1989.05.30.
紹介:浅井愼平の写真に俵万智の短歌。
恋の歌を中心に、「とれたての短歌」
歌の広がりと写真の広がりとが、1人の読者の中でどう響きあっていくのか、それがこの本の楽しみ。あなたの「もうひとつの恋」がみつかるかしら?
コメント:写真は短歌そのものの説明ではなくて、それぞれ独立した作品。なのにその微妙な調和。20代の私だったら、間違いなくこの世界にはまってしまうだろう。

サラダ記念日

著者:俵万智
出版:河出書房新社
初版:1987.05.08.
紹介:出会いは偶然だった。が、今私が歌をつくり続けていると言うことは、偶然ではない。表現手段として、私は歌を選んでいる。惚れてしまったのだ、三十一文字に。1300年間受けつがれてきた、五七五七七という魔法の杖。定型のリズムを得た言葉達は、生き生きと泳ぎだし、不思議な光を放つ。その瞬間が、好きなのだ。短いと言うことは、表現にとってマイナスだろうか?そうは思わない。自分の中の無駄なごちゃごちゃを切り捨て、表現のぜい肉をそぎ落としていく。そして最後に残った何かを、定型という網で捕まえるのだ。
(あとがきより引用)
コメント:実は「サラダ記念日」は、発表された当時、あまりにも話題になりすぎて、ちゃんと読んでなかったのでした。
何かねぇ・・・「これって短歌なの?私でも書けるじゃない!」って言う感じがしたし・・。なんか軽くってね。
でも、今あらためて手にしてみると、現代口語で書かれた彼女の歌は、そのままストレートに心に響いてくるのね。あらためて読んでみて良かったなと思います。
 

短歌の旅

著者:俵万智  装丁:安野光雅
出版:文藝春秋
初版:1992.06.30.
紹介:「オーストラリア紀行」「宮沢賢治の世界」「『五足の靴』を訪ねて」「万葉のふるさとへ」「あめりか紀行」「橘曙覧との出会い」「秋篠寺を訪ねて」「佐佐木信綱のふるさとへ」「デンマーク紀行」「釧路湿原への旅」
短歌がらみの旅でつづるエッセイ。彼女の作品とはまた違う感じで、短歌への思いや、考え方が伝わってくる。俵万智の「サラダ記念日」が好きじゃない人にもお薦めの一冊。
コメント:この中で、何気ない風景の一部として過ぎ去っていっただろうものを、「短歌」を作ろうと思うことによって、しっかりと見つめ、さらには心を見つめさせてくれるというのが、短歌の大きな魅力だといっています。フーム、確かにその通りだとうなずいてしまう。
ちょっと他の人の短歌の本も読んでみようかなぁ・・・ちょっと気が多すぎるかな?

チョコレート革命

著者:俵万智
出版:河出書房新社
初版:1997.05.01.
紹介:あとがきより抜粋
「男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす」
恋には、大人の返事など、いらない。君に向かってひるがえした、甘く苦い反旗。チョコレート革命とは、そんな気分をとらえた言葉だった。
大人の言葉には、摩擦を避けるための知恵や、自分を守るための方便や、相手を傷つけないためのあいまいさが、たっぷりと含まれている。そういった言葉は、生きてゆくために必要なこともあるけど、恋愛のなかでは、使いたくない種類のものだ。そしてまた、短歌を作るときにも。言葉が大人の顔を始めたら、チョコレート革命を起こさなくては、と思う。
コメント:「サラダ記念日」の10年後の歌集ということでした。小説は、私小説をのぞけば作者の生活や心情そのものがそのままさらけだされることは少ないと思うのだけれども、短歌って、比較的心情が良くでてくるような気がしました。もちろん事実そのもの生活そのものを歌ったわけではないのだけど・・・
あとがきの一部に
《つまりそういうことで、確かに「ほんとう」と言えるのは、私の心が感じたという部分に限られる。その「ほんとう」を伝えるための「うそ」は、とことんつく。短歌は、事実(できごと)を記す日記ではなく、真実(こころ)を届ける手紙で、ありたい。》
とあるのですが、思わず納得してしまった次第です。

三十一文字のパレット

著者:俵万智
出版:中央公論社
初版:1995.03.25.
紹介:テーマに添った現代短歌などをピックアップして,万智さんの解説や、感じたことなどが書いてあって、初心者マークの私にも、とても分かりやすいです。
「あとがき」より抜粋
《一首の短歌から得られるものというのは、読む側の心の状態や環境などによって、変化する。まして違う人間が読めば、受け取るものは様々だろう。本書の文章は、あくまで私が、それぞれの作品から受けた感動を言葉にしたもの。その文章を楽しんでいただけたら嬉しいなと思うと同時に、私なんかそっちのけで、掲出の短歌作品そのものに向き合う時間を作っていただけたら、とも思う。
 本書が読者のかたにとって、現代短歌へのひとつの窓となってくれたら、幸せです。》
コメント:最近の私が「短歌」と聞いて、最初に思いついたのも俵万智さんでした。若い人や、初心者の人にとっては、取っつきやすいというか、入りやすいのかもしれない。なぜなら、本格的な短歌は、言葉の使い方ひとつにしても、誰かがそばで解説してくれないと、ほんとうに伝えたいことが伝わってこないものが多いような気がする。でも彼女のは、言葉が平易だから、比較的すんなりと心に届くような気がする。
私には短歌の下地がないせいかもしれないけど、「三十一文字のパレット」で、彼女が紹介して説明してくれた歌を見ても、やはり私がひとりで読んだのでは、分からないことがたくさん隠れていました。
こうして紹介されることで、他の歌人の歌に接することができるのも、やっぱり出会いのひとつなのだと思います。

東京のうまいもの

著者:池波正太郎
出版:平凡社
初版:1996.06.19.
紹介:「散歩のときなにか食べたくなって」というエッセイが刊行されたのが1977年。彼の食に関するエッセイは、「味」の紹介が一人歩きせずに、そこに必ず著者自身や友人、店主などの人生が重ね合わされている。ある時は懐かしさを込め、またある時は当主の心意気や店の人たちの行き届いた客扱いに賛嘆の念を惜しまずに書かれたエッセイは暖かさにあふれている。それから20年後、そのエッセイをもとに、変化の大きかった東京の店を再訪したものだ。「懐かしい味、細やかな人情」は健在だった。
コメント:ずーっと前に、池波正太郎の食べ物が出てくる本は面白いよ。といわれて、気になっていたのですが、「東京のうまいもの」は著者のお気に入りの、昔ながらのお店が写真入りで紹介されています。
私も聞いたことのある有名な店、知らない店もあるけれど、神田・浅草・銀座・渋谷。20年以上昔の若かりしころの東京をちょっと懐かしく思い出してしまいます。ああ、「あげ饅頭」がたべたいなぁとか、「たいめいけん」の小皿料理を食べたいなぁ・・・。

江戸古地図散歩

著者:池波正太郎
出版:平凡社
初版:1994.01.24.
紹介:「回想の下町・山手懐旧」
広重の浮世絵に描かれ、音曲にうたわれた江戸の美しさを求めて、古地図を手にして現代の東京を歩むとき、思いがけぬ場所に江戸を垣間見ることができる。
かすかに、まだ、「江戸」が残っているのだ。(表紙より引用)
コメント:「江戸古地図散歩」は、江戸時代の地図と、現代の地図を対比させて、現代に江戸の風景を探すという内容です。
やはり、彼に縁のある「浅草・深川・佃島・日本橋・上野寛永寺・皇居周辺」私自身が初詣に行った町、通った学校がある町、社会人になって勤めた界隈。何処もここも、歩いた記憶のある街並み。
江戸と今を繋ぐエッセイを読んでいると、池波正太郎の書いた本が読みたくなってきた。

未明の家

著者:篠田真由美
出版:講談社
初版:1994.09.05.
紹介:「黒死館」、雷鳴と月、ゴヤ、───探偵小説好きの心をくすぐるジグソウの断片が謎の中空を舞い、1つの魅惑的な絵を表現する。(北村薫)
“閉ざされたパティオ”を持つ黎明荘の主・遊馬歴の不可解な死───そして一族を襲う連続殺人の意外な真相とは!?(表紙裏より引用)
コメント:作者曰く、素敵な「お館」が登場するミステリィだ。そして、美形の探偵桜井京介。推理小説のおもしろさもなかなかです。
ところで今気になるのは「蒼くん」(あおくん)。16才の彼のことがとっても気になってたまらない!ということで、次の作品も読んでみよう!「玄い女神」「翡翠の城」「灰色の砦」「原罪の庭」と続くらしい。
おまけ:表紙の裏を読んでいて気が付いた。「黎明荘」が「黎明壮」になってる。これって間違いですよね。本文p38にちゃんと「黎明荘」って書いてあるもの・・・まあ、6年前だから、その後訂正されたとは思うけど(笑)。

からくりからくさ

著者:梨木香歩
出版:新潮社
初版:1999.05.20.
紹介:大好きだった祖母の家で、下宿生活を始めた蓉子。4人の娘たちはその古い家を庭を慈しむようにして、それぞれの道を歩む。
庭に様々な植物を育て、慈しむ。まるでページの中から深い草いきれが漂ってくるようだ。草木染め・紬織り・布・キリム・つた・へび・・・・・
むすめ達が織りなす布。正体を亡くした「りかさん」とそっくりな人形。
「竜女の面」は、はたして存在したのか。
コメント:「りかさん」の続編とも言える作品です。
本の中はまるでおばあさんの庭。家はまるで別世界に迷い込んだようでもある。植物を育て、草を食べ、糸を染める。そしてその一本一本の糸が織りなす布。
「りかさん」を作った澄月。双子の人形の存在。澄月が作った能面・・・
3人のむすめ達の遠い先祖が何処かで絡み合っている。その謎をひもといたその先に待っているのは・・・
うーむ、もう一度別の視点に立って読み直したら、また違ったものが見えてくるかもしれない。