月の砂漠をさばさばと

著者:北村薫  絵:おーなり由子
出版:新潮社
初版:1999.08.25.
紹介:「さきちゃんのお母さんは、お話を作る人です。」
こうして始まるこの本は、さきとお母さんのほのぼのとしたふたりの世界です。
親子ではあるけど、じつは友達のようなつながり・・・
喜びや悲しみ、新しい発見、そして北村薫の暖かい世界が広がります。
コメント:この中で私が気に入ったのは「聞きまちがい」「連絡帳」ですね。
「聞きまちがい」はいかにも北村薫っぽい(笑)
「連絡帳」は、文句なしに憧れの世界です。
子供とこういう風につきあえたらいいなぁ・・・と思う本でした。
この本は、小5の娘も読んで「クフクフ」笑っていました。不思議な感じがするんだって。
おーなり由子さんの絵もほのぼのとやさしくてステキです。

さかさま

著者:安野光雅
出版:福音館書店
初版:1984.08.10.
紹介:安野光雅の描くトランプの国「さかさま」の世界。
どっちが本物で、どっちが偽物なのか?
さあ、王様たちが話し合い・・・・
よくよくみると、ほらだまし絵もアチコチに・・・・
コメント:安野光雅は私の好きな作家です。
緻密な絵とユーモア。どこに何が隠されているのか?
これの日本語版は、4才から小学校初級向き。でも、大人がみても楽しいですよ。

Upside-Downerz

著者:Mitsumasa Anno
出版:WEATHERHILL
初版:1971.00.00.
紹介:「さかさま」の英語バージョン。
こちらは、日本語の直訳ではなく、英語の言葉遊びも展開しています。
コメント:そう、大人には、こちらもおすすめかな?
本を逆さまにして読む趣向です。

王妃の離婚

著者:佐藤賢一
出版:集英社
初版:1999.02.28.
紹介:かつてパリ大学を暴君ルイ11世によって追われた田舎弁護士フランソワ。
そんなフランソワに弁護を依頼してきたのは、暴君の娘・ルイ12世の王妃ジャンヌだった。暴君への恨み・その娘の不幸を嘲笑する事はフランソワの望みだったはずだ・・・
果たして王妃の離婚は?フランソワの恋と青春は?
単なる離婚裁判かと思いきや・・・思いもかけない展開と結末です。
コメント:私的には、結構好きです。◎ですね。
この本、確かなにかの賞を取りましたよね、ウーン納得!

柔らかな頬

著者:桐野夏生
出版:講談社
初版:1999.04.15.
紹介:ある朝、別荘地で散歩に出た、5才の少女の行方がわからなくなった。
付近を捜索しても、遺体も目撃証言も出ない。
娘を見失った母親の苦悩と生きる目的・・・自ら捨てた親と故郷、自分が生きていく場所。求めても求めても、探しているものがわからなくなっていく。
彼女が望んでいたものは、いったい何だったのだろう?
コメント:桐野夏生の本を読むのは2冊目です。単に、ミステリィとはいえない作品です。
巻末に紹介されている参考文献
『「イエスの方舟」論』芹沢俊介 筑摩書房
『隠されていた聖書──なるまえにあったもの』千石剛賢 太田出版
を考えれば、何となく作者が書きたかったことがわかるような気がするのですが、今の私には相容れない作品だったな。

竜の柩 下

著者:高橋克彦
出版:祥伝社
初版:1989.04.10.
紹介:津軽での土地買収事件を発端に、九鬼は巨大な謀略に巻き込まれた。彼らローマ・ヴァチカン勢力は、なぜ伝説の”竜の存在と意味”を追求する九鬼を狙うのか?竜と彼らの関係は?新たな謎を追って九鬼は一路、インド、パキスタン、イラク、トルコの調査行に旅立った。だが、仲間は次々と敵の凶弾に倒れ、九鬼は最後の調査地・トルコのアララト山へ。目指すは山頂に眠る伝説のノアの方舟。これこそ文明史を根底から覆す”竜の柩”か・・・・・。
コメント:舞台は日本から海外へ。地理と歴史が苦手な私は地図を片手に読書の旅をすすめました。今まで知らなかった歴史の裏側。竜がロケットであるという仮説・・・・
なんだか本当にそんな気がしてきました。アクション系SFっぽくて、面白かったです。「新・竜の柩」という本もあるのですが、続編かな?ウーン、気になります。

竜の柩 上

著者:高橋克彦
出版:祥伝社
初版:1989.04.10.
紹介:二束三文の津軽の山が密かに買収されたことをしたTVディレクター九鬼虹人は、周辺取材するうちに、なぜか買収地がすべて竜に因んだ神社や遺跡の地に限られることに気づいた。”いったい竜とはなにか?想像上の竜が世界各地に伝説として残り、西洋では悪魔、東洋では聖なる存在なのはなぜか?”それが恐るべき事件の発端となった。土地買収と竜の関連を追う九鬼を執拗に狙う男達。そして姿を見せ始めたヴァチカンの存在・・・・・。
コメント:日本の古代史・神話をベースに、竜と遺跡の謎に迫る。
辰年の記念すべきミレニアム読書にふさわしい一冊でした。
上巻は、けっこう読むのに時間がかかりました。多分、日本の神様の名前が読みにくかったのだ・・・

まどろみ消去

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:1997.07.05.
紹介:大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。ビルの屋上に案内された
参加者達は、離れた建物の屋上で、30人のインディアンが踊っているのを目撃する。現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。屋上への出入り口には見張りがたてられていたというのに!参加者達はこの謎を解くことができるか!?(「誰もいなくなった」)
著者初の、そして森ミステリィのエッセンスがすべて詰まった全編書き下ろし短編集。
コメント:この本、スキーの旅のお供でした。
今までの森作品とはひと味違った短編集。
この中で私が好きだったのは、「やさしい恋人へ 僕から」「悩める刑事」の2つですね。特に「やさしい恋人へ 僕から」は、やられてしまいました。

いつか会える

著者:菊田まりこ
出版:学習研究社
初版:1998.12.08.
紹介:ぼくにはだいすきで、大切な人がいる。・・・ジロ・・・
あるとき急にあえなくなった、大好きなみきちゃん。
どこをさがしてもあえない・・・・。でも、わかったよ。
目をつむって、みきちゃんのことを考えるとね。
いつでも会えるんだ。
コメント:犬のジロくんとみきちゃん
会えないけど 会える。
ちょっとさびしいでも心やさしいジロのお話。

蔵 上・下

著者:宮尾登美子
出版:毎日新聞社
初版:1993.09.20.
紹介:新潟の蔵元の家に生まれた一人娘”烈”は美しく利発な娘だった。しかし成長するに連れて彼女の視力は落ちていった。列を残していった体の弱い母。烈を助ける叔母と後妻”せき”。
跡取りの弟が事故でなくなり、気力を失った蔵元・意蔵は酒蔵をしめることを決心する。活気のなくなった家で、烈はとうとう光を失ってしまう。家の将来、自分の将来、烈は酒蔵を継ぐことを決心する。
コメント:裕福な家に生まれた烈だったが、次々と不幸に見舞われる。しかしどこか幸せな人々に守られて、すくすくと育っていく。不幸な話なのに心底いじわるな人がいないのが救いです。NHKの朝の連続ドラマを最初から最後まで一気に見てしまったような気分でした。