著者:フェイ・ケラーマン
出版:創元推理文庫
初版:1993.04.23.
紹介:夏の闇をついて一件のレイプ事件が発生した。現場は、地元民が殆ど足を踏み入れることのないユダヤ人コミュニティ。
厳格な戒律に従って敬虔な毎日を送っていたはずの彼らが、なぜこのような事件を引き起こしたのか?
立ちはだかる宗教の壁を前に、未成年犯罪担当のデッカーは困難な捜査を強いられるが・・・・。
マカヴィティ賞最優秀処女長編賞に輝く、スリリングなデビュー作。(裏表紙より引用)
コメント:最初、ユダヤの・・・・とあったので、ちょっと二の足を踏んだのですが、ユダヤの人の生活や信仰。それと彼らが受けている迫害を、わかりやすく描きながら、事件が進んでいくのね。事件の解決や、ラブストーリーも面白かったけど、私にとっては未知の世界だった「ユダヤの生活風習」が一番興味深かった。
カタカナは苦手!と思っていたけど、これは全然そんなことはなかったです。
著者:ジェイムズ・P・ホーガン
出版:創元推理文庫
初版:1981.07.31.
紹介:木星最大の衛星ガニメデで発見された2500万年前の宇宙船。その正体を突き止めるべく総力をあげて調査中の木星探査隊に向かって、宇宙の一角から未確認物体が急速に接近してきた。
隊員たちが緊張して見守るうち、ほんの5マイル先まで近づいたそれは、小型の飛行体をくり出して探査隊の宇宙船とドッキング。やがて中から姿を現したのは、2500万年前に出発し、相対論的時差のため現代のガニメデに戻ってきたガニメアンたちだった。
前作「星を継ぐもの」の続編として数々の謎が明快に解明される。(扉より引用)
コメント:争い、競争、という意識を持たないガニメアン。彼らと地球人との過去の接触はいかなるものだったのか?
殺伐とした話が多い中で、ちょっと物足りないくらいに、心の優しい人類・ガニメアンに心ひかれます。
自分が地球人であることがちょっと恥ずかしい感じになってきた。(笑)続きの「巨人たちの星」も予約中です。
著者:浅田次郎
出版:朝日新聞社
初版:1998.12.01.
紹介:羽振りのよい不動産屋の社長から一気に破産者となった主人公が家庭も失い、希望もなくしていた。幼い頃の貧乏暮らし、社会の中で成功者となっている兄姉。生活の面倒を見てくれる気のいいホステス「マリ」。そんなある日、母親の心臓が危なくなった。母親を救うために、百マイル離れた遠くの病院に希望を託す・・・。自分のすべての力を持って。
夢のような病院と、そこの医師団。彼を支えてくれた「マリ」の愛情。そして、離ればなれになった家庭は?母は助かるのだろうか?
懐かしのPPMの「500マイル」のメロディが聞こえてきます。
コメント:いかにも浅田次郎さんぽい雰囲気ですね。
とってもいいお話で、桃源郷?のような病院。主人公を助けてくれる友達、心臓の内科医、別れた妻、ホステス「マリ」こんな幸せがつづくはずがないじゃないか・・・とちょっとひがんだりして。
でもね、ここに出てくる「マリ」さんて、男の人(浅田次郎?)にとっては、理想の都合のよい存在なんじゃないかなぁ・・・女の立場としては、ちょっと辛すぎるなぁと思ったのでした。
著者:乃南アサ
出版:読売新聞社
初版:1996.07.04.
紹介:非行・引きこもり・不登校・暴力・・・様々な問題を抱えた「こども(?)」たちと暮らす「はぐれ雲」。それぞれの問題を克服して自立していく子供達と、また次から次へと入ってくる子供達・・・。親子・母子・家庭が抱える問題も大きい。かなり色々考えさせられてしまいました。
現実に、こういう子供達がいて、そしてまだそこまで入っていないけど、その予備軍もたくさんいて・・・。ずっと明るいいい子だったのに・・・ある時から突然!って言われると、無性に不安になってきます。
それとは別に、こういう子供達を預かって自立に導くために。地道な活動をしている組織もあるのだと、真っ暗なトンネルの中で遠くに小さな出口を見つけたような気分でもあります。
子どもには読ませたくないけど、大人には読んで欲しい本です。
コメント:どちらかというとノンフィクションに近いですね。「救いようのない絶望感」ってこういう本のことを言うのかなぁ?乃南さんの本は何冊か読んだけど、こう言うのは初めてだったので、ちょっとビックリしました。
著者:森絵都
出版:講談社
初版:1998.07.10.
紹介:さくら・梨利・勝田くん3人の中学生が、いつの頃からか付き合わなくなった。なぜ?きっかけになった事件は?世紀末に向かって、自分の未来が信じられなくなって、悩んだり迷ったり自信をなくしたり・E・。
唯一ホッとできるのは智のそばだったが、いつしか智が壊れていくのに気付く。4人は、人類は救われるのか?月の舟はやってくるのか?
コメント:いろんなところに、様々なモチーフがちりばめられていて、色々と考えさせられた一冊です。「宇宙のみなしご」にもちょっと雰囲気が似てるよね。
著者:森博嗣
出版:講談社
初版:1997.10.05.
紹介:「諸君が、一度でも私の名を叫べば、どんな密室からでも抜け出してみせよう」───
自信たっぷりに満ちたせりふと共にあらゆる状況からの脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が、衆人環視の中で殺害された。さらに、彼はなんと遺体となってまで、最後にして最大の奇跡を行う!?
犀川・西之園師弟が明かす驚愕の真実!(裏表紙から引用)<
コメント:これもトリックは全然とけなかった。でも、謎解きや、事件の動機には無理がなくて、さすがぁ!と唸ってしまいました。久しぶりの森作品だったので、勘が鈍ったなぁ・・。
次は同時発生の「夏のレプリカ」を予約してこなくちゃ。
犀川先生と。萌絵ちゃんの関係も相変わらず非現実的で面白い。
著者:スティーブン・キング
出版:新潮文庫
初版:1997.03.01.
紹介:死刑囚舎房の夏は、インディアン系囚人の処刑でで始まった。
そのころ<グリーン・マイル>には不思議な鼠があらわれた。食べ物をやると神妙な態度で床にちょこんと座って食べ、糸巻きを相手にサーカスさながらの芸当をやる、驚くほど知性的な鼠だった。
6人の人間を生きながら焼き殺した囚人ドラクロアが、この鼠の飼い主となったのだが───
最悪の地獄が今、始まろうとしていた・・・・・・。(裏表紙より引用)
コメント:やっと、語り手の話がおぼろげに見えてきた。
凶悪な死刑囚たちと、看守、刑務所長、そして鼠<ミスタージングルズ>
この刑務所で起こった凶悪な事件とは?<ミスタージングルズ>は何をするのだろうか?
著者:村上春樹
出版:講談社文庫
初版:1983.09.15.
紹介:さよなら、3フリッパーのスペースシップ。さよなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との<僕>の日々。女の温もりに沈む<鼠>の渇き。やがて来るひとつの季節の終わり───
「風の歌を聴け」で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く3部作のうち、大いなる予感に満ちた待望の第2弾。(裏表紙より引用)
コメント:ウーン懐かしいあの時代がよみがえってくる・・・。
「あなたがピンボールマシーンから得るものは殆ど何もない。数値に置き換えられたプライドだけだ。失うものは実にいっぱいある。歴代大統領の銅像が全部建てられるくらいの銅貨と取り返すことの出来ない貴重な時間だ。」ピンボール研究書「ボーナスライト」の序文より。
だけどその失われた時間こそが、かけがえのない僕の青春に重なる。
たしかこの次に「羊をめぐる冒険」が来るのですよね。以前読んだときはいまいちだったけれどもう一回読んでみたらまた違う印象かもしれないな・・で、その次が「ダンスダンスダンス」ですね。
著者:スティーブン・キング
出版:新潮文庫
初版:1997.02.01.
紹介:時は1932年、舞台はアメリカ南部のコールド・マウンテン刑務所の死刑囚舎房。この刑務所で死刑囚が電気椅子にたどり着くまでにあるく通路は、床が緑のリノリウムであることから、通称<グリーン・マイル>と呼ばれている。
ここで起こった驚くべき出来事とは?そして電気椅子の真の恐ろしさとは?
毎月1冊ずつ全6巻の分冊で刊行され、全米を熱狂させた超ベストセラー待望の第1巻!(裏表紙より引用)
コメント:私、死刑囚の看守。双子の少女を強姦して殺害したジョン・コーフィ。コネで看守になったパーシー。刑務所に出没する鼠・・・
最初は訳の分からない導入部。ここに後々の事件に関わる様々な伏線が隠されているというのだが・・・。とりあえず、続きを読んでみないことには何も語れない。
著者:村上春樹
出版:講談社文庫
初版:1982.07.15.
紹介:1970年の夏、海辺の町に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。
二人それぞれの愛の屈託をさりげなく受け止めてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎ去っていく。
青春の1片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。(裏表紙より引用)
コメント:「でもね、よく考えてみろよ。条件はみんなと同じなんだ。故障した飛行機に乗り合わせたみたいにさ。もちろん運の強いのもいりゃ運の悪いものもいる。タフなのもいりゃ弱いのもいる、金持ちもいりゃ貧乏人もいる。だけどね、人並みはずれた強さを持ったやつなんて誰もいないんだ。みんな同じさ。なにかを持っているやつはいつか失くすんじゃないかとビクついているし、なにも持ってないやつは永遠になにも持てないんじゃないかと心配してる。みんな同じさ。だから早くそれに気付いた人間がほんの少しでも強くなろうって努力するべきなんだ。振りをするだけでもいい。そうだろ?強い人間なんてどこにも居やしない。強い振りをする人間だけが居るだけさ。」
ウーン、ここが、この本の中で一番心に残った部分ですね。
