ねむる保健室

著者:浩祥まきこ
出版:集英社・コバルト文庫
初版:1999.06.10.
紹介:日向なぎは、「人間ではないもの」の声が聞こえるちょっとワケありな女の子。なぎが転入した羽島中学には奇妙な事件が起こっていた。何でも旧校舎の保健室にはいった生徒が、ねむったまま目覚めなくなってしまったらしい。その不思議な体質のせいでかっていに「霊感少女」にされてしまったなぎは、旧校舎の謎を解明するために乗り出した!心やさしい妖怪たちが織りなす、ハートウォーミング”学校の怪談”!(表紙カバー扉より引用)
コメント:たまには、こんな軽い本もいいかな。コバルト文庫は少女の気分で読みます(笑)

ボクの町

著者:乃南アサ
出版:毎日新聞社
初版:1998.10.25.
紹介:警察官になるきっかけは彼女にふられたことだった。
社会の枠にはめられない、自分にピッタリ合った生き方を見つけるために自由に生きたかった。だけど・・・そんな生き方は彼女を遠のかせた。
「警察官にならないか?」ふと入った交番でいわれた一言。
もしかしたら、自分を必要としてくれているかもしれない場所。ちゃんとした警察官になれば、彼女もボクを見直してくれるかもしれない・・・。
しかし新人警察官の研修は、そんなに甘いものではなかった。交通事故・自殺・放火・はては酔っぱらい・寂しがり屋の相手まで・・・
現実の警察官は思い描いていたようなカッコイイものじゃなかったんだ・・・。
コメント:カッコよくない、きれい事じゃない、ぐずぐずと弱気な人間味あふれるホンネの新人警察官。聖大の悩んでいる姿がとても魅力的です。ちょっと応援したくなる。

リズム

著者:森絵都
出版:講談社
初版:1991.05.27.
紹介:中学1年、普通の公立中学に通うさゆきは、近所に住むいとこ・悪ガキで、高校にも行かずガソリンスタンドでバイトをしながら、歌を歌っている真ちゃんが大好きだった。
有名私立中に通う姉と、有名大学に通う真ちゃんのお兄さん。
中学で仲良しの女友達と、いじめられっこで幼なじみのテツ。
きのうと同じ明日がやってくる・・・そんな生活に満足していたさゆき。
だけど・・・いつまでも変わらずにいられないこともある。
───まわりのことがきになって
自分がメチャクチャになりそうなとき。
心の中でリズムをとるんだ。
まわりの音なんて関係ない
自分だけのリズムを───。
コメント:中学生の不安で揺れる心がさりげなく描かれた一編です。
娘たちも読みました。

ヴァンサンカンまでに

著者:乃南アサ
出版:幻冬舎文庫
初版:1998.01.25.(初出1991.11)
紹介:男なんかに左右されずに、自分の力で幸せになってみせる。密かに決意した翠は、自分の中の「女」を使い分け、上司との不倫も同期との恋愛もうまくやっていけるつもりだった。でも、何かが違う・・・・・翠は日増しに苛立ちをつのらせ、感情のバランスを欠いてゆく。心理サスペンスの第一人者が、都会をしたたかに行きぬこうとする女の姿を描いた長編小説。(裏表紙より引用)
コメント:恋愛ってなんだ?結婚てなんだ?幸せってなんだろう?
翠の思いどおりの生活。うまくいっているようで、実は綱渡り。よんでいるこっちのほうがはらはらする。こんなはずじゃなかったのに・・・。
そうよね。そんなにうまくいくことばかりじゃないわよね。

宇宙のみなしご

著者:森絵都
出版:講談社
初版:1994.11.10.
紹介:陽子とリンの姉弟。留守がちな両親の元で自立した生活を送る。不登校のきっかけはなんだったのだろう?
「屋根にのぼる」それはワクワクするふたりだけの遊びだった。
七瀬とキオスク。友達、いじめ、不登校それぞれ自分の力で越えることの出来ないハードルを越えるためには、時々手をつなぎあえる友達を見つけることが大切なんだね
コメント:読んでいるうちにワクワクしてきました。
なぜって、私も子供の頃屋根にのぼるのが好きな子供だったから・・・
あのころって、なかなか自分の思い通りに行かないことがいっぱいで、でも、これと言ってはっきりとした理由があるわけでもなく、見えない何かにつっぱって生きていたような気もする。
この本は説教臭くなくて、すんなり心に入ってくる本です。小5の娘が学校図書館で借りてきた本です。

著者:乃南アサ
出版:講談社
初版:1996.12.10.
紹介:「鍵」の続編です。
女子高生麻里子は、姉、兄屋友人などと過ごしているが、どうしても耳が聞こえないというハンディのなかで疎外感を感じている。
そんな麻里子の前に、殺人の疑いをかけられた青年が出現する。彼もまた耳が不自由だった。健常者にかたくななまでの拒否反応を見せる青年と麻里子。ふたりの間には、新しいコミュケイションが始まる。
そんななか、今度は別の事件が起こる。すべてを他人のせいにして生きる自己中心的な男と、麻里子たちの接点はどこにあったのか?
事件の思いがけない展開にハラハラ・ドキドキ!!
コメント:「遠回りした生き方は、いろんな景色が見える。」
「いろんな景色を見るためにはさ、窓を広げておかないとな。」
心の窓を閉ざして、自分の内側に閉じこもりきりにならずに、いつでも心の窓を広く開けておく・・・・麻里子の気持ちは、誰にとっても大切ですね。

著者:乃南アサ
出版:講談社文庫
初版:1996.12.15.
紹介:高校2年生の麻里子のカバンに、知らぬ間に一つの鍵が押し込められた───。近所で連続して起きる通り魔事件は、ついに殺人にまでエスカレート。父も母もいなくなった傷害を持つ女子高生と、その面倒を見なければいけなくなった兄や姉との心の通い合いをも見事に描いた、新直木賞作家の泣ける名作ミステリー。(裏表紙より引用)
コメント:耳が聞こえないという障害が、本人に与えるダメージ。そしてそのことによって周囲から受ける二重のダメージ!!
麻里子のひとりでやろうとする気持ちはわからなくもないけど、普通、健常者だってこんな冒険はしないだろうなぁ・・・。でもそれじゃ作品にならないか。
通り魔事件の犯人と、その背後にあるもの。主人公麻里子とどう関わってくるのかハラハラさせられる一冊でした。

詩的私的ジャック

著者:森博嗣
出版:講談社
初版:1997.01.05.
紹介:那古野市内の大学施設で女子大生が立て続けに殺害された。犯行現場はすべて密室。そのうえ、被害者の肌には意味不明の傷跡が残されていた。捜査線上に上がったのはN大工学部助教授、犀川創平が担任する学生だった。彼の作る曲の歌詞と事件が奇妙に類似していたのだ。犯人はなぜ傷跡を残し密室に異様に拘るのか?理系女子大生、西之園萌絵が、論理的試行で謎に迫る。(表紙カバーより引用)
コメント:だめだ~!推理がことごとくはずれた。
ものスゴーク不消化です。犯人もはずれたし、もちろんトリックも動機も・・・
くやしい!
まあ、萌絵ちゃんもわからなかったんだからしょうがないか。

天涯の花

著者:宮尾登美子
出版:集英社
初版:1998.01.20.
紹介:施設で育った孤児・珠子。、中学卒業と同時に彼女が選んだ道は、霊峰剣山を守る神社の養子であった。人里離れた山の中で年老いた父母と暮らすことになった珠子は初めて自分の家族を持つ。
自分の生い立ち・山での暮らし・遭難者久能との出会い。
珠子の心は揺れる。
コメント:NHKのTVドラマで「天涯の花」を放送していたのをきっかけにこの本を読みました。TVと本は基本的に違うものだと思うのですが、どちらも良い感じでした。どちらかというと、TVの方が情熱的な珠子でしたね。

学校崩壊

著者:河上亮一
出版:草思社
初版:1999.02.23.
紹介:学校の危機がようやく認識されるようになってきた。それは、金融の危機などよりはるかに深刻な問題なのになぜか語られることが少なかった。学校をとりまく現在の状況がこのまま続くとすれば、日本は確実に衰退の危機に見舞われるだろう。学力は低下し、外界にまったく無関心、他人との関係が作れない、授業中に私語しても悪いとも思わないような生徒が続々と登場しつつある。これは、三十年間現場の教師として生徒と格闘し、十年前から学校の危機に警告を発してきた著者が、今学校で起こっていることをつぶさに報告、なぜ現在のような状態に立ち入ってしまったかを示すとともに、再生への道を探った真に衝撃的な本である。(表紙カバーより引用)
コメント:「学校崩壊」実際に小中学生の子供がいるので、人ごとではなく読みました。「なるほど」と思う部分もあり、「どういうこと?」と思うような部分もありました。
どちらかというと教師という立場からの主張であり、マスコミへの「学校批判・教師批判」にたいする反応のようにも伺えます。
一時代前の校内暴力と、現在の学校崩壊の違いについては、現在の学校崩壊の原因として、家庭→ひいては、戦後社会とあげているように思えるですが、じゃあ、具体的に、「私はどうしたらいいのか?」という解決策が見つからないので、なんだか未消化です。