夏のロケット

著者:川端裕人
出版:文藝春秋
初版:1998.10.10.
紹介:マンションの一室での爆発事故。それはテロを目的とする小型ミサイルの爆発なのか?宇宙担当記者の高野は事件の写真の中からロケットの姿を見いだす。この事件のウラにあるものは何か・・・・それは高校時代の記憶を思い出させた。高野が追いかけたその先に彼を待ち受けていたものは・・・・
かつての宇宙少年たちの夢とロマンス。それぞれの思惑をのせてマーズ18号は宇宙へ飛び立った。
コメント:第15回サントリーミステリー対象優秀作品賞受賞作。
これってミステリーなの?どちらかというとSF?読後は明るい気持ちになれます。「単なるノーテンキな道楽者の記者」となった主人公の高野君は、いまいち自分が見えてないなーと笑えます。まあ人のことは笑えないけど。
個人的には序盤のロケット開発史や技術説明は、全体としてみれば下地として必要なんだけど、ちょっと読むペースが鈍りました。
それとただひとりの女の子「純子」の書き方には、存在感が感じられない。

リング

著者:鈴木光司
出版:角川ホラー
初版:1991.06.
紹介:同日の同時刻に苦悩と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。
そして今、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。しずかにビデオがはじまった・・・・。
恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。
コメント:ホラー小説初体験!なんとなく敬遠していたのですが、ついに読むことにしました。とぎれとぎれに読むよりも、一気に読んだ方が怖くないみたいです。
ストーリーとしては、思いがけないどんでん返しもあって、おもしろく読めました。
でも、やっぱりホラーは苦手みたい(笑)

ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー

著者:山田詠美
出版:角川書店
初版:1987.05.06.
紹介:ある時、街ですれ違った男の上着の中の匂いを嗅いで、私は昔の男を思いだして道の真ん中で泣きたくなる。ある時、バーで流れる黒人音楽は特定の男を思い出たせて私を泣かせる。嗅覚があってよかった。五感が正常でよかったと、神様に感謝するのはこんな時。そして、恋物語を泣かずに書ける自分の理性にも感謝する。【著者のあとがきより】
コメント:これも短編集。やっぱり山田詠美の感性はいいなあと思います。女を愛する男たちがとっても素敵に描かれている。彼女がそれだけ男たちを愛していたってことの裏付けなのかもしれない。もっとはやく山田詠美を読めばよかった。

もの食う人びと

著者:辺見庸
出版:共同通信社
初版:1994.06.08.
紹介:人々は今、どこで、何を、どんな顔をして食っているのか。あるいは、どれほど食えないのか。ひもじさをどうしのぎ、耐えているのだろうか。日々ものを食べるという当たり前を、果たして人はどう意識しているのか、いないのか。食べる営みをめぐり、世界にどんな変化が兆しているのか。うちつづく地域戦争は、食べるという行為をどう押しつぶしているか・・・・それらにふれるために、私はこれから長旅に出かけようと思う。
コメント:読み終えるのに1週間かかりました。ひとつひとつの話が重く心にかかってくるものが多く、次から次へと読み進むことができなかったのです。日々当たり前のように無感動に食事をする私にとっては、かなり衝撃的なことも多かったし、知らないこと、考えたこともないことも多く、色々と考えさせられました。
この本は「丸山リスト.2位」※「丸山リスト」は中1の娘の担任(国語科)の先生が98年に読んだ本のベスト10です。

好き!好き!大好き!!

著者:小林深雪
出版:講談社X文庫
初版:1992.03.05.
紹介:通学途中の電車で見つけた、自分の理想にぴったりの素敵な男のコ。幼なじみでケンカ友達のクラスメート。ふたりの間で心が揺れる主人公・優恵の前に、なんと「好き」って言ってくれる別の男の子まで現れて・・・!?
さあ恋のゆくえは、どうなるの?
涙と笑いがいっぱい!ときめきの1年間の恋の記録を、優恵ちゃんの日記形式でお届けします。あなたと同じように恋に悩む女の子のダイアリー。いっしょに覗いてみませんか?、
コメント:小林深雪さんの本は、乙女チックな少女小説。たまにはこんなほのかな恋心も可愛くていいなぁ・・・

思春期ざかりの天使たち

著者:日向章一郎
出版:集英社コバルト
初版:1992.10.10.
紹介:慎吾は中学2年生。野球部のエースだったが肩を壊し、当分活躍できそうにない。むしゃくしゃして多摩川べりをさまよううちに慎吾は同じくクラスの菜摘と出会い、つき合うようになった。そんなとき、二人の前に頼朝が現れた。川に潜って懸命に何かを探す頼朝は、去年の夏に起こった女子高校生の自殺事件に何か関係がありそうで・・・・!?
実は菜摘みも去年の夏に、奇妙な恋を体験していたのだ!?
コメント:これも再読。ラブ・コメ・ミステリー。
日向章一郎の本を読んでいると、その時は10代の頃に気持ちがタイムスリップしてしまいます。

ふたりのMAKOTO

著者:日向章一郎
出版:集英社コバルト
初版:1992.05.10.
紹介:喫茶店を経営する母の中1の妹・美雪との3人暮らしの日高真琴は、高1になったとたんに失恋。ショックでボーッとしていた時、マウンテンバイクの茅ヶ崎マコトにはねられてしまった。マコトは同級生、学校をさぼって日本一周し、1年ダブった変人。真琴は自分の母とマコトの父が昔恋人同士だったことを知って、二人が異母兄弟ではないかと悩む。おまけに美雪がマコトに恋しているらしい。
コメント:再読。日向章一郎の少女小説。
「放課後シリーズ」「星座シリーズ」も好きです。たまには重たい本の間に息抜きにGood。

4U

著者:山田詠美
出版:幻冬舎
初版:1997.08.15.
紹介:男と女の短編集。
「ベニテングダケ」を食べにいっているマル。白紙の遺書を残したふうちゃん。子どもを永遠にちっちゃな子どもだと思っているマミィ。マンションの隣に住む不倫相手。あつ子女王様!etc・・・
色々な人間の様々な思いが交錯する。
コメント:山田詠美の本3冊目。短編だから仕方がないけど、もうすこしょりさげたさくひんのほうがすきかな・・・

ざ・ちぇんじ!

著者:氷室冴子
出版:集英社
初版:1983.01.
紹介:時は平安、所は京、世は泰平の極み。家柄の良さを誇る権大納言も、深刻は悩みを抱いている。権さんには二人の妻がいて・・・・ま、それはいいとして、悩みとは二人の子どものことなのだ。女の子は頭脳明晰、明朗活発で男の子として育ち、綺羅君と呼ばれて都中の評判。一方男の子は、これはもうすぐ失神してしまうほど繊細な神経の持ち主。今日も「大変どすえ・・・!」と、侍女の声が屋敷中にひびき渡る。
女なのに男として帝に使えるという秘密に、綺羅は日ごとに悩んでいた。さらに弟までが女として宮中入りするとは・・・。しかも、女の身でありながら結婚してしまった綺羅だったが、できないはずの妻の三宮に赤ん坊ができてしまったなんて、バカな!相手はプレイボーイの宰相中将、浮気のつもりだったのだ。その中将に、今度は綺羅が迫られた。なんと男のはずの綺羅に・・・。バレたのでは!?
コメント:以前にもこの本は読んでいます。久しぶりに再読。
氷室冴子の「なんて素敵にジャパネスク」とともに、好きな本です。

ハーレム・ワールド

著者:山田詠美
出版:講談社
初版:1987.02.08.
紹介:黒人とのハーフ・サユリは色々な男と愛し合っている。
ベトナムの留学生ティエン・米軍の黒人兵スタン・シンイチ・クラウス・・・・
【作者のあとがきから】
これは一部の人達には好かれないだろうなと思った。特に男たちには。この女主人公は男たちには許し難い存在だと思う。でも、彼女を取りまく男たちはそれを許してしまう。男たちにそうさせる、彼女のもつものは何か・・・・
コメント:私は女だから、サユリは嫌いじゃないな。きっと彼女とつき合った男たちは、皆それぞれが本当にサユリを愛しているんだと思う。何よりもサユリが彼らを愛していたんだと思う。なんていうか・・・シンイチの気持ちが分かるような気がするな。