ゴットマザーと笑う死体

著者:宗田理
出版:光文社文庫
初版:1991.05.20.
紹介:「あなたの一生は楽しかった?」玉井葬儀社のタマ子社長は霊柩車に同乗し、棺に向かって話しかけた。遺体は知り合いのフジキ製薬創業者の未亡人。ところが、中から男性の声がして、背広姿の若者が現れたのだ。誰が遺体をすり替えたのか。おばあさんはどこに消えたのか。莫大な遺産を狙う企みに、ゴットマザーこと玉井タマ子と逞しい五人の子供が再び正義の挑戦!
コメント:宗田 理は「ぼくらの七日間戦争」など「ぼくらのシリーズ」が好きで子供と一緒になって読みました。この本はまあまあ面白いのですが、痛快さが今一つ。
多分最後がハッピーエンドになってしまうからでしょうね。

PEPSI MAN <インターネット小説>

著者:P.E.P 鴻上尚史
出版:ぶんか社
初版:1996.09.28.
紹介:まず監修者の鴻上氏によるプロローグと第1回目の3つのストーリー、私立探偵編・キャンパス編・サイバーパンク編をじっくり読んでください。
そこからどう進むかはあなたの自由。一番気に入った話の続きを選んでスタート!
もし選択肢がでてきたら、選ぶのはもちろんあなた!果たしてエンディングまでたどり着けるのか!?
なお、鴻上氏のお薦めのエンディングには、冷えたコーラを持ったペプシマンが待っているらしい!?はらはらドキドキのワード・クリエイティブゲーム『ペプシマン』をお楽しみ下さい。
コメント:はじめから読もうとするとこんがらがる。続きを予想しながら読むと面白い。
ひとつのテーマからこんなに色々なストーリーが展開するというのが楽しいです。
インターネット上でこんな試みがあったのですね。

スローモーション

著者:佐藤多佳子
出版:偕成社
初版:1993.04.
紹介:ニイちゃん、22歳 無職 元ワルのライダー
   たらしで、女にはとっても愛想がよくて・・・・
女子高1年のあたしのクラスメイト 及川周子
   薄い陶器のようこわれ物みたいな子 動作が超スロー
2人の物語に私は立ち会った────
心の内に深い傷を抱く若者たちの束の間の出会いと別離・・・・
コメント:ティーン向けの本。10代の子供の母として色々考えながら読みました。自分の家庭に、直接はあてはまらないけれど、いまの10代の子供たちはこうして家庭や周り
の影響を多く受け、自分一人では太刀打ちできない、しがらみの中で必死で自分を守って自分の心を閉ざして、一人でがんばっているのかな。
そして、心休まる誰かを捜しているのかもしれない。それが家庭じゃないのがちょっと哀しい。

はてしない物語

著者:ミヒャエル・エンデ
出版:岩波書店
初版:1982.06.07.
紹介:バスチアンは空想好きな、背の低い太った子供だった。彼は古本屋の店先で、一冊の本に出会う。その本は彼を引き留め、吸い寄せ、惹きつけてはなさないのだ。
それが「果てしない物語」。
自分を好きになれないバスチアンが物語の世界に入り込む、果たして彼は自分の世界に戻れるのか・・・・
コメント:ありのままの、あるがままの自分を受け入れ認め好きになること。
自分にとって大切な人を愛すること。バスチアンは大切なことを見つけてやっと帰ってきたのだ。
「モモ」の著者エンデの作品。「モモ」より読みやすいです。

夏への扉

著者:ロバート・A・ハインライン
出版:早川書房
初版:1979.05.31.
紹介:僕の飼っている猫のピートは、冬になると決まって夏への扉を探し始める。家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じていると信じているのだ。1970年12月3日、この僕もまた夏への扉を探していた。
最愛の恋人には裏切られ、仕事は取り上げられ、生命から2番目に大切な発明さえ騙し取られてしまった僕の心は、12月の空同様に凍てついていたのだ!そんなぼくらの心を冷凍睡眠保険がとらえたのだが・・・巨匠の傑作長編
コメント:私の読み方にもよるのでしょうが、前半はちょっと重苦しくて「夏への扉」がどこに開かれているのか見当もつきませんでした。
後半からは、ストーリーが一気に展開し、何とも言いようのない世界に引き込まれます。
まさに「夏への扉」がそこに存在していました。おもしろい!!

初恋ストリート

著者:藤村かおり
出版:金の星社
初版:1997.07.
紹介:ボーイッシュで下級生にモFモテの知沙と、小柄でフツーの女の子のひとみは同じ女子校に通う仲良しコンビ。クラスも部活もいっしょだけど、、話したいことが山ほどあって交換日記もしている。
ある日、千紗から戻ってきた交換日記に「好きな人、できました」と書いてあってひとみは大ショック!だんだんふたりのなかはしっくりいかなくなって・・・・。
これってもしや嫉妬なの?女の友情あやうし!!
コメント:青少年向け。娘と同世代なのでちょっと読んでみました。この年頃は女の子の友情と恋の間で悩むんですね。お話よりも現実の娘の方がよっぽど面白いなあ。

侯爵サド夫人

著者:藤本ひとみ
出版:文芸春秋社
初版:1998.03.20.
紹介:サド公爵の夫人ルネ。サド侯爵の度重なる乱交を怨むことなく、盲目的に侯爵を愛し続け、許しているのはなぜなのか?
ルネの心を縛りつけるのものは何か?ルネの心を解き放つためにサド侯爵の生い立ちをたどる。そこには幼児のころ母親から憎悪されていた侯爵の姿が・・・・
またルネの心を縛りつけているのも母親であることに気づく。
コメント:母親としての立場で読んでいました。子供を愛し育てることの難しさを感じました。現代における「子離れできない母」あるいは「生みっぱなしの母」の姿がそこに見えて心に影を落としました。子供を自立させるためには、豊かな愛情とさらには母親の自立。そのために、夫が妻を一人の女性として扱うことが不可欠なのだと・・・フーム。

火車

著者:宮部みゆき
出版:双葉社
初版:1992.07.15.
紹介:婚約者が失踪した。依頼を受けて調査を始めて明るみにでたのは、彼女が他人の戸籍を語っていたという事実だった。
失踪したのは誰だったのか?名前の本人はいまどうしているのか?
現代社会のカードローン地獄・サラ金・取り立て。逃げて逃げて・・・・
自分を捨てて他人になりすます。だけどやっぱり本当の自分からは逃げ出せないのだ。
コメント:カードローン地獄・サラ金・自分には無縁な世界だと思っていました。
でもいつ自分がその中に足を踏み込むかわからない危険性を感じました。
おかげさまで勉強になりました。ハイ!

スナーク狩り

著者:宮部みゆき
出版:光文社
初版:1992.06.
紹介:裏切られた女は散弾銃を持って、結婚式場で何をするつもりだったのだろう?
男は女の銃を奪って何をしようとしていたのか?
スナークとは?愛・裏切り・友情・報復・・・・・
人間の真実をえぐるサスペンス傑作。
コメント:これはわりと読みやすいです。あまり頭を悩ませなくてもスイスイ読めます。だけど、裏切られた女も、銃を奪った男も、とても可哀相。
人間の心理ってこんな風になるものかしら?殺意・報復。

レベル7

著者:宮部みゆき
出版:新潮社
初版:1990.09.
紹介:「レベル7」までいったら戻れない?日記に謎の言葉を残して姿を消した少女。
そして目覚めた男女の腕には「レベル7」の入れ墨が・・・
コメント:事件が起きているのかいないのか?それすらもつかめない中、手探りで本を読みすすめる他はない。読者の気持ちは多分目覚めた男女と同じ気持ちだろう。しだいに解き明かされる謎。社会の隙間にしかけられた罠にはまっていくようだ。うーんすごいな。