著者:小野不由美
出版:講談社X文庫
初版:1994.09.05.
紹介:景王──陽子は、官吏の圧政で多くの民が重税や苦役に喘いでいることを漸く知り、己の不甲斐なさに苦悶していた。
祥瓊は、父峯王が、簒奪者にしい逆されなければならないほど、国が荒んでいることに気付かなかった自分を恥じていた。
鈴は、家軒にひき殺された友・清秀の命を守れなかった自分に憤り、仇討ちを誓った。
──それぞれの苦難を抱えた三人の少女たちの邂逅は、はたして希望の出発となるのか!?
コメント:慶国景王──陽子のその後。
今回は三人の女の子が主人公。上ではそれぞれの生い立ちや様子が描かれている。
自分のことしか考えることのできない、まわりを見ようとしない、自分の不幸だけを悲しむ少女たちがそれぞれ成長して逞しくなっていく姿は好ましい。
陽子の景王ぶりも板に付いてきたし・・・なかなか楽しめます。
長ーいお話ですが面白い!!もう一回読んでみよう。(これはまさに青少年向け図書)
著者:小野不由美
出版:講談社X文庫
初版:1994.08.05.
紹介:慶国に、玉座に就きながらも、王たる己に逡巡し、忸怩たる思いに苦悩する陽子がいた。
芳国に、王と王后である父母を目前で殺され、公主の位を剥奪されてなく祥瓊がいた。
そして、才国に、蓬莱で親に捨てられ、虚海に落ちたところを拾われて後、仙のもとで苦行を強いられ、蔑まれて涙する鈴がいた。
負うにはあまりある苦難の末に、安らぎと幸せを求めて、それぞれに旅立つ少女たち。
その果てしない人生の門が、いま開かれる。
コメント:下に続く
著者:小野不由美
出版:講談社X文庫
初版:1994.06.05.
紹介:「国がほしいか?ならば、一国をお前にやる」
これが。雁州国延王・尚隆と、延麒・六太とが交わした誓約だった。
民らが、かつての暴君によって廃墟となった雁国の再興を願い続けるなか、ようやく新王が玉座に就いたのだ。それから二十年をかけて、黒い土は緑の大地にと、生まれ変わりつつある。
しかしともに幸福を探し求めたふたりの子供の邂逅が、やがて。この国と王と麒麟と民との運命を怒濤の渦に巻き込んでいく!!
コメント:先が気になって気になって、とうとうまた夜中の2時まで読んでしまいました。急いで読んでしまったので、もう一度ゆっくりゆっくり読み直したい本です。
シリーズの中でこの「延王尚隆」が結構好きですね。
「十二国記」買ってしまおうかしら・・・・
著者:山田詠美
出版:新潮社
初版:1987.08.10.
紹介:「オニオンブレス」
伸びかけた無精ひげに古びた上着。シドニーがクラブのトイレで見つけた落書き。「あの人のオニオンブレス(臭い息)には我慢が出来ない。誰か私を助けて」
「君を助けたら僕のことも助けてくれる?」返事を書いた。
ネットの愛した男はいまでは無惨な姿で見る影もない。仕事を亡くした・・・・ただそのことのために・・・・。絶望。
顔も知らない相手との会話・孤独な男と女・誰もが寂しいのよ・・・・許し会いたいのよ。
コメント:これもZERRYさんおすすめの一冊。
ウーン良いですね。結婚している人は読んでみましょう。
「BAD MAMA JAMA」もけっこう気に入りました。
著者:小野不由美
出版:講談社X文庫
初版:1993.04.20.
紹介:とてつもない妖と対峙した泰麒は、身じろぎもせず、その双眸を睨み続けた。長い時間が過ぎ、やがて発した言葉は、「指令に下れ」。
ここへ連れてこられても、転変も出来ず、指令も持たなかった泰麒は、この時まさに己が「麒麟」であることを悟った!
しかし、この方こそ私がお仕えする「ただひとり」の王と信じる驍宗を前に、泰麒にはいまだ、天啓はないまま。ついに、幼い神獣が王を選ぶ───故郷を動かす決断の瞬間が来た!
コメント:戴の国の泰麒のお話。
話にどんどん引き込まれて止まらない!とうとう夜中の二時になってしまいました。この本は先月読んだ「魔性の子」の「神隠し」の部分にあたります。彼は家庭に居場所がなかった。彼が本来いるべき場所に戻ってきた。
自分のなすべき事はわかっているけれども、自分に自信がないので決断できない。決断した後もそれが正しかったのか悩む。自分のあるべき姿を求めて泰麒は成長する。このお話の先も気になります。
著者:小野不由美
出版:講談社X文庫
初版:1992.07.20.
紹介:「私を、異界へ呼んだのは、誰!?」
海に映る美しい月影を抜け、ここへ連れてこられた陽子に、妖魔は容赦なく襲いかかり、人もまた、陽子を裏切る。試練に身も心も傷つく陽子を救ったのは、信じることを教えてくれた「ただひとり」の友───楽俊。ひとりぼっちの旅はふたりになった。しかし、なぜ、陽子が異界へ喚ばれたのか?なぜ、命を狙われるのか?その真相が明かされたとき、陽子はとてつもない決断を迫られる!
コメント:いよいよ「十二国記」!
平凡な女子高校生・陽子。自分を主張することなく、両親にも学校でもよいこ的存在。
本当の友達もいない。
何もわからない異界で、信じられるものがひとつもないところで、いままで直視することのなかった自分自身と対面し、自分を見つめ直していくお話。
この本はファンタジーで、とても面白いです。色々なところで多くの人がすすめてくれた本ですが、読んでみて納得!
私のふたりの娘たちにも読んで欲しいシリーズです。
著者:ジェイムズ・エルロイ
出版:文藝春秋
初版:1995.10.15.
紹介:1950年代ロサンジェルス市警の3人の白人警官。エド;上昇志向の強い正義派警察官。バド;幼時に母親が惨殺された強面の警察官。ジャック;民間人射殺の過去を隠す警察官。
”血塗られたクリスマス事件”で、指揮官エドはバドとジャックを人事異動および処分した。明暗の分かれた3人は2年後の”ナイトアウルの虐殺”の捜査をすすめ、エドは罪を押しつけた黒人の犯人を射殺する。「真実・正義」はどこへ?
一方前後してポルノ雑誌の捜査をしていたジャックは”ナイトアウル事件”との接点を見いだす。そして事件を追うバドは・・・。
3人の男が調べた闇の中にある真実。今まで信じていたものが覆されていく。3人の恨み、憎しみ、悲しみが事件の真相を解き明かす。
コメント:外国の本って、めったに読まないせいか苦戦しました。
特に情感の3分の1は人間関係と名前を一致させるだけで一苦労。たとえば、ジャック・ビンセンズには「ジャック」「ビンセンズ」「ごみ缶ジャック」「ビックV」等の呼び方がある。どれが同一人物だぁ?
しかし下巻に入ってからは、事件の概要がわかったせいもあって、結構面白く読めました。
事件の真相が解き明かされる場面。互いに反目する3人の思いがひとつになったとき。そしてエドがどう決着を付けるのか。後半はドキドキ!
この本はHPに遊びに来たZERRYさん紹介していただきました。「カッコイイ男」の話というので、すごく期待して読みました。途中投げ出したくなりましたが、最後まで読んで、ZERRYさんの「カッコイイ男」が、どういうことかやっとわかりました。
著者:小野不由美
出版:新潮文庫
初版:1991.09.25.
紹介:教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめたものは、”報復”とも言える不慮の事故に遭うので、”高里は祟る”と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に悲惨な事件が起こり始めた。幼少の時に高里が体験した”神隠し”が原因らしいのだが・・・・。彼の周りに表れる白い手は?彼の本当の居場所はどこなのだろうか?
コメント:小野不由美の「12国記」の前に読むのをすすめられて借りてきました。ホラーと言えばホラーですが、面白くて一気に読みました。(電車の中で読んでいて、降りる駅を乗り過ごしたほどです。)
学校や、家庭の・で、居場所がなくなった(帰る家、受け入れてくれる家族を持たない)人間の話です。
さて、12国記が楽しみです!
著者:桐野夏生
出版:講談社
初版:1993.09.15.
紹介:耀子が4700万円の金とともに姿を消した。真夜中の電話は耀子からの電話だったのか?金と耀子の行方を調べるために彼女の足取りをたどる、パスポートもスーツケースもない。霊感占い、フェティッシュなショー、死体写真の愛好家。
耀子の書きかけの東ベルリンのルポと関係があるのか。
事件の真相は思いがけない展開を見せる。ネオナチが暗躍する東ベルリンと、東京の夜のフェティッシュな空間という一見無関係は社会現象がウラでどうつながっているのか・・・
第39回江戸川乱歩賞受賞作
コメント:まさにミステリー。ストーリー展開は面白い。最後のつめもけっこう気に入っている。どうして「ネオナチ」にこんなにこだわるのか途中まで全く関連性が見つからなかった。ラストで納得。
今一つ切れ味というか、緊迫感が感じられないのは主人公が夫の自殺によって「罰を与えられた」という精神の重さを引きずっているせいかもしれない。
著者:海野弘
出版:河出書房新社
初版:1995.08.25.
紹介:江戸の町の片隅に、名も知れず生きる「庶民」
そんな人々に、ちょっとスポットライトを当てて見れば、ほらあちらこちらに、ドラマが繰り広げられる・・・
「ひも結びの達人」「煙芸師」「鋳物師」「経師屋」「花火師」「的人」「仕組屋」等々江戸という時代背景と、風俗の資料をおり交ぜながら、問わず語りで語るその口調。
思わず引き込まれるのは、話の中の女たち、男たちがちょっとせつないから・・・
コメント:この本、小説でもない。エッセイでもない。なんと言えばいいかと思うに、やはり「江戸ふしぎ草子」これにつきます。ちょっと不気味で、せつなく、哀愁を漂わせ、そうかとおもうと、ホッとしたり・・・・
中で、ドキッとしたのは「穴掘りの意地」。学問にはまった「鋳物師」と、行き送れた「書道家の娘」。身分の違いを乗り越えて学問という共通の趣味をもって結婚したふたりだったが、書物の話で意見が食い違い双方出典を探す。「女学者を気取っても、所詮その程度のものか」しかし女房の意見が正しく夫をどんどん言葉で追いつめる。・・・自分は調子に乗りすぎているような気がしたが、止めることができないのだった。これまでたまっていた不満があとからあとから流れ出してきたようであった。・・・「所詮女学者ですって?じゃあ女学者以下はなんというのです。学者職人とやらでしょうか」夫の顔が赤く膨れ上がった。
それ以後、夫は、娘の婿の家から帰ってなかった。そして夜、穴を掘り、朝にそれを埋めるという、無意味のような作業を死ぬまで繰り返したのだ。
ああ!こわい・・・「逆鱗」に触れたのだな。夫婦ゲンカには注意・・・